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王女との戯れ

メイ様の護衛騎士になってから、1週間の時が流れた。

お風呂とマッサージによってメイ様のご機嫌を取ったわたしは、無事に護衛として業務に励んでいた。

なお業務と行っても、お風呂に一緒に入ったり、身の回りのお世話をしたり、話し相手になるくらいなのだが・・・。

その為、わたしとしてはあまり刺激のない日常が続いていた。


なお護衛であるわたしがなぜ身の回りの世話もしているのかというと、護衛業務に加えて、メイ様の専属侍女の兼務も命じられたからだ。

なお護衛の際の服装は、なぜか騎士団の服ではなくメイド服を着用していたりする。

前にミアという侍女がいたらしいが、どうやらクビになったようだ。

なお、侍女の仕事は初めてだったが髪をとかしたり、部屋を掃除するくらいなので、前世の知識でなんとかなった。


「はあー極楽ですわー」

湯舟にうつぶせに寝ころぶメイ様は、気持ちよさそうに至福の声をあげた。

もちろんだが、お風呂に入りながら、マッサージができるように今はお湯の量を減らしてある。

わたしは指を滑らかに滑らせながら、メイ様のツボを的確に射抜きマッサージを施した。


メイ様のお肌は最初ガサツキがあったものの、この1週間ずっと一緒にお風呂に入ったことで今は絹のように滑らかだ。

ツボを刺激する度に、メイ様の体はびくびくと跳ねた。


メイ様は金髪碧眼の美少女、一方わたしも自分で言うのもなんだが、水色の髪とルビー色の瞳をした美少女だ。

もしこの場に誰かいたならば二人の美少女達が裸で体を触る姿は、まるで妖精達のたわむれのように思うだろう。


だが、生憎わたしは百合の性癖はない。

女性のやわらかい体も好きだが、どちらかと言えば固い筋肉質な体の方が好きだ。

と言っても、前世では彼氏はいなかったのだが・・・。

その為、美少女のメイ様をマッサージしても、魔が差して襲い掛かるということはなかった。


「ねえ?ミルロ。わたしも貴女のように魔法が使えるようになるかしら?」


お風呂も終わり、服に着替えたわたしにメイ様が話しかけてきた。

いよいよ来たか、この言葉を待っていたよ。

その言葉を聞き、内心わたしはほくそ笑む。


実はわたしは、メイ様の性格を変えたいと考えていた。

ゲーム内のメイ様は、敵である帝国側に味方して王国に不利益を及ぼす。

そして主人公のゼノンに毒を盛った罪で断罪される。


そうならないように、わたしがメイ様を帝国側に拉致されないようにしっかり守るというのは必須で、さらに性格を変えてメイ様自身を救いたいと思い至ったのだ。


この1週間、一緒に過ごしてみてわかったが、メイ様は根は悪い人ではない。

メイ様が引きこもりで我儘なのは、優秀な兄と比べられて自分に自信がないからだ。


わたしはそんな彼女を救いたいと思っている。

その方法として、まずは魔法を教えて自信を取り戻してもらおうと考えていたのだ。

幸いにも、ゲームの設定ではメイ様は魔力が高いらしい。

魔力が高いというのは、生まれ持ったすごい才能なのだ。

それを活用するに越したことはない。


「メイ様、練習したら使えるようになりますよ。どうですか、一緒に練習しませんか?」


「わたし才能ないから無理よ。先生に笑われたもの・・・」

メイ様はわたしの言葉に対して、寂しそうな顔で答えた。

「大丈夫ですよ、メイ様は凄い才能をお持ちです。わたし魔力を感じられるので、わかるんです。貴女の持つ魔力は、わたしが知る誰よりも強いです」


これは半分嘘だ。

わたしは探知魔法で魔力を感じられるものの、その人の魔力総量や強さはわからない。

だがゲーム内の説明では、メイ様の魔力はかなり高いと記されていた。

ただし、ゲームでのメイ様は魔法を使うような描写がなく、戦闘では敵でも味方でも登場しないので、断言はできないのだが・・・。

だが、メイ様に安心してもらう為にも、わたしは断言した。


「わかったわ。貴女がそう言うなら、練習に付き合ってあげる。でも笑わないでよ?」


「もちろんです。」


こうしてメイ様の魔法特訓が始まった。


◇◇◇◇

翌日、わたし達は魔法の練習をする為に、王族専用の演習場に来た。

演習場は、騎士団のものよりは狭いものの流石に王族専用と言うべきか、かなり設備が充実していた。

剣を打ち込むための人形や、弓を練習するための的まで完備されている。

ここなら思う存分練習できそうだ。


「それではメイ様、始めますね。まずは精霊を出してください」

わたしの言葉にメイ様は、ゴクリと緊張した顔を浮かべると精霊を呼び出した。

聞くところによると、3ヶ月ぶりだそうだ。


そんなに放置してたら精霊は言うことを聞くのか心配だったが、ユキメに尋ねると大丈夫らしい。

契約した精霊はご主人様が大好きで、それくらいでは嫌いにならないらしいのだ。

しかしそれでも悲しいものは悲しいので、定期的に呼び出して欲しいとユキメは話していた。

もちろんわたしは毎日ユキメを呼び出しているし、暇な時は一緒に話をしている。

まだ3ヶ月間の付き合いだが、今では無くてはならないパートナーだ。


「お願いでてきて、ライラ」


メイ様がそう告げると、空中でバチンと静電気が起こった。

そして、黄色い鳥の精霊が現れた。


ライラは、可愛らしい鳥の精霊で、頭が大きく目はクリっとしている。

体は雷のようにトゲトゲしい。

そして立派な翼を生やしていた

大きさはユキメと同じ30センチくらいで、ユキメと同じくその姿は、幽霊のように透けている。


「メイ、寂しかったよ。呼び出してくれてありがとう」

呼び出されたライラは、現れると悲しそうな顔でメイ様を見た。

その言葉にメイ様は、申し訳なさそうな顔をして下を向く。

それを見かねたわたしは、そっとメイ様に耳打ちした。

「ライラはメイ様のことが大好きみたいですよ、ここはごめんなさいでよろしいかと」

わたしの言葉に、メイ様はこくりと頷くとじっとライラを見つめる。


わたしとユキメは、そっと2人の様子を見守った。


「ライラ、ごめんなさい。今まで呼び出せなくて・・・本当にごめんなさい」

メイ様はそう言うと、ポロポロと涙をこぼした。

ライラはそんなメイ様に、そっと寄り添う。


「ううん。僕の方こそ、この前、力に成れなくてごめんなさい。でも僕メイのことが大好きなんだ。今度はもっと呼び出してくれる?」


「ええ、もちらんよ。ライラありがとう。今度から大切にするから・・・。」


メイ様とライラの様子を見て、わたしとユキメは笑顔になる。

メイ様がライラにしたことは、精霊と契約した者として有り得ないかもしれない。

だが、2人はきちんと仲直りした。

メイ様とライラの笑顔を見ると、そう確信できる。


「ユキメ、精霊って凄い優しいね。でもわたしはユキメが1番だよ。いつも一緒に居てくれてありがとう」


「うふふ。ミルロのおかげで、わたしは毎日楽しいわ。こちらこそありがとう、ミルロ。これからも宜しくね」


そんな2人の様子を見ていると、ついユキメにもお礼が言いたくなった。

仲直りするメイ様とライラを見守りながら、わたしはユキメと契約できたことを、感謝するのであった。

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