サマー×コネクト
青い空。
ミーンミンミンミンミーーーーーーン!!
湧き上がる入道雲。
ミーンミンミンミンミーーーーーーン!!
うるさいくらいの蝉時雨。
記号的な『夏』が漂っている感じだ。
見渡せば、新緑に囲まれた草原の一本道。
だが何か違和感があるのは、電信柱的な物体が点在している事だ。
いわゆるファンタジー世界のそれとは、少し違うような気がする。
――日本の夏、みたいな?
何やら泡のようなものも浮かんだりしている。
本当にここが、ゲーム世界なのだろうか。
「あー、にしても。づっちの行動にはびっくりしたヨォ☆」
「普段は真面目ないづるくんも、今は大いに昂っているとみた!」
「はい。私は今ハイですよ! てゆうかアレです、本音を言わせてもらえば説明書? とかの、長ったらしくて難しそうな同意文とか、みんな読んでますぅ?」
「読んでないヨ☆」
「我もデータとして保存はするが、基本読まないな」
言われてみればそうだ。
俺もソシャゲなどを、人並み程度にはやる。
しかしプレイ前の注意事項など、ハイハイ承諾承諾といった感じで読んでいるようで読んでいない。
「それにですよ? もし万がいち、不具合があったとしても私にはチートがありますからね?」
ふふんとドヤ顔をする姉ちゃん。
「なんでも解決、できるのです。なぜならば私は、このVR的なゲーム世界を作り上げた創世神と言えましょう!?」
自信満々である。
俺は姉ちゃんを担ぎ上げる!
「いよっ! 神様仏様、桜日いづる様!」
「ふふっ、私を頼りにしていてください。ドーンと大船に――いえ、宝船にでも乗った気持ちでいてください! まさに私は神の船、一人七福神と言っても過言ではありません」
姉ちゃんは調子に乗っている。いいぞ。
「そだねぃ。でもさ、なんかこの世界ゲームっぽくなくない? なんか『夏』だヨ☆ なんで夏かはよくわかんないんだけど☆」
アズ姉の発した疑問。
俺もそう思っていた。
この世界は姉ちゃんが(チートおっぱいが)作り上げた。それはわかる。
だが。
先ほどからの疑問がある。
ミーンミンミンミンミーーーーーーン!!
その元にしたゲーム『サタニック・オンライン』はこのような世界だっただろうか?
セミが鳴いているような、夏だったろうか。
少なくともファンタジーだった気がする。
「俺のソシャゲ要素も加わってるのかな?」
『夏』が舞台のソシャゲなど、インストールしていた覚えはないが。
「いつきいつき、解説ヨロなんだよにぇ☆」
「ふむ、サタニック・オンラインの時代設定はファンタジー魔界が舞台で、やがて人間界に侵攻していく話だったと、我は記憶しているのさ」
「うぇぇ!? そんな物騒なお話なんです? ここはのどかな夏の草原街道といった感じで――」
ミーンミンミンミンミーーーーーーン!!
セミが再び鳴き始めた。
「とてもそんな危険な世界には見え――」
ミーンミンミンミンミーーーーーーン!!
「うるさいですねぇ! セミさん!!」
ミーン……!
……シャワシャワシャワシャワ!!
「! 鳴き声変えたってそうは問屋が卸しませんよ!? 私はこの世界の創生者です。私に従いましょうセミさん!」
……シャワシャワシャワシャワ!
「ぐぬぬ、私は神です女神です。神の船です! 黙りなさいこのセミ」
シャワシャワ……!
ツクツクオーシ! ツクツクオーシ!
ツクツクオーシ! ツクツクオーシ!
「……いづるくん。こういうのはたいていメニュー項目があって音量がいじれるのさ」
「あったよぉ。音量調節バー☆」
アズ姉はそこら辺にあったメニュー画面を適当にタッチして開くと、効果音調節バーを下げていた。
「うぬぬ……なにやら私がまぬけみたいじゃあないですか? おのれセミさんめぇぇ」
姉ちゃんの恨み節が響くのはまあ置いといて。
メニュー以外にも色々と、眼前にポップアップされている事に気付く。
その中でも輝きを放っているものがあった。
【夏のはじまりのギフト】とある。
「ん、なんですかコレ。タッチしてみます」
【スキルや武器をゲットしよう!】
【1000おっぱいptで10連ギフト券を購入!】
【内容は選んでいる職業からピックアップ!】
俺は直感する――!
「これは、ガチャだな」
さらに文面がある。
【今なら無料で10連ギフト券が三枚もらえる!】
「間違いない、ガチャだ。姉ちゃんにわかりやすく言えばこのギフト券とやらで三回、無料で抽選できる」
「ガチャ? あの、ショピングモールの一角とかによくあるやつです? んーむ……抽選がガチャの意味がよくわかりませんが、無料なのでしたらやってみましょう! 無料! 良い響きです」
姉ちゃんはソシャゲ用語に疎かった。だが、無料という言葉に弱い。
「ふむ。この世界はスキルなどを、ガチャでゲットする仕様とみたのさ」
「だとしたらすさまじい運ゲーだよにぇ☆」
「運あってこそ開かれる縁もあるというものですよ? 私はギフト券三枚使用します!」
姉ちゃんは高らかに宣言する――!
いきなり30連、姉ちゃんカッコいい!
みょんみょんみょんみょん……!
空中に魔法陣が現れ、券を排出した。
パキィ……! パキィ……! パキィ……!
なにやら小気味良い効果音。
音と共に券に切り込みが入り、効力が発揮されるようだ。
そして、ギフト箱らしきものが三十箱現れる!
【暑さは、これからが本番です】
【くれぐれもご自愛のほど】
【お祈り申し上げます】
箱にはそのような文面。
なかでも一際、虹色に光る箱があった。
これは――SSR? 星3?
「ふぉ、なんですかこのレインボな箱は!!」
「いわゆる大当たりだぞ姉ちゃん! 開こう!」
箱を開封する!
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次話はガチャ開封結果です
またみてね




