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学校行事は進む

今更ですが、第二章開始です

 

 あの事件で学校から電話があってから、母さんにこれまでのことを話した。そしたら、久しぶりに抱きしめられて、すごく恥ずかしいかったけど安心感がとんでもなかった。

 これで明日からも学校に行く元気を取り戻しながら、眠りについた。


 次の日、いつも通り学校に行き教室に入る。入った瞬間、冷凍室に入ったような、寒気がした。俺はそれを頑張って無視する。

 俺はチャイムが鳴ると同時に教室に入った。そのおかげで、今日は誰かに絡まれることはなかった。

 予冷がなる時には担任が教室にいるので、朝に教室内で絡まれる可能性が低くなった。これを駆け込み乗車戦法と名付けて、毎日行っていこう。


 俺がそんな情けないことを考えている間も何事もなく、ホームルームは進む。担任の高木先生は昨日のことに言及することもなく、いつも通り話している。


 俺の無罪はまだ、確定していないはずだ。おそらく、今日にでも高島さんから話を聞くんだろう。

 その後にまた、呼び出されるかもな……


 いつも通りのホームルームも終わりかかった頃、先生の表情は一気に険しくなった。

 そして、俺の方を一瞬見た後に


「最近、貴方達の学年で"よくないこと"が起こってきますよね?」


 この言葉によって、ほとんどのクラスメイトは俺の方をチラチラ見てくる。

 クラス全員に"よくないこと"の思い当たりがあるのだろう。そしてそれが俺と言うことも。


 おいおい。勘弁してくれ。

 ここで、俺のことを晒し上げるつもりか?


「いえ、言い方が悪かったみたいですね。()()()が"よくないこと"を行っていますよね?」


 俺が尊敬していた担任の口から俺を晒し上げるようなことをされて幻滅していたら、続く言葉によって驚く。


 ん?貴方達?

 俺のことじゃない?

 クラスメイトを怒っているのか?


 予想外の先生の言葉に教室内はざわざわとする。

 しかし、先生の表情はさらに険しくなり、そんないつもの様子とのキャップに怖くなったのか一瞬で静かになる。


「最近、1人の生徒が悪いことをしたかもしれません。しかし、それは本当かわかりません」


 これは俺のことだ。そして、先生は本当かわからない、と言うところをはっきり、強調されるように大きな声でゆっくり言った。


「そもそも、もし事実だとしても彼を罰するのは我々、大人の役割です。しかし、貴方達は噂話で踊らされて、彼を責めているみたいですね。これは恥ずべきことです」


 いつも通りの丁寧な言葉だが、とても怖い。俺が怒られているわけでないが、体が少し、ぶるっとなってしまった。

 それにしても昨日、俺がクラスメイトから罵倒されたことを先生は把握しているみたいだ。あのとき、俺が言い寄られていた時に先生はいなかったと思う。そう考えると、生徒の中から先生に言ったのだろうか?


 そうだと、納得できる。まあ、誰がやってくれたかなんて、検討もつかないがその人には感謝しかない。


「昨日のことは先生たちが対応していきます。貴方達みたいな、正しい情報を得ようともしない愚か者は自分のやるべき事を行いなさい。学生の本分は勉強です」


 クラスメイトを愚か者と表現して、糾弾した。

 俺は味方がいて、嬉しくなり体が震える。そのせいか、目頭が熱くなってくる。しかし、それを止めるために目を大きく開いて、誤魔化す。


「以上です。1時間目の準備をしなさい」


 そう言うと、いつも通りのように教室を出て行った。先生が教室を出ていくまでは、誰1人喋らなかったが、上田と大久保は俺のことを睨みつけていた。


 いやいや、俺がちくったんじゃないよ?

