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カルミアの魔女  作者: 黒目
第三章 絶対私は私に打ち勝つ!
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第八話 修行開始!効率的な勉強法と世界の教養

自分が就職活動をした時の事を思い出しながら書きました。

作者自身が妙に手に汗を感じてしまいました。

もし共感された方、また面白いと感じた方がいれば是非、高評価、ブックマークお願い致します。

「あ、でもまだ採用って決まったわけじゃないから!履歴書も書いてね!後当日は念のためスーツの方がいいかも!後はその場の起点と、自然に自分が思ったことを発言すれば大丈夫よ!」


 麗にそう伝えられたので、私はすぐに履歴書を準備した。履歴書をきちんと書くのは就職活動以来だ。念のためキャバクラに勤めていた時は無職ということにした。


「え~っと、この辺かな?あ、ここだ」


 私は麗に送られた住所に辿り着いた。スーツを着ているせいで自然と気が引き締まる。時間は土曜日の13時、曜日と時間を間違っていないことを確認する。今は12時55分と少し早いが、私は緊張してインターホンを鳴らした。


「はい、どなたでしょうか?」


「あ、麗さんの紹介で今日こちらで面接をさせていただく田中井麗華と申します」


声質から少し厳格な父親にさらに緊張が増す。


「あ~、あなたが、こんにちは、どうぞ中へ」


 ドアが開くとそこに現れたのは、40代中頃と思われる男性だ。強面顔で、その威厳あるオーラからさらに緊張してきた。家に入るとそこには質素な生活感が滲み出ていた。大きな家具はテーブル、本棚ぐらいしか見当たらない。


「こんにちは福沢ふくざわです。今日は足を運んでいただきありがとうございます」


「いえ、田中井麗華です。よろしくお願い致します」


私はリビングに通されて履歴書を出した。


「なるほど、漢字検定準一級をお持ちなんですね」


「あ、はい、休職中に時間があったので取りました」


「趣味は読書ですか」


「はい、本を読むのが好きで、それで得た知識を使ってみたくて漢字検定も受けてみたんです」


「ほぉ~というと?」


「そうですね、例えばこれは2014年にハーバード大学で行われた研究なのですが、48人の男女を集めてモニター上に色々な写真を表示させて、それを記憶してもらうという実験を行いました。その際全員を2つのグループに分け、まず1つ目は『途中で休憩をはさみ、前半に覚えた画像を思い出してもらい、後半にとりかかってもらったグループ』2つ目は『休憩を挟まず、すべての画像を通しで覚えてもらったグループ』という風に分けたそうです。その結果、


【間に休憩を挟んだグループの方が、成績は良かった】


ということです。また、途中で復習をしているので前半の部分を覚えているだけではないかと考えると思いますが、前半だけでなく後半も含めて全体的に成績が良くなっていたという研究結果が出ていることを知りました」


「ほぉ~なるほど、それはなぜなんですか?」


「勉強をする前や勉強の合間に、自分が知っていることや今勉強したことを考えるようにすると、その後に覚えるものが記憶に残りやすくなるのではないかと思います。私はこの情報を仕入れて、一気に勉強するのではなく、一時間以上は必ず勉強しないようにし、休憩を挟んでから勉強するようにしました」


「学校の時間割みたいですね。その他に工夫をされた点などはありますか?」


「はい、より効果的な学習法を探ると、クイズ形式の学習法であることがわかりました。問題集のようにして覚えているかどうかをチェックし思い出す練習、これを【検索練習】と言うのですが、模試やテストもこれにあたります。その検索練習の方がなぜ効果的かというと、その思い出す過程が重要だそうです。人間の記憶はインプットするときよりも忘れかけているものを思い出すことで定着していくものなので、思い出す練習を重ねることにより、記憶に定着するから使える知識として実践的になっていくわけです。なので私は自分が作ったノートを持ち歩いて、空いている時間に頭の中で漢字を思い出し、それで思い出せなかった時にすぐにノートを取り出して、思い出せなかった漢字を見返すようにしました」


「なるほど、ある意味あなたにとって漢字検定は、自分で読んだ本をきちんと生かして得た結果ということなんですね。素晴らしい努力ですね」


「ありがとうございます」


「ふ~ん……」


 福沢はそこで腕を組み、手で顎をさする。この面接時の自分を試されているような緊張感は久しぶりだ。50社以上も落とされた経験があるものの、正直このプレッシャーは中々慣れない。


