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入学式①

いよいよ入学式の日がやってきた。

わたしとメイ様は、真新しい制服に身を包む。


「お二人ともすごくよく似合っていますよ」

ミアさんは笑顔で私達の制服姿を褒めてくれた。


この魔法学園の制服は、派手さはないものの可愛らしいデザインで有名だ。

女子の学生服は、淡い紅茶色を基調としており、赤いリボン、そしてスカートは紅茶色とクリーム色が網の目になったような可愛らしいデザインだ。

一方、男性の学生服は、女子と同じ紅茶色のブレザーに、紺色のネクタイをしている。


「はあ、流石に緊張しますわね。わたし人前で話をするのが苦手なのよね」

隣に立つメイ様は、憂鬱そうに溜息をついた。

メイ様は、1年生の首席代表として壇上で新入生挨拶を行う。


新入生は全部で50名だが、在校生や来賓の方達を加えると全部で1000人近くに膨れ上がる。

そんな大勢の前で挨拶をするのだ。

緊張するのは無理はない。

あがり症のわたしだったら、気が気でないであろう。

わたしは、少しでもメイ様の緊張を和らげようと声をかけた。


「メイ様、わたしならともかくメイ様なら大丈夫ですよ。新入生の席でメイ様の晴れ舞台をしっかり見ていますからね。」


そんな言葉に対して、メイ様は溜息をつくと笑顔で応えた。

「もうミルロ。余計に緊張するじゃない。でもありがとう」


「うふふ。わたしも是非メイ様の挨拶お聞きしたかったですね。生徒じゃないのが残念です」


そんなわたしとメイ様のやり取りに、ミアさんが笑顔で話に入る。


「あら?ミアも参加する?来賓席もあるし、見に来てもいいわよ」

メイ様の言葉に、ミアさんはパッと顔が明るくなる。


「本当ですか?それなら是非参加させて頂きますね、わたし学校に行ったことがないので、楽しみです。」

ミアさんは今日留守番の予定だった。

だが、メイ様の思ってもいない提案に嬉しそうに笑顔になる。


こうして、わたし達3人は寮である家を後にして、入学式の会場である体育館へと向かうのであった。


◇◇◇◇

体育館は非常に大きく豪華な建物であった。

東京ドームよりも広い敷地に、前世の知識で言うところのバルテノン神殿のような豪華な石造りの建物だ。

だが、この石は普通の石ではない。

「魔封石」と呼ばれているもので、非常に魔力を通しにくい物質だ。

その為、魔法では非常に壊れにくく、魔法の演習場等によく使われている。

だが魔法に強い反面、衝撃に弱く非常に脆い。

よって物理には弱いので、完璧な無敵の物質ではないのだ。


「では、メイ様。お話し楽しみにしておりますね」


体育館前に来ると、わたしとミアさんは、メイ様に声をかけた。

わたしは一般学生席、ミアさんは来賓席、メイ様は壇上で新入生挨拶を行う為、関係者席に座る。

その為、この体育館前で一旦お別れなのだ。


「ええ、ミルロ、ミア緊張しますが頑張りますね。しっかり見守っていてください」

メイ様は私達に笑顔で返す。


暫く2人と言葉を交わした後、わたしはメイ様そしてミアさんと別れようとした時、少し遠くの方から刺すような視線を感じた。


わたしは視線の方を振り向かず、魔力探知で相手の動向を探る。


するとそこには『ジーク=キルラルド』が忌々しげにメイ様を睨みつけているのを感じた。

全然懲りていないのね・・・。

わたしは彼の様子を探り、心の中でため息をつく。


だがジークはすぐに表情が変わった。

ニヤリとやらしい笑みを浮かべると、2人の取り巻きと話を始めたのだ。

何を話しているのかまではわからない。

だが振り向く訳にはいかない、振り向くと相手に気づかれてしまう。

わたしは必死に探知魔法を研ぎ澄まし、相手の動向を探る。

そして話も終わったのか、ジーク達がこの場を去ろうとした時、わたしは彼の最後の視線を見逃さなかった。

わたしそしてメイ様ではなく、ミアさんを見ていたのだ。

もしかして、狙いはミアさん?


わたしはそう直感すると、急いで2人を追いかけて呼び止めた。

わたしの血相を変えた様子に、2人は心配した顔を浮かべる。

「ミルロどうしたの?忘れ物?」


「ミルロどうしました?」


「メイ様、ミアさん実は・・・」

わたしはジークの視線、そして嫌な予感がしたことを2人に伝えるのであった。


◇◇◇◇

メイ様達と話をして作戦を立てたわたしは、一般席の

受付にやってきた。

話こんでしまった為、もうすぐ入学式が始まる時間だ。

みんなもう体育館の中に入っているのか、受付はがらんとしている。

すると、受付の人らしき人に声をかけられ、手招きされた。

どうやら受付担当の人のようだ。

わたしは呼びかけられた方へと向かう。


「遅かったですね。もう少し早く来ないといけませんよ」


「申し訳ありません。少し迷ってしまって」

咄嗟にわたしは言い訳を言う。

受付担当の方は少し年配の女性であった。

30代後半か40代前半くらいであろうか。

金色の髪の毛に、左右の瞳の色が違う。

オッドアイというやつであろう。

右目が青、左目が黄の色をしている。

青いローブを着た非常にグラマラスな女性だ。


「貴女がミルロ=マルチーズさんね。私は担当教員のイングランドよ。

貴女は序列2位なのだから、今後は皆さんの見本になるように、もう少し早く来るようにしてくださいね」

受付の女性は名前を名乗り担当教員だと伝えると、わたしにワッペンを手渡した。

ワッペンには数字の2が記されている。


「これは序列を表す身分証明書だから、常に身につけておいてくださいね。では急いで中に入りなさい。」

わたしは渡されたワッペンを左胸に付けると、急いで体育館に入るのであった。


中に入ると、学生席は既に人で埋まっていた。

今年の入学者数は、わたしを入れて50人だ。

1列に5人、10列に並んで座っている。

座る順番は序列順になっているので、2番のわたしは1番前の右端だ。

前に1つの空席があったので、その席へと向かう。

向かいながら、わたしは他の学生席を見た。

学生席はわたしの前の席の他に、わたしの席より少し後ろ、真ん中、そして後ろの方に3つ空席があった。

内1つは昨日、メイ様に魔法を放ったジークの取り巻きだ。

彼は序列8位の学生で、罰を受けて1週間の謹慎処分になっているのでこの場にはいないので1つ空席なのはわかる。

あの魔法で序列8位?と驚いたのだが、おそらく手加減したのであろう。

だが、残り2つの椅子は・・・?

その空いた椅子を見て、わたしは先程の嫌な予感は間違いないではなかったと確信を強めるのであった。


「遅かったな、序列2位さんよ。」

わたしが椅子に座ると、待っていたかのように隣の席に座るジークが話しかけてきた。


「はい、少し道に迷ってしまって」

わたしは先程と同じように嘘をつく。

そんなわたしの言葉に対して、彼は笑いを浮かべると勝ち誇ったように言葉を続けた。


「思ったよりマヌケな奴なんだな。ところで、メイの野郎にはお前の他に、もう1人メイドがいたよな?1人にして大丈夫なのか?事故にあってなかったら、いいのによ」


そう言うと彼は楽しそうに、わたしに笑いかけるのであった。

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