佐々木愛の日常3 side 佐々木 愛
なんとか、週一投稿を守れた……
高いな……
家に帰ってから、スマホで調べものをしている。
和也の見守りカメラが必要になったので、小型カメラを買おうと思った。しかし、思った以上に高い。数万円もするので、高校生の私には買えない。
でも、和也は監視しないと
でも、お金がない
じゃあ、和也は監視できない?
それは嫌。あの女は和也を狙っている。それを放っておくことなんてできない。
じゃあ、どうにかしてお金を稼がないと。
いや、その前にどのくらいのお金が必要か確かめてみよう。
カメラは電球型がいいかな?時計型とかペン型とかあるけど、和也の部屋に自然に設置できるのは電球型しかないな。
でも、本当に設置できるか分からないから、事前調査しないとね。
他にはデータを送るためにネット環境もいるね。
和也の家にあるwi-fiを使うっていうのもありだけど、別で準備した方が確実だし、バレなさそう。
えっーと、ということは。
電球型のカメラ、ポケットwi-fi。そして、下見。
これらを行えば監視できる。なるべく早く準備しないと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。
これからは和也の家族がどんな行動パターンなのかを調べていく。和也の行動パターンは学校があるため、読めるが、家族はわからない。和也の家族はシングルマザーで一人っ子だからお母様だけ。
お母様の仕事は看護師のはずだから、勤務時間が変動的な可能性がある。そのパターンを確認しないと。
今日も7時に家を出る。お母さんから最近早いねと言われるが、適当に誤魔化す。
外に出てからはポケットに潜ませていたマスクと伊達メガネをつける。これで軽く変装はできるはずだ。
なんか、不審者みたいだなー思うが、よくよく考えてみればそれは間違いじゃないなと思う。
前に来た公園で今日は目立たないように観察する。
時間は7時14分。
昨日のように目立たないように変装してきたが、むしろ逆に目立っている気がするが、気にしない。
和也の家を見ながら、本を読んでいると、
玄関の扉が開けられた。どうやら、お母様の出勤時間のようだ。
2022年9月23日 7時31分 お母様 出勤
私は慌てて、メモを取る。
和也の部屋の電気はついていない。今日はあの女との勉強会はないみたいだ。
バレないように隠れてお母様が出ていく姿を確認する。
和也の部屋の電気がついていないことを確認して、辺りにも人がいないことを確認する。
人はほとんどいない。今なら、和也から昔に聞いた、家の鍵の隠し場所を確認できるかもしれない。
公園から出て、不審者のようにキョロキョロ見渡しながら、家に近づいていく。
鍵は玄関扉の側にある、鉢植えの下にあるらしい。昔の話だけど。
怪しまれないように自分の家のように堂々と敷地に入る。
そして、扉の前で振り返り、改めて人がいないことを確認して、下にある鉢植えを持ち上げる。大きめの鉢植えのため、持ち上げるのが大変だ。
持ち上げた瞬間、金属音が聞こえる。下を見ると、鍵の姿がそこにはあった。
心の中でよし!と思ったが、この様子を人に見られるのはやばいと思い、慌てて鉢植えを元に戻す。
私は何事もなかったように家の敷地から出て、公園に戻る。
公園に戻った後はニヤニヤが止まらなかった。
これで和也の部屋に入って作戦が実行できる。
これで和也のことを見守れる。
これで和也は私のものになる。
これで和也を誰にも渡さなくて済む。
高まる気持ちを抑えながら、和也の部屋を見ていたら電気がついたことが確認できた。
慌てて、メモを取る。
2022年9月23日 7時56分 起床
やっぱり、8時前に起きていた。普通はこの時間に起きるのだろう。昨日はわざわざあの女のために苦手な早起きをしたんだ……
和也のことを振り回しているあの女に対しての、怒りと嫉妬で頭がおかしくなりそう。
でも、そろそろ私も学校に向かわないといけない。
和也が家を出るところを見守っていたいが、そんなことをしていると遅刻してしまう。
私は渋々、学校に向かう。
駅の近くでメガネとマスクを外して、いつもの格好に戻る。外すと周りの人からの目線が刺さる。まあ、いつものことだ。気にせずに学校に向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
教室に入り、適当に挨拶をする。
相変わらず、伊藤の手下たちが話しかけてくる。まあ、程よく無視しておこう。
和也はいないみたいだ。そりゃ、あの時間に起きたらギリギリの登校になるよね。
和也のことを考えながら、梨乃と喋る。今日の授業がーとか、来週のテストはー、とかどうでもいい話だ。
目線はどうしても、扉の方を向いてしまう。和也の姿をいち早くに見たいのだ。
ホームルームが始まる、7分ほど前に和也が入ってきた。少し、髪はボサボサで汗をかいている。
あぁ、可愛いな。
その汗を私が拭き取ってあげたいな。
それで、拭いたタオルは大切に、大切にしておくのに。
和也に挨拶する人も喋りかける人もおらず、一人ぼっちで咳に座る。
私は和也とのお喋りなら永遠に続けたいのに。訳もわからない男どもに話しかけられて……
しばらくしていると、一人ぼっちの和也に話しかける奴がいた。
あの泥棒猫だ。
その姿を見て、頭がおかしくなりそうなるが、目の前に梨乃がいるので押し止まった。
梨乃も話しながら、和也と泥棒猫との会話を聞き取る。
「テストって来週の水曜日からだったけ?」
和也がそう言ったのが聞こえた。
初めの方の会話は聞こえなかったが、どうやら、テストの話をしているみたいだ。
「そーだよ?」
泥棒猫はそう答える。一瞬、私の方を見た気がするが気のせいか?
