うさぎ座のおはなし
前のおはなし:竜骨座のおはなし
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星の海を旅する竜に出会ったうさぎは、月の船に乗ってついていくことにしました。
その後のおはなしです。
月に住まううさぎには、秘密がありました。
ある日、地面に湧き出た不思議な泉。
好奇心に負けて頭からドボンと飛び込むと……顔が水面から飛び出しました。
……あれ、水底は?
泉の向こうは、頭上に星のない青い空が広がる、緑豊かな土地でした。
この素敵な土地を友人の竜に教えてあげたくて、うさぎはくるりと戻って泉に飛び込みました。
帰りはちゃんと、元の場所。
でも、泉は小さすぎたのか、竜が首を突っ込んでもただ水底に鼻がつくだけでした。
「夢でも見たのかい?」
笑われてうさぎは「見てろ」ともう一度泉に飛び込みました。
今度は……青色に霞む夕焼けが広がっていました。
とても美しい景色でしたが、激しい砂嵐が吹き荒れていて、うさぎは慌てて泉に潜りました。
「ひどい目にあった」
戻ってくるともう夜になっていて、竜は眠っていました。
待っててくれないなんて、薄情なやつだ。
翌朝そうこぼすと、竜は首を傾げました。
「おかしいな、『また出かけるけど遅くなるから先におやすみ』って君に言われたんだけど」と。
うさぎはその日も泉に潜ってみました。
泉の底は、小さなうさぎにしか通れないようです。
飛び出した場所は、いつも通りのねぐらでしたが、空はとっぷりと暮れて星がきらめいていました。
竜が「何を見つけてきたんだい?」と尋ねましたが、同じ場所に出てしまったのでうさぎは「なにも」と答えてまた泉に向かいます。
「また出かけるけど、遅くなるから先におやすみ」
夜も遅いようなので、竜にはそう告げました。
泉は潜るたびにいろんな場所に繋がっているようです。
遠い未来や、近い過去。赤い星や、青い星、燃えていたり、雨が振っていたり。
ある土地では、うさぎと出会う前の竜の姿を見かけました。
声をかける前に、飛び立ってしまったけれど。
それから夜な夜な、うさぎは不思議なお出かけを楽しんでいます。
そしていろんな時間の竜に、正体を隠して会ってきました。
うさぎはうさぎ。
やはり竜より命は短いのです。
いつか友人を残して去らねばなりません。その時になったら、秘密を打ち明けるつもりです。
「この先の未来で、まだ何度も会えるのだ」と。
いつどこで、あと何回。
それを知っているのはウサギだけ。
旅路を記した日誌を記しながら年老いたウサギは楽しげに笑いました。
夜空を見上げてご覧なさい。
タイミングが良ければ、泉からひょっこり顔を出したうさぎと目が合うかもしれませんよ。




