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作者、創造中!  作者: 闍梨
第一章 主人公と荒くれのファンタジー
7/14

到達、魔王の城!

『えー。どこまで進めたっけか?』


 主人公は真っ白な背景の中、一人で考えていた。


『しっかし、こりゃまいった』


 何がだ?


『おぉ。ナレーションか。いやよ、作者が寝てるんだよ』


 そうか、なら仕方ないな。

 待とう。



 数時間後……。


「よし、話進めるか」


『……はぁぁ〜』


「どうした? 溜息ついて」


『いやな、作者が寝ると話が進まねーんだ』


「当たり前だろ。俺のストーリーなんだから。じゃあ気を取り直して、魔王を倒しに行ってくれ」


 主人公は腑に落ちないといった面持ちだったが、もう何も言わなかった。




『うお!』


 急に主人公の目の前に近代的な街並みが広がった。空飛ぶ車は当たり前の様に空中を走っている。


『設定を曲げ過ぎだ! ダルビッシュのスライダー級じゃねーか!』


「良いんだよ。面白ければ」


『面白くなるのか?』


「ああ、少なくとも俺は楽しんでいる」


『最悪の作者だよ、お前は』


 作者からの返事を待たずに、主人公は歩き出した。地面を踏む一歩一歩がとても重たかった。


「ここだ。ストップ」


『ここ? 城があんじゃねーの?』


「お前の目は節穴か?」


『目に穴は開いちゃいないがな……。てかよー、ここはどーみても違うだろ。だって、見るからにマンションだぜ? こんなところに……』


「いいから、入れ」


『分かったよ。ったく』


 主人公は道の向かいにあるマンションを目指し、歩みを再開する。車は空を走っているので、車の姿は地上には無い。

 主人公はマンションの入口に立った。ガラス張りの自動ドアが開き、主人公を招き入れる。


『おお〜!』


 ピカピカに磨かれた床に自分の姿が映っている。天井からぶら下がっているシャンデリアは、休む事なく薄黄色の光を主人公に降り注いでいた。


『やればできるな、作者!』


「いいから、魔王の部屋を探せ。ほら、目の前にインターホンと案内板があるだろ?」


 そう言われて主人公はインターホンに近づく。魔王の部屋を一階から探してゆく。


『こんな所に……。えぇー魔王、魔王っと----こんなところに魔王なんて居るわけ……あ』


 案内板には『501号室 魔王』とあった。


『どストレートじゃーねーか!』


「まあ、魔王だしな」


『フツーは最上階だろ! まぁ、マンションに住んでるって時点でフツーじゃねーけどなぁ!!!』


「落ち着け、主人公。安心するにはまだ早いぞ」


『今度は何だ? 魔王の部屋の鍵とか言うなよ。もう魔王は目前なんだからよ』


「いや、鍵は要らない。だが、このオートロックをクリアしなければならない」


『いやいやいや、作者が何とかしろよ』


「筋が通らないだろ」


『このストーリーに筋なんてねーだろ!』


「折角の見せ場だぞ?」


『ここが!? もう少し後にあるだろ。最大の見せ場が!』


「そんな見せ場、何処にある?」


『魔王との決闘シーンだろ!』


「ああ、あるねぇ」


『忘れてたのか……最大の見せ場を』


「まあ、ここを越えるのは簡単だ」


『本当か! 教えてくれ!』


「考えろ」


 主人公は下唇を出して、いやそうな顔をする。少ししてから主人公は頭をクシャクシャと掻き、背中に背負っている剣に手を伸ばす。


『っあーーー! メンドクセー。叩っ斬ってやらぁ』


 主人公は自動ドア目掛け、大剣を振りかぶる。


『どららーーぁぁあ! っうぉお!?』


 大剣は弾かれ、主人公はピカピカのロビーの床に尻餅をついてしまう。


『ててて……。んだよ! 作者ァ! 邪魔すんなよっ!』


「考えろって言ったろ……全く」


 作者が深い溜息を漏らす。そしてすぐに、一階の住民であろう、女性が自動ドアの前に立った。

 ドアは開かれ、ごうんごうんと大きな音を立てた。


「今だ!」


『ええ!? ここで!?』


 主人公は手に持っていた剣を使って立ち上がり、ドアに向かう。

 すると、急に自動ドアが閉まり始めた。当たり前だ。自動ドアが開きっぱなしの筈がない。


『おぉい! まてぇぇぇぇぇ!』


 主人公は手に持っていた剣をドアの下にある小さな丸いセンサーに振りかざす。

 ドアは再び開かれ、主人公の道を照らす。


『お……おぉ』


「おぉ、じゃない。急げ!」


『おっ、おぉ!』


 主人公は開かれた自動ドアを抜け、先を急いだ。

 しかし、目の前には新たな刺客が潜んでいるのだった。


『えぇ!? あの自動ドア、敵だったのか!? 俺はてっきり----』


 次週へ〜、続くっ!!!


『おい! まだ終われねーだろ! こんな終わり方が許されてたま……

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