第二話 修行開始!
私にベビーシッターの仕事を命じた女性は皆口順子。麗の友達で元キャバ嬢だ。4年前に結婚して今は2人の子供の母親だ。0歳7ヶ月の女の子は幸華、3歳の男の子は直人という。順子は現在専業主婦で、主な活動はその2人の子供の面倒だ。この2人の子供はとても可愛い。しかしその反面負担に感じることが最近増えてきたという。その生活に少し息苦しさや心の負担になっていることを麗に相談していて、ベビーシッターを雇ってはどうかという提案に行き着いたそうだ。そしてタイミングよく、キャバ嬢を休職する私がいたので、今回任せてみた。という流れらしい。
「ほんといいタイミングだったわ!丁度ベビーシッターさんを探してた所なのよ!」
「そうなんですね、それはよかったです。是非採用してください。昨日キャバ嬢首になっちゃったので」
「え!?そうなの!?まぁあの世界色々あるわよね~キャバ嬢も大変でしょ~?私も昔は色々あったな~」
順子は幸華を抱きながら、私に共感を示しつつ物思いにふける。
「まぁ何するかを聞かされてなかったことは驚いたけど、貴方の人となりは麗から聞いてるわ。だから安心して子供を任せるわ」
「あ、ありがとうございます」
順子のその一言はまさに今の私が欲しているものだった。それはまず1つ目に麗に見捨てられていないということ、2つ目に私の人となりを知ってて受け入れてくれていること。今の私にはそれだけで自己肯定感が格段に上がる。それと同時にこの仕事を引き受ける上での責任感も出てきた。私は責任を持ってこの子を預かることを心の中で誓った。
仕事時間は基本は朝9時から昼14時までの5時間、自給は1200円で任されることになった。順子はオムツの場所やオムツの変え方、哺乳瓶の洗い方やミルクの与え方など、一通りのことを私に伝え、直人を保育園に連れて行った。
その後はジムに行ったり読書をしたりと、一人の時間を過ごすとのことで、13時まで帰ってこないらしい。もう少し余裕が出来たりするときちんとメイクもしてショッピングも楽しんだりしたいとのことだ。
「んじゃいってきまーす!何かあったら連絡してねー!」
そう言って直人と出て行った。そして私と幸華の2人が残る。これは私の口から言うことではないが、幸華は最初は泣いていたものの、抱っこをしているとまったく泣くことはなく、今は私に抱えられながら自分の親指を咥えながら私をその大きな目で見る。
赤ちゃんのこの柔らかい感覚、この愛情を注がれていることがわかる甘い匂い。抱っこしているだけでこっちまで幸せになる。正直こんなに可愛い子の面倒を見るだけで自給1200円を貰って逆に言いのだろうかと思う。
と、四時間前の私は気軽に考えていた。その大変さも知らずに……
「おぎゃーー!!!おぎゃーー!!!」
それは順子が出て行って扉が閉まった瞬間に思い知った。