「いいよー。水曜日まで放課後?になら勉強をしても」
和也が泥棒猫との勉強を教えることを承諾する。
まだ、和也をいいように使う!?
いや、違う。ただ、和也に対して邪な心があって近づいているんだった。
水曜日って、明日まで?それともテストが始まるまでの水曜日?
どっちにしても、あと何回かは一緒にいるってことか……
見張っていないと。もし、告白とかしようとしたら何とかして止めないと。
あ、監視するなら近くの方がいいかな。
それなら、私も誰かと勉強して教室に残ればいいんだー。
適当に話していた、梨乃に聞いてみた。
「ねえ。テストだし、2人で勉強しない?教室で」
「珍しいねー。愛が誰だと勉強するなんてー。苦手って言ってなかった?」
そう。本来の私は誰かと勉強するのが苦手だ。
まあ、正確には誰かというか和也とだけど……
だって、和也と勉強すると全然!集中できないもん!
だから、いろんな人には誰かと勉強するのが苦手だと言っていた。もちろん、梨乃にも言ったことはある。
「そうなんだけど、ちょっと最近、集中できなくて……」
「そーなんだ。まあ、1人だと違うことをしたくなるよね」
「うん。だから、勝手な話なんだけど、梨乃と一緒に勉強したいなって」
私は少し申し訳なさそうに言った。まあ、実際にとても自己中心的な話だし。
梨乃はそんな私の手を何故か手に取った。
「んー!かわいいなー!なにその表情?わざとでしょ?そんな顔してお願いされたら断れないよー」
自分でもどんな顔をしていたか分からない。でも、まあ承諾されならいいか。
「じゃあ、今日の放課後からでいい?」
「ごめん。今日までは部活があるんだ。だから、明日からかな」
明日でちょうどテスト1週間前だ。そのため、部活動は全て禁止になる。
帰宅部だから、忘れていた。
「そっか。そうだよね。分かったー。明日からよろしくね」
残念ながら今日までは近くで監視することはできないみたいだ。昨日のようにただただ、見続けることしかできない。
チャイムがなった。
泥棒猫も自分の教室に戻るみたいだ。帰り際に私はの方を睨んでいるのは、気のせいではないだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日もバレないように2時間ぐらい監視業務をこなす。理性の私がテスト前になにをやっているんだと、囁いてくるが当たり前のようにそれは無視される。
次の日の朝も和也家の近くの公園に行き、お母様の行動チェックをする。
お母様は7時半ごろに家を出て行っことを確認して、学校に向かった。和也はいつも通りの8時前に起きていた。
テスト1週間前になったこともあり、本格的にテスト勉強を始めた人が増えてきた。休み時間でも勉強をしている人が多い。
私は授業だけである程度の勉強はできてしまうので、テスト勉強は行わない。
でも、今日からは放課後に梨乃との勉強の約束があるのだから、どんなことをするかは考えておかないと。
梨乃に勉強を教えてあげてもいいかな。私に付き合ってもらっているし、それくらいはしないとね。
放課後になった。しかし、教室には残っている。
梨乃は前の席に座り、私と梨乃は向かい合って座っている。梨乃のイメージとは合わない、かわいい、ファンシー系の筆箱を見ると笑ってしまいそうになる。
こういうところも、可愛いと思う。
和也と泥棒猫は私の斜め後ろで勉強をしている。残念なことに私からは2人の様子が見えない。だから、2人の様子が見えるように、梨乃の左手の方に椅子を持っていく。
梨乃は少し不思議そうな顔をした。
「私の勉強に付き合ってくれているから、教えてあげるよ」
少し上から目線になってしまったが、梨乃はそれを気にする様子もなく、嬉しそうに
「ほんと!?学年トップの人に教えてもらえるなんて、最高だよー」
