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俺の姿も、透明に!? 物理無効とスキル付与


『ザ……ザザ……』


 ノイズのような声をあげ、ゆっくりと近づいてくる魔孔ザリガニ。

 ミドルレンジの間合いに相対した瞬間――。

 六本腕のハサミが振り下ろされる!


 しかし、大ぶりな攻撃。

 所詮は序盤モンスターだ、気をつけていれば当たる心配はない。


 ハサミが地面にめり込み砂煙が上がる中、俺は考える。

 ――隙ができた。

 この世界、モンスターもサタニックオンライン準拠であるならば。

 魔孔ザリガニは炎属性に弱い筈だ。


「――二人とも、属性強化はしているか?」

 俺は前方にいるツキ姉とアズ姉へ尋ねる――。


「! 任せるんだにぇ☆」

「試してみたいと思っていたのさ!」

 ツキ姉とアズ姉は、すぐさま攻撃体制に移る!


 二人は【属性】アイコンをタッチ、炎指定していた。

 なるほど、そうやるのか。俺も見習おう。


 二人とも普段からゲーム慣れをしているのでスムーズだ。

 俺より順応力があるんじゃないか?


「まずはアズが斬り込む! アズの得物は☆2武器の大剣なんだヨォ☆ 名付けて『アズりん(ソード)』!!」


 アズ姉が大剣を振るう!

 ゴオオオォ! なんと、火を(まと)った。

「あ、なんか出たにぇ☆ ファイア☆スラッシュ!」

 ザンッ!


 魔孔ザリガニの頭上に、weakの文字とダメージ数値が見受けられる。

 おそらくは弱点か、苦手な属性がそのように表示される仕様なのだろう。


「お次は(われ)なのさ。☆3武器の力を見せよう――ドローンボール!」


 ドローン的な球体が三つ、ツキ姉の周りを浮遊する。

 なにその武器……武器なのか? そう思った時。

 ゴオオオォ! なんと、火を吹いた。

「ふむ、浮遊砲台として使えそうだね」


 weak!!

『ザ……ザザ……』

 よし、追加ダメージだ。

 ひるんでいるぞ。


 俺も攻撃に参じようとしたが――ふと見れば。

 魔孔ザリガニの甲殻(こうかく)にヒビが入っていて、黒いオーラが漏れ出ている。


 そのうち脱皮体勢に入るのかもしれない。

 俺たちは警戒し、距離をとった。


 それにしても。

 二人とも炎属性を強化していたようだ。

 やはり炎はいいぞ、テンションが上がる!


「蒼司蒼司、いつきとあずさが火を出してますね? いいですね。ですが私も、わりかし強化を果たしてますよっ」

 真横から姉ちゃんの声がする。


 透明化しているので、姿が見えない。

 だがその口ぶりからして、ガチャによるスキルなどの戦利品が多そうだ。


「そうだ。姉ちゃんもゲットしたスキルとか、武器とか披露してみてよ」

「! ひぃ、ここ怖いですね。部屋でやったゲームと違ってVR? 世界なせいでしょうか。なんか現実感がありますね、でも……」


「でも?」

「蒼司や、みんながいてくれるなら頑張れますよ。私は神の船ですからね!」


 その意気だぜ姉ちゃん!

 すると、俺の手を握る感触がする。

「えへへ。透明化を、付与する事も出来ますよ」


 言うが早いか、スキルの効力が発揮される!

 スゥ……。

 なんと、俺の体も透明に!?


「ワオ! そーちゃんが透き通っていくんだよにぇ」

「驚くべきクリアな姉弟なのさ」


「ふふっ。驚くのは早いですよ! ピックアップされていた物理無効も獲得しています。よくわからないので、おっぱいptを注ぎ込んで☆を5にまでしてみましたよ?」


 なるほど。

 おっぱいptを、成長材料を投入してみてスキルレベルを上げたのか。

 アドバイスなしにそこまでやるとは凄いぞ俺の姉。


 ゴバーーーン!!!


 ――その時だった。

 魔孔ザリガニは脱皮した。


 せっかく姉ちゃんの話に耳を傾けていたというのに、こちらの状況も考えてほしい。


 とはいえ脱皮した外殻が飛んで来る!


「うぇ!? 物理無効発動です! 蒼司にも付与!」


 俺の手を握る感触が、ギュッと強くなる。

 咄嗟に発動した透明化とは別の、姉ちゃんのスキル。


【物理無効】

 それにより、脱皮した外殻は俺たちをすり抜けていった。


 これが、その効力か。

 (すげ)えとしか言いようがない。


 周りを見る。

 アズ姉は大剣でガード、ツキ姉はドローンでバリア的なものを発生させていた。

 よし、みんな無事か。


「しかしチートなスキルだ。使用制限や効果時間があったりするの?」

「はい、効力は5秒くらい? ……のようです」


 それが多いのか少ないのかよくわからないが、チートであることには変わりはない。


 中でも驚異的なのは――スキル付与。

 すり抜けなどでゲットしたのだろうか、どれだけガチャを回したのかが気になったがまあいい。


 俺は思案する。

 スキル付与はスキル保有者と触れている事で、効力が発揮されるのだろうか?

 試しに。


「姉ちゃんちょっと手を離してみて」

「あ……はい」


「! そーちゃんが現れたんだよ☆」


「姉ちゃんちょっと俺に触れてみて」

「あ、はい!」


「! そーくんが消えたのさ」


 なるほど。

 使いようによっては様々な発展性がありそうだ。

 覚えておこう。


 だが、このままではモンスターに攻撃しづらい。

 それになにより、姉ちゃんが危険だ。


「よし、今度は俺がサムライとして斬り込むから姉ちゃんは後方で応援していてくれよな」


「えぅ、気をつけてくださいよぉ」


 一方。

 魔孔ザリガニは脱皮して恐るべき姿――カニとなっていた。


『ズワイ、ズワイ』


読んでくれて感謝です

次話は麦茶が勝利の鍵です


またみてね

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