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カルミアの魔女  作者: 黒目
第三章 絶対私は私に打ち勝つ!
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第十八話 男手一つの子育てパパさんの悩み!読書家キャバ嬢式カウンセリング開始!(その3)

私も子供を育てる上でどれが正解かわからなくなる時があります。でも自分が今幸せならいっか!と思います。幸せならそれでいいんじゃない?笑

次回:麗華の実家凸編に入ります!

「では、聞かせてもらえるかい?先生なりの見解を」


「わかりました。ただ、お父さんの思っている解答と少しずれた考えになってしまったかもしれないんですが」


「大丈夫だ。先生なりの考えでいい」


私は持ってきたノートとを開く。相変わらず対面して座った時の威圧感が凄い。入れてもらったコーヒーを一口飲む。


「私、正直父親の気持ちってわからなかったんです。どんなことを考えて子供を育てているかとか」


「まぁそりゃそうだろうね。先生はまだ若い。家庭を持ってしかわからないこともあるだろう」


「でも、もし真一君のお父さんのような人が自分の父親だったらって考えたら、この人がどう思って私を育ててるのかが少しわかった気がします」


「ほぅ、それはまた。難しいことを考えたんだね」


「もし私が真一君の立場なら、自分のお父さんは幸せになってほしい、そう思います」


「そんな言葉、真一から聞けたら確かに嬉しいね。しかしそれが僕の悩みとどう関係するのかい?」


「その【幸せ】っていうキーワードがカギなんだと思いました」


「幸せ?」


自分の予想した解答とは違い少し困惑したのだろうか、源一は眉間に皺を寄せコーヒーを飲む。


「自分がなぜ会社で大変な思いをしてお金を稼ぎ、なぜそれを子供に使い、子供を育てているか、それは自分が【幸せ】になるからだと思います」


「なるほど、幸せか、私は今幸せなんだろうか、あまり考えたことがなかったな」


源一はさらにコーヒーを飲む。そして腕を組んで深く悩む。


2分ほど悩んだ後、渋かった顔を緩め私の顔を見る。


「なんで自分が行動するかなんて、そんなの当たり前じゃないか、案外簡単な回答だったのかもしれないね」


「ふふっ、そうですよね、でも正直私も普段は忘れてしまっています。とっても重要なことなんですけど」


「ただ、そうなるとさらに疑問が出てくる。これは少し意地悪な質問かもしれないが、私が今やっていることが本当に幸せにつながっているのか?もしつながっていないのであればどうすれば幸せになるのか?それはとても難しいものなんじゃないか?そんな難しいこと先生にわかるのかい?」


「自分のやっていることが幸せにつながるかはわかりません」


「やはりそうか」


「でも、自分が今幸せかどうかは大まかにわかると思います」


「そんなことができるのかい?幸せは人それぞれだろう?」


ここで私は自分のスマートフォンを取り出し、とあるページを開いた。


「このサイトってご存じですか?」


「なんだいそれは?」


「これは米国のイリノイ大学名誉教授のエド・ディーナー博士が開発した【人生満足度尺度】です。これは5つの質問に答えるだけで、その人が主観的に感じている幸福度を測ることができます。その5つの質問はこの通りです」


1. ほとんどの面で、私の人生は私の理想に近い

2. 私の人生は、とてもすばらしい状態だ

3. 私は自分の人生に満足している

4. 私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた

5. もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう


「なるほど、そんなものがあるのか」


「そして、この5つの質問に対し、1 全くそう思わない、2 ほとんどそう思わない、3 あまりそう思わない、4 どちらともいえない、5 すこしそう思う、6 かなりそう思う、7 とてもそう思う、の7点満点で評価してください。この人生満足尺度はいくつか欠点がありますが、大まかにならこのテストで自分が今幸せか不幸せかがわかります。このテストを一度やってみてもらえませんか?」


「わかった、やってみよう」


私のスマートフォンを渡し、目の前で源一がポチポチとボタンを押す。時々手が止まって、気が付けばたった5項目を評価するだけで5分も経っていた。


「できたのだが、これでどうすればいい?」


「できたら一番下の診断のボタンを押してください。すると合計何点かわかるでしょう」


「なるほど、診断っと・・・ふむ、27点、だいたいにおいて人生が順調な人です。26~28点以上の人は日本人の上位15%に属すると考えてよいでしょう。と出てきたな」


「そうなんですね、なら今お父様は幸せなんですね」


「そうか、私は、幸せだったのか・・・」


源一は深くため息をついて天井を見上げる。彼なりに今までの人生で思うことがあったのだろう。


「今科学的に見てお父様幸せであるのであれば、ひょっとして今までやってきた真一くんの子育ては、自分が幸せになるためにやっていたんじゃないかな?と推測します。なので結論として、私はお父様がなぜこんなにも頑張って子供を育てているか、その行動原理は、一説として真一君を育てることは自分が幸せになるから、その自分の幸せのために今行動している、と考えます。ここまでが私の考えです」


私はそう言い切り、ノートを閉じた。


「なるほど。自分が幸せになるために子供を育てている。確かにそうかもしれない。私は案外、子煩悩な父親だったのかもしれないな」


源一は微笑み、残っていたコーヒーを飲み干す。


その後は真一絡みの取り留めもない会話をして家を出た。



_____________________________________________


家に着くとすぐにシャワーを浴び、今日のことを思い出す。


「今日はありがとう。少し心が軽くなった気がするよ」


家を出る時のあの源一の顔を思い出すと、私の頬も緩んでくる。知識も経験も少ない私が人のために立てるのは嬉しい。


ただ、今回のことでわかったことがある。それは私は自分の幸せを軽視していたことだ。


私は父親に対して憎しみしかなかった。しかし父親の愛を別の所で知ることができた。


これが今回の出来事で一番の行幸だ。


まだ父親に対して許す気はなれない。しかし立ち向かう勇気が出てきた。


私は風呂場から出て体を吹き、スマートフォンを開いた。


「あ、お母さん?ちょっと今いい?」


私は近いうちにアイツがいる、自分の実家に突撃する。


そして過去の私に打ち勝つ決意をしたのだ。

参考サイト

人生満足尺度:

http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/happiness.html

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