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プロローグ「男よりも女」

はじめまして、初投稿です。

苦手だとと感じたら、すぐさま閉じることをおすすめします。

 人の好みは十人十色。

 例えば俺、夏木史人(ナツキフミト)(21)の場合、

ゴミゴミした都会よりも自然の多い田舎が好きで、

落ち着いた黒色よりもやわらかい桃色が好きで、

ロマンあふれる車の話よりも最近評判のケーキ屋の話が好きで

格好いいプラモデルよりも可愛いぬいぐるみが好きで、

背の高い女性よりも背の低い女性が好きだ。


 これらはほんの一部だが、全体的に俺の趣味は女性寄りだ。友人には一度、ぬいぐるみの溢れかえったファンシーな部屋で美少女ゲームをしている俺を見てドン引きし、「顔は良いのになんてもったいない…」と言われたことがある。


(女として生まれてきていたら、人に引かれることはなかったのだろうか)


 そう思うことは多々ある。だからといって悲観はしていないし、他人からどう思われようと興味はない(好きな女の子に引かれたときは落ち込んだが)。それでも、たまには思うときがある。


「女だったら、もう少し生きやすいかな…」


 それはいつも通りの何も変わらない日常。歩き慣れた大学からの帰り道。一人暮らしのアパートへ目と鼻の先にまで迫った夏の日のこと。


「だったら女になってみる?」


 かすかに漏れた独り言に誰かが応えた。思わず辺りを見渡す。


「あれ?もしかして聞こえてる?だったらチャンス?」


 女性の声が確かに聞こえる。だけど周りに誰もいない。


「ラッキー!ねぇねぇ、あなた女になりたいんでしょ?だったら私と替わろうよ。こっちの世界はいろんな物があって楽しそう!ずっと興味があったのよ」


 いや、耳から聞こえているんじゃない。まるでイヤホンをして音楽を聴いているときのような感覚。頭の中に直接声が響いている。


「うんうん、それが良い。そうしようそうしよう。あなたは女になれる。私は楽しそうな世界に行ける。あなたも私もみんなハッピー♡」


 俺がちょっと混乱している間に、なにやら勝手に話が進もうとしている。はて、どうしよう。


「じゃ、いっくよー…。あっ、そうだそうだ。私はあなたとこの世界のことはだいたい分かっているけど、あなたはそうじゃないよね?優しい優しい私は、ちょっとメモを残しておいてあげよう。キャッ。私ってば輝いてる~☆」


待て待て。これは落ち着いている場合じゃないのでは?アホっぽい女の声に反論しようとした瞬間。


「これでよしっと。バイバーイ☆彡」


 目の前の風景がまるで別世界のように色を変え、自分が生まれ変わったように感じた。


 ――否。


 まるで、ではない。

 目の前の風景は見慣れたアパートから木々が生い茂る森へと姿を変え、俺は男から女へと生まれ変わった。


誤字脱字等がありましたら、感想欄で教えていただくとありがたいです。

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