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魔王城へ

フランソワ先生に促され、わたし達は外に出た。

すると、上空に黒い太陽のようなものが光り輝いていた。

学園中の生徒及び関係者の全員が外に出て、突然現れた黒い太陽のようなものを指さし口々に噂する。


「ミルロ、あれって?」

隣に立つメイ様は何か気づいたようにわたしに話しかけた。

わたしはその言葉に同意をする。

「はい、メイ様の思っている通りです。あの黒く輝いているのは魔王城です。そしてカトレアはあの場所にいます。」


「しかしあんな上空にどうやっていくんだ!?」

わたしの言葉にお兄様は反応すると尋ねた。


わたしは考える。

ゲームだと飛行船であの場所に行くことになる。

しかし、飛行船は帝国戦争編をクリアしないと手に入らない。

飛行船は帝国の秘密兵器だ。

帝国の飛行船による上空からの爆撃で、王国は尋常ではない被害を被り、多くの人が亡くなる。


わたしとメイ様はジークとは和解している。

しかし、後の帝国の皇帝となる兄のアークとの交流は薄い。

たとえ、魔王によりこの世界に危機が訪れようと、現時点で協力を得られることは難しいだろう。

それに帝国戦争が起こるとしても、まだ1年先の未来だ。飛行船が完成していない可能性も考えられた。


カトレア・・・。

なにが魔王城で待ってるよ。

行こうにも行けないじゃない。


わたしは移動手段が思いつかず言葉を失う。


「おい!なんだ、何かが近づいてくるぞ!」

すると男子生徒の1人が大声をあげて空を指し示した。


「なんだ、あれは?鳥か?それとも魔物か?」

その男子学生の声を受けて周りがざわめき立つ。

どうやら、何かがこちらに近づいてくるようだ。


「待て!あれは、ドラゴンだ!?」


「ドラゴンだと、そんな馬鹿な?」


「いや、本当にドラゴンだぞ。こっちに真っ直ぐ近づいてくる。逃げるぞ、ここは危険だ!?」


どうやら、近づいてくる物体はドラゴンであった。

黒い太陽のようなものを見る為に、外に出ていた者たちは突然のドラゴンの襲来にパニックになる。

慌てて校舎の中へと逃げ出した。


周りは大混乱になり、逃げ惑う人々で溢れかえる。


「おい!ミルロ、メイ。逃げるぞ!」

ゼノンも慌てた口調で、わたし達に声をかけ逃げるように促した。

しかし、わたしとメイ様は近づいてくるドラゴンに見覚えがあった。


「ミルロあれって?」

メイ様はドラゴンを指さし呟く。


「はい、メイ様。あれは青龍ですね!おーい!!」

わたしは近づいてくるドラゴンが青龍と分かると、両手を振り呼びかけた。


どうやら青龍はわたしに気づいたようだ。

方向を変えると、真っ直ぐにわたし達の方向へと進路を変える。

そしてすぐにわたし達の前に現れると、目の前で着地した。


「おお、ミルロ、メイ!元気だったか?」

青龍はわたし達の再会を喜び嬉しそうに声をかけた。


「はい、わたしとミルロは元気でしたよ。青龍様も元気そうですね。」


「青龍なんで貴方が突然ここに来たんですか?」

メイ様は笑顔で青龍に挨拶を返し、わたしは驚いた口調で青龍に尋ねた。


「わっはっはっは。そうか、元気そうで何よりだ。なーにちょっと、黒い月が出たので酒が飲みたくなってのー。この前のように酒を分けてもらおうとお主達を探していたんだよ」


「うーん。ミルロ、お酒って確かたくさん準備していましたよね?」

メイ様は青龍の言葉に首を傾げるとわたしに尋ねた。

「そうですね。今度、青龍に会った時の為に大量に仕入れていますよ。収納バッグに入れてあるので、出しましょうか?」


メイ様の言葉にわたしは答える。

何かあった時の為に、この前青龍にお酒を渡してからすぐにお酒を補充しておいた。

幸いにも収納バッグは異空間に繋がっている為、無限の容量がありなおかつ物が劣化しない。

その為、在庫を長期間持っていても特に問題ないのだ。

消費アイテムは使ったら補充する。

それはRPGの基本である。

決して、お酒をこっそりと飲もうとしたのではない。


メイ様はわたしの言葉に、少し考える素振りをすると笑顔で青龍に言葉を返した。


「ねえ、青龍様?お酒は在庫があるので差し上げますわ。1つお願いがあるのですが?」


「なんじゃ?酒をくれるなら、わしにできることならその願いを叶えてやるぞ!」

メイ様の言葉に青龍は嬉しそうに答えた。


「では黒い太陽のところまで、わたしとミルロを連れて行ってくれませんか?」


「なーに、そんなことお安いごようだ!」

メイ様の言葉に青龍はそんなこと簡単だと言うように即答した。


なるほど、流石メイ様だわ。

わたしはメイ様のご判断に感心する。

こうして、わたしとメイ様は青龍という移動手段を手に入れるのであった。


◇◇◇◇

「まったくドラゴンと友達だとは、お主達は本当に企画外じゃの。」

青龍に跨るわたしとメイ様を見た学園長は驚いた顔を浮かべため息をついた。


「ミルロ本当にメイ様と2人だけで行くのかい?俺達もついていくよ」


「そうだぜ、俺もまだまだ戦える!役に立つぞ」


「わたしもご一緒したいです。攻撃はできませんが、回復なら任せてください。」


お兄様、ゼノン、アリアも青龍に跨るわたし達を見て、ついてきてくれると言ってくれた。


その言葉にメイ様は、大きく首を横に振る。

「いえ、魔王は闇のオーラに守られて普通の攻撃ではダメージを与えることはできません。闇のオーラを破れるわたしとミルロで挑んできます。

お兄様達は、学園の人達をお願いできませんか?」


「そうか・・・それは残念だ。わかったよ、お前の帰りを待っているぞ。必ず生きて帰ってくるんだぞ」

ゼノンはメイ様の返答に寂しそうな顔をする。

しかし、すぐに切り替えるとメイ様を労った。


「俺も残念だよ。ミルロしっかり頼んだぞ」

お兄様も残念そうな顔を浮かべてわたしに声をかける。そんなお兄様に対してわたしは笑顔で答えた。


「うううっヒック。メイ、ミルロ。それでは、いくぞー!掴まっておけよ」

青龍はそう言うと、わたし達を背中に乗せて飛び上がった。

なお、青龍はメイ様との約束の前にお酒が飲みたいと譲らなかったので、先にお酒を渡した。

今回は何百リットルものお酒を持っていたので、それを全部青龍に渡したところ、彼は一気に飲み干した。


その為、今の青龍はべろんべろんで顔が真っ赤だ。

若干不安が残るものの、なんとか飛び上がることができたようだ。

わたしとメイ様はホッと胸を撫で下ろす。


「メイ君、ミルロ君、この世界のことは頼んだぞ」

学園長の言葉に、わたしとメイ様は決意を込めた目で頷いた。


こうしてわたしとメイ様は、学園長そしてお兄様達に見送られながら青龍に跨り魔王城へと向かうのであった。

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