「では、勉強とは少し離れて、最近は他にどんな本を読まれましたか?」


「そうですね、最近はもう少し教養を身につけたいと思い、あらゆる世界の教養が書かれてある本を読みました」


「例えばどんな内容ですか?」


「例えば、ブラックホールがどうやって生まれるのか?その原理の唱えている一説を知りました」


「ほぉ~それは今説明できますか?」


「はい、それは星が消滅する時に生まれたと言われています。星には重力があり、重力は星の内側に向かって働く力です。そして星がどんどん小さくなり、重力が星の中心にどんどん集まって収縮される。その集まった力は光さえも吸収されると言われているのです。その後星がなくなった時にその中心部分、俗に【特異点】と呼ばれる部分です。そこにある点にブラックホールができるのです」


「なるほど、それは知らなかったですね」


「重力のことを考えてみれば、理論上納得できる話だなと思いました。例えばロケットが地球から飛び出すためには、地球の重力よりも強い力(速さ)が必要になりますよね?要は、


【ロケットの力>重力】


が成り立って初めて宇宙に行けます。その地球の重力に歯向かうためにロケットの大きな力が生み出されたのだから、そんな地球の重力よりも大きな力は、きっとロケットの力なんて歯向かうことはできず、光の力(速度)すらも歯向かうことはできないと思えます。そして最強速度の光すら逆らうことができず、飲み込んでしまうため、世の中ではこの力を『ブラックホール』と呼ばれるのでしょう」


「なるほど、非常にわかりやすい説明をありがとうございます」


 その後も私は質問された内容に答えていった。20分ほどたった後、玄関の扉が開き、私の緊張感とは真逆の気だるそうな声で「ただいま~」という挨拶が聞こえてくる。そして中学生ぐらいだろうか?部活動を終えましたと言わんばかりの泥だらけの姿で、一人の少年が現れた。


「お、帰ってきたか」


「……誰?」


 その少年は私を見て、少し驚いた表情をする。


「息子の真一しんいちです。ほら真一、ご挨拶しなさい」


「こ、こんにちは」


 真一が会釈をして、私もそれに返す。


「田中井さん、今日は色々話していただきありがとうございました。是非真一の【家庭教師】を引き受けていただいてもよろしいでしょうか?」


 やはりそうか、なんとなく話の流れで何の仕事か伝わった。なので特に驚きはしなかった。


「ありがとうございます。是非引き受けさせていただきます。でも私は何を教えればいいのでしょうか?」


「あ~、すみません、それを確認していませんでしたね。今真一は中学二年で来年受験です。それまでに漢字検定準二級くらいは取っておけば、少し進学に有利に働くので、田中井さんには、


【真一を準二級を合格させる】


という仕事を引き受けていただきます。そのために必要な教材があれば言って下さい」


 なるほど、だから麗は私に「レイちゃんって漢字検定持ってたよね?」なんて質問をしたのだろう。


「承知致しました。私にできる限りの事を尽くさせていただきます」


「よろしくお願いします。じゃあ真一、【先生】に挨拶しなさい」


 その先生という呼び方と、福沢の威厳ある声で、その【先生】という言葉に、より一掃責任感を感じさせる。まさか自分の人生で先生と呼ばれる日が来るとは思わなかった。こうした責任感は初めてということもあるだろうが、さらに私の中で緊張が走った。


「よ、よろしくお願いします」


「よろしく、田中井です」


 福沢と真一に出口まで迎えられ、私はその家を去った。その後ある程度歩き、角を曲がって家が見えなくなった途端に、私は電柱に凭れ掛かった。


「つ、つかれた」


 今までにない緊張感から開放されて、ドっと肩の力が抜ける。なるべく緊張を悟られないように毅然とした立ち振る舞いを心がけたせいか、この短時間で妙に肩が重い。その肩の力を抜いた瞬間に顔の火照りを感じる。そこで始めて自分がどれだけ緊張していたのかが客観的に理解できた。同時に私はまだまだだとも感じた。


 しかし何はともあれ家庭教師の採用が決まったのだ。こうして私の家庭教師生活が始まった。


参考文献:

『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』,メンタリストDaiGo

『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』,デイヴィッド・S・キダー,ノア・D・オッペンハイム,小林朋則

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