そういい、梨乃は問題を解いていく。私は友達をいいように利用していることに罪悪感を埋め合わすように、丁寧に教えていく。
梨乃に教えていない時は自分の勉強をしてるふりをしながら、和也の様子を見る。
すごく、近い。
顔と顔。
手と手。
肩と肩。
足と足。
2人の全てが近い。
どの部分も今にも触れてしまいそうだ。この様子を見ていると、間に割り込みたくなる。しかし、今の私にそんな権限はない。
そんな、放課後の勉強会が数日続いた。
私は朝に和也家に行くことと、学校では和也を見守っていることが当たり前のルーティーンになっていた。
1つ困ったことに放課後に教室で勉強する人が増えていったことだ。
テスト前だから勉強する人が増えるのは当たり前だけど、それにしても多い。まあ、理由は間違いなく私のせいだ。
なんか、私に勉強を教えてもらえるっていう訳の分からない噂が広がってそれを信じた馬鹿ともがノコノコとやってきたのだ。梨乃と勉強している時に当たり前のように教えてっと言ってくる奴が多くて、うざい。
まあ、梨乃にも迷惑だから優しく、ふんわりと邪魔しないでと言い、無視している。
そのおかげか、私に勉強を教えてとか言ってくるやつはいなくなった。まあ、それでも、教室に人が多いんだけど。
人が多くて和也と泥棒猫との会話が聞こえなくて困る。しかし、ずっと耳を傾けていたので、2人の会話をなんとか聞き取ることができた。
泥棒猫はなんと!土曜日にも和也と一緒にいようとしているみたい。
土曜日は私すら会うことができないのに、それを当たり前のように覆すなんて。
土曜日に会うなら、告白の可能性があるかな?それは絶対に阻止しないと。
土曜日、駅前のファミレスか……
ちゃんと、監視しないと!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
土曜日に2人が何時に会うかが、分からない。だから、今日も朝から和也家の側に来ている。
9時頃に和也の部屋の電気がついた。土曜なのに起きるのが早いなっと思った。そんなに、あの女との勉強会を楽しみにしているのだろうか?
和也が起きるのが早かったため、早めにファミレスに集合するのかと思った。しかし、和也が家を出てきたのは12時32分だった。
和也は自転車に乗って学校の方向に走っていく。和也の私服姿を写真に撮ってしまったのは秘密だ。
私も今日は自転車で来ているので、バレないように和也の後を追う。
13時ごろに学校近くのファミレスに着き、和也は汗拭きシートで汗を拭っていた。
その汗拭きシートを無性に手に入れたくなったが、和也はあらかじめ準備していた袋に入れた。残念ながら手に入れるのは無理そうだ。
13時を少し過ぎたあたりに、あの女がやってきた。あの女は可愛い格好をして、あからさまに和也のことを誘っている。今すぐにでも、その服をその鞄をその靴をぐちゃぐちゃにしてしまいたくなった。
2人はファミレスに入って、私はついて行くことができなかった。
幸いにも窓際に座ってくれたため、2人の様子を伺うことはできる。
しかし、問題はファミレスの近くに身を隠せる場所がないことだ。住宅地と駅しかなくて何もせずに立っているのは怪しまれる。まあ、怪しまれたとしても2人を放置することはできない。
私は比較的、人が少ない住宅地の方に行き、遠くから和也たちを監視する。
夕方になった。何時間ここにいたのだろうか?
なんども日焼け止めを塗り直したので、日焼けはしないだろうが周りの人からは変な目で見られた。
2人はファミレスから出てきて、そこで解散する。
どうやら、何事もなかったみたいだ。
私は一日中、何をしていたのだろうと思う。しかし、ずっと和也を目に焼き付けることができたのは凄く幸せな休日ではないだろうか?
不愉快な女がいなければもっといい日になっていたのにな。
あと、1話で愛目線は終わると思います(願望)