おおかみ座のおはなし
ある日、どこからともなく飛んできた矢が地の果てを駆け回る狼の足に刺さりました。
その矢は決して抜けず、むしろどんどん深く狼を貫き大地に縫い留めようとします。
狼は痛みのあまり岩を爪で砕き、近づくものを尾で跳ね飛ばし、どこまでも転げまわります。
なんとか矢に食いつこうとした狼は、誤って二本ある尻尾の片方を中ほどで噛みちぎってしまいました。
傷つき弱ってもなお、暴れる狼には誰も手を出すことができません。
自分も周りも傷つけ暴れまわるその姿を可愛そうに思った女神は、悩んだ末に真っ白な雪でできた布団を用意しました。
ふわふわのお布団でくるんであげると、狼は痛みを忘れたように眠気に包まれます。
眠ったからといって傷がよくなるわけではないでしょう。
それでもこれより悪くなるよりは、と真綿のような雪のお布団の中に狼をしまい込んだのです。
もう言葉を話すことはできないほど眠くなっていた狼でしたが、残った長い尾を一度、二度と揺らして眠りにつきました。
狼を可愛がっていた女神はぽろぽろと涙をこぼしましたが、狼がそれに気づくことはありません。
さみしがった女神のために、神々は空に星をちりばめ狼の似姿を描いてあげました。
ですから、狼の星座のしっぽの横には、中途半端な位置に明るい星があるのです。
それは元々二つの尾をもつ巨大な黒い狼だったのでした。
そして世界の終わる時まで、その姿で天上の女神に寄り添い、慰めつづけることでしょう。