 まあ、状況から考えると俺が先生に助けを求めた感じになっているけど。


 先生が出てから数秒後、いつも通りの騒がしい教室に戻った。しかし、俺をチラチラと見る視線は強く、俺の耳に


「あいつがクソみたいなことをしたくせに、俺たちが怒られるとかおかしくね?」


「だよね!先生にチクるとか、女々しすぎて、きもい!」


「おいおい。そんなことを喋っていると、またチクられるぞ?」


 と言う会話が聞こえてくる。

 だーかーら。俺じゃないよー!てか、俺のことをディスるのはやめろって言われたじゃん。

 どうやら、こいつらはまだ懲りてはいないようだ。

 しかし、こいつらは先生に直接注意されたのだ。これによって表立って、俺を責めるようなことは起きないと期待できる。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 4時間目になった。この時間は高木先生の英語の時間だ。

 朝のホームルームのことがあり、クラスメイト達はなんか落ち着かなそうだ。まあ、ただいつも通りに授業は進むんだから、すぐに元に戻るだろう。


 そう思っていたが、どうやら今日はいつも通りの授業ではないみたいだ。


「今から英語の時間ですが、今日は校外学習の班割りを決めたいと思います」


 校外学習は3日後の金曜日にある、遠足のようなものだ。1年生同士の交流が主な役割で、バーベキューやフィールドワークをするらしい。

 最近、色々あってすっかり忘れていたが、今週だったとは。喋る友達がいないと学校行事も疎くなってしまうのか……


「班割りが、3日前のギリギリになって、ごめんなさい。本当は金曜日に決める予定だったのだけど、忘れていたのよ」


 朝の雰囲気とは打って変わった、お茶目なところを見せる。

 そのギャップを可愛く思えてしまう。


「じゃあ、男子2、女子2の4人の班を作ってください。班は自由です。揉めることのないようにしっかり話し合って決めてください」


 俺は自由という言葉に絶望する。


 な、なんだと?

 自由だと?

 今の俺が1番怖い言葉。"はーい。2人組作ってねー"と同じ状況ではないか!?


 どうする?どうするっていうか、どうしようもない。

 ここは大人しく、流れに任せるしかない。あまりもの同士で組むか、足りない班に無理やり入れられるかのどちらかだ。

 なるべく、前者になってほしい。後者だと校外学習をズル休みすることになる!それぐらい、厳しい状況だ。元々ある、コミュニティに入るなんて地獄でしかない。


 俺は自分が望む未来のために、教室を見渡して状況分析を行う。

 やはりまず、仲のいい連中が集まり、そこを基準にして男女の班を作っている。グループの人数が偶数の場合はいいが、奇数のグループは気まずい感じになっている。


 近くで会話している伊藤グループの会話が聞こえてくる。


「俺は他の奴と組むよ。龍とルイは2人で組んだらいいよ」


「おいおい!まじで、薫はいいやつだなー!」


「あぁ、3人だから誰かは1人になるところを自ら言い出すとは」


「薫がそんなにいい奴だと俺らが悪い奴みたいじゃねーかよー」


 伊藤、上田、大久保の3人は意外にも上田と大久保がペアになるみたいだ。伊藤が自ら身をひいた感じだ。

 そして、上田と大久保はそのまま2人で女子ペアを口説きにいった。そういったことがクラス中で起こっている。なんか、クラス中で男達がナンパしてるみたいだ。


 そして、そういった中で1番ナンパ……じゃなくて、班に誘われているのは佐々木さんのペアだった。佐々木さんは結城さんと組んでいる。まあ、佐々木さんが1番仲がいい子だからな……

 結城さんは少し明るめの髪で肩に髪が当たるくらいの子だ。顔は整っており、佐々木さんと一緒にいるから目立たないが、結構モテるみたいだ。俺も直接は喋ったことはないが、佐々木さんと仲がいいことを考えると、性格もいいのだろう。

 そんなクラス、いや、学年で1、2の可愛さのペアがいるんだから、一緒の班になりたくもなるよな。


 しかし、その2人はさっきから誘いを全て断っている。

 断るには理由があるんだろう。おそらく、一緒の班になりたい人がいると考えられる。佐々木さんが一緒の班になりたい奴は恐らく、伊藤だろう。


「佐々木さん、結城さん。男子は俺、1人だけど一緒の班にならないか?」


 そんな佐々木さんの思惑を理解してから、2人に突撃していった伊藤。てか、先に男見つけろよ。

 佐々木さんはおそらく、伊藤のことが好きだろうしその誘いに乗るだろう。


「いいよ。伊藤くん、一緒の班になろうよ」


 佐々木さんはさっきまで、断っていた時と全く違う態度で伊藤からの誘いを受け入れた。


 やっぱりか……


 このゴールデントリオが完成して、教室内がざわざわする。男達はこの班に入りたそうにしているが、もうほとんどの男子は班に入っている。そのため、残りものの男子がこのゴールデントリオの中に入るのだ。


 さてさて、一体この班に入るのは誰だろうと教室を見渡す。


 ……

 ……


 あれ?いない?

 クラスの男子は18人だ。だから、誰かが余ることはない。そして、今1人でいる男子はいない。いや、正確には直ぐそこにいる。

 俺だ……


 そのことに気がついたのか、クラスメイトは俺のことを指差す。結城さん、佐々木さんもそれに気付きこっちにくる。

 伊藤は苦虫を噛み締めたような、険しい顔をしている。まあ、俺が班に入る可能性は考えていなかったよな。


 てか、俺は誘われるの?

 実は俺の後ろのやつに話しかけるとか?


 そう思っていたが、残念ながら?結城さんと佐々木さんは俺の前で止まった。


「宮野くん。私たちの班に入らない?いま、1人でしょ?」


 結城さんが誘ってくれたが、俺の心の中は絶叫している。

 おいおいおいおい。結城さんは気にしないと思うが、佐々木さんは嫌だろ!振った相手と半日も一緒にいるなんて!

 結城さんも俺が振られたことを知ってるだろ!?やめてよー。いじめか?


 俺は言葉を出すことができず、佐々木さんの顔を伺う。佐々木さんは無表情だった。


「あー、愛のこと気にしているのー?別に気にしなくていいよー。いいでしょ?愛?」


 おーーーい!

 言いにくいことをはっきり言うなよ!

 結城さんってもっと、お淑やかな感じだと思っていたけど、結構デリカシーがなくてずけずけと言ってくる感じなんだ……


「ええ、別にいいわ」


 無表情で佐々木さんは答えた。

 いつのまにか近くに来ていた伊藤も、女子2人が賛同していた。これはもう止めることはできないだろう。

 こうなったら、もう、断ることはできない。


「金曜日はよろしく……」


 小さくそう答えるしかなかった。クラス中はこの謎班の成立に驚きと悲鳴で答えた。

 悲鳴をあげたいのは俺の方だよ。

 金曜日になることを杞憂に思いつつも、佐々木さんと一緒に居れることに喜んでいる俺もいる。

 まあ、佐々木さんは伊藤にしか興味がないから俺のことなんて眼中にないんだけど……


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 金曜日になった。

 そう。課外活動の日だ。昨日はぐっすり眠れて、朝はスッキリ起きれた。でも、朝の準備をしているとふと、大切なことを思い出した。

 今日は私服だ。


 いつもなら、眠たい目を擦りながら何も考えずに制服を着ていたが、今日は制服ではない。まあ、制服で行っても文句は言われないだろうが、絶対に浮くに決まっている。

 周りはお洒落な私服で俺だけ制服……


 それはダメだと思い、タンスをひっくり返す。その後、今日の気温も確認する。

 昨日、雨だったためかあまり気温は上がらないみたいだ。今は9月末。だから、真夏のような服ではなく、初秋に着るような服がいいな。


 いつもはしないような、鏡の前でクルクル周り服を確認する。刻一刻と時間が迫っていくという中、自分なりにお洒落な服を探し出す。

 残念ながら、母は夜勤で帰ってくるのはもう少し後だ。そのため、俺以外に確認する人がいない。そのためか、何を着てもダメな気になってくる。


 一瞬、無難な服を着たら失敗はしないと考える。しかし、瞬時にダメだと感じる。なんていったって、班のメンバーが最強すぎる。伊藤と結城さんの服のセンスは知らないが、ルックスは最高だ。どんな服でもそれなりに見えるだろう。

 そして、さらに佐々木さんは見た目とお洒落さを持ち合わせている最強の人物だ。


 顔面偏差値が40後半の俺は服でテコ入りをするしかない。しかし、そのテコ入りがうまくいく自信がない。俺なりのお洒落さを追求して、結局、ダサくなったら顔面偏差値がさらに落ちて、30代になりそうだ。偏差値70の人たちと30が同じ班で行動している姿を想像して、ゾッとする。


 ……

 ……


 時計を確認して、やばいことを自覚する。焦っていく中で時間内にお洒落な服は無理だと、諦める。昨日のうちに準備をしていなかった自分が悪い。


 俺は秋頃に着る無難な服を引っ張り出して、袖を通す。

 歯を磨いて、軽く消臭スプレーを振りかける。カバンの中には口臭や体臭ケア、ティッシュや絆創膏などを入れる。

 

今日は自転車ではなく、歩きで最寄りの駅に向かう。集合場所はこの辺りで1番大きな駅なため、電車を使う。出るのが少し遅れてしまい、集合時間のギリギリになってしまいそうだ。


 駅まで早歩きで歩いて、電車が到着する3分前に到着した。駅にはそれなりに人がいるが、その人々は俺がよく知る人物に目線が吸い寄せられていた。


 その人は秋らしい暖色のワンピースを着ていた。あまり、フリフリしていなく可愛さよりも美しいという言葉がぴったりな服を見事に着こなしていた。

 正直、他の人は着ることが許されないような服を着ているため、その服を着ているだけで注目されるだろう。しかし、その人は見事に、いや、完璧に着こなしており、目線を集めていた。


 その人物は佐々木さんだった。電車を待っているのだろう。しかし、このまま佐々木さんと同じ電車に乗るのは嫌だなと思った。なんか、気まずい。


 気まずいなんて馬鹿なことを考えるのは俺だけだし、向こうはなんとも思ってないだろう。しかし、ここは一本電車を遅らすことにした。

 次の電車に乗ればギリギリ間に合うし。


 構内にアナウンスが響き渡り、電車がやってくる。駅にいる男達は目に焼き付けるように、佐々木さんを見ている。そして、やってきた電車に乗り込む。

 俺は佐々木さんもその電車に乗り込むだろうと思ったが、そうはならなかった。


 ん?なんでだ?

 なんで、乗らなかったの?

 というか、さっきから気になっていたけど、すごくキョロキョロしていない?


 誰かと待ち合わせか……?


 まさか、伊藤とかなと思った。佐々木さんが伊藤と待ち合わせをしていたところを見たら、俺の心は爆発してしまいそうだ。

 あっ、待ち合わせは前にも見たわ……。ワクドで。


 俺の心が荒んできたが、自分が次の電車に乗らないといけない使命を思い出した。これを逃してしまうと遅刻が確定する。さすがに校外学習で遅刻はやばい。

 俺は仕方がないので、電車に乗るために列に並んだ。


 相変わらず、佐々木さんはキョロキョロしている。まあ、俺のことなんて見かけても、気にもしないだろうし、俺は気づいていないふりをすることにした。


 視線の端っこの方で佐々木さんは見えている。佐々木さんは俺に気がついたみたいで、固まっている。


 やばいやつに、やばいところ見られたよー。って感じなのかな?まあ、俺は頑張って気がついていないふりをするしかない。


 固まっていた佐々木さんだったが、しばらくしてから動き出した。なんか、一瞬、時間が止まったみたいだった。

 遠くに離れていくのかなっと思ったが、予想反して、俺の方に歩いてくる。

 前に人はたくさんいるがどの人をすぐに退いていく。不思議なことに、彼女が通ると道が自然と開くみたいだ。俺もそれに則って、道を開ける。目が合わないように。


 しかし、なぜか彼女は俺の前に止まり、


「奇遇ね。たまたま、一緒だったのね。それじゃあ、一緒に行くわよ?」


 なぜか俺と一緒に行くつもりのようだ。

最後まで書ける自信はありませんが、なんとか書いていこうと思います

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しみにしてたので嬉しいです!! ハッピーエンドになれるのか!?
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