第九話 反省会 怒りのまとめノートの作成と今後の対策
私は反省した。今日は休日を使ってなんとか対処したいと思い、私は家の近くにある本屋に立ち寄った。とくに何か特定の本を探しているわけではない。しかしこの場所にいると落ち着く。そして私は買うつもりもない本を選ぶ振りをしながら、昨日の夜の出来事を振り返る。
「お前マジで○すわ。ぜってー○すわ。半○しじゃすまさねぇからな?」
昨日の夜から私の頭の中で客に向かって言い放った言葉が消えては浮かんで、消えては浮かんでを繰り返す。私はあの日、久しぶりに○意が湧いた。あの日麗が止めに入らなければ私は間違いなくあの男性客をブン殴っていた。そうなれば店の評判は落ち、少なからず営業に影響は出るだろう。
まだカルミアに入って二週間程度だが、店の人には良くしてもらっていると思う。店長の麗はもちろん、先輩キャバ嬢である、ユリとエミリにはよくご飯を誘ってもらってるし、黒服の沖田は少しお茶らけた調子だから分かりにくいが、影ながら凄くサポートしてもらってる。その店の看板を私のような新人が軽率な判断で傷をつけようとしたのだ。二度と自分の怒りにコントロールされてはならないと悟った。その悟りを自分で捉えることができたのなら後は早い、内公的代表の私の得意分野であり、自分のフィールドでの勝負だ。
私はさっきまでいた本屋で、私が今抱えている【感情を制御する方法】について書かれてある本を片っ端から買いあさった。そして一心不乱に読み漁る。するとまず二つのことが理解できた。それは、①『怒りが発生する前の事前対処方法』、②『怒りの根本原因の解明』③『怒りの根本原因の対処方法』だ。
①については、
【自分を支える複数の柱をつくっておく】
等が挙げられる。もし、自分を支える柱が1本しかないとしたら、不安になって当然。しかし(たとえば趣味、あるいは家族との結びつきなど)複数の柱を持っていれば、1つの柱が倒れても「別の柱があるから大丈夫だ」と心の余裕が生まれると言うものだ。
また、柱を持つことと関連して、「自分でうまくいくと思える得意分野」を持っておくことも重要なポイントだ。小さなことでもいいから成功を体験することで、自分に自信が持てるというのです。得意分野でうまくいっていると安心できるもの。他のことで失敗したとしても、「まあいいや、自分には得意分野があるから」と思うことができ、不機嫌にならずにすむというわけだ。
また、②については、
まず怒りの原因についても調べてみた。怒りの原因とは脳内の「ノンアドレナリン」である。
ノルアドレナリンとは神経伝達物質のひとつで、不安や恐怖を引き起こしたり、覚醒、集中、記憶、積極性、痛みを感じなくするなどの働きがある。ではこのノンアドレナリンを無くせばいいかというとそうではない。このノンアドレナリンは本来、適度に分泌されることで、「やる気」「集中力」「活動性」「積極性」が高まり、脳の活性化に非常に役立つものである。
また怒りに関係してくる物質は「ノンアドレナリン」だけではない。怒りやストレスがかかっている時には「コルチゾール」も多く分泌されている。「コルチゾール」とは、ストレスに体が対処出来るようにするために分泌されるホルモンである。しかしノンアドレナリンと同様で、コルチゾールは増えすぎると、うつ病、自立神経失調症になりやすくなったり、記憶力の低下に繋がるのだ。
要するに何が重要かというと、【「ノルアドレナリン」や「コルチゾール」を適度に分泌する】ということである。では「ノルアドレナリン」を適度に分泌するにはどうすれば良いか。それは【適度に緊張と緩和のある環境に身を置くこと】だ。仕事でもオンとオフをしっかりと作り、集中とリラックスをうまく利用すること。仕事はいつも同じルーティンではなく、期限を決めたり、少しだけハードルを上げたりと、自分に程よいプレッシャーを与えることが大切だということだ。これをキャバ嬢という仕事に応用すると、本指名をいつもよりとるように意識したり、フリーで来たお客さんに場内指名をもらうようにがんばるなどが挙げられるとだろう。
そして③については、
まず怒りを感じる時に多く分泌される「ノンアドレナリン」や「コルチゾール」の分泌を下げる必要がある。ではノンアドレナリンとコルチゾールの分泌を押さえる方法として栄養バランスの取れた食事、そして十分な睡眠が必要である。
しかしそれでもそれらの物質が多く分泌された時にどうすればいいかというと、
【「セロトニン」と「オキシトシン」という、幸福感に影響を与える2つの脳内物質を分泌させることが重要】
と、記述している物もある。
セロトニンとは通称【幸せホルモン】と呼ばれ、心の安心感や安定感を生み出す神経伝達物質である。また、オキシトシンとは通称【抱擁ホルモン】と呼ばれ、ストレルの緩和や、不安や恐怖感の減少、さらに学習意欲と記憶力の向上にも役に立つ神経伝達物質である。これらのホルモンが怒りの感情を抑制する効果があるとされている。そしてこれらのホルモンが不足してくると、副交感神経の働きが衰え、ブレーキが利かなくなり、怒りが暴走するという仕組みなわけだ。
ここまでの情報を踏まえて自分自身を振り返ってみると、確かに私には柱がないことに気がつく。少なくとも他の人に示しやすい、分かりやすい得意分野がなかった。さらにこのオキシトシンというホルモンの分泌方法として、【他人と触れ合う】という方法が挙げられる。これも内公的な私にとってとても苦手なことで、今まであまり意識していなかったことだ。さらにこの夜の仕事についてから確かに十分な睡眠をとることも少なくなった。これではコルチゾールの分泌が多くなってしまう。こうしてみると私自身が怒りに支配されやすい人間であることが客観的に明らかになっていった。
「なるほど~・・・ん?まてよ?」
私は自分が集めた知識をまとめながら感嘆の声を漏らすが、そこでさらなる疑問が次々と湧いてきた。
セロトニンやオキシトシンの原材料はなんだろうか?
その原材料を摂取することによって自分に足りない補うことができないだろうか?
自分のできる範囲で分泌を促すことができないだろうか?
私はさらに本を読み、インターネットで調べた。すると、セロトニンやオキシトシンの原材料は【トリプトファン】と呼ばれる必須アミノ酸だった。必須アミノさんとは体内で摂取することができないので食物から得るしかない。そして多く含まれてある食物は豆腐・納豆などの大豆製品、他にも脂身の少ない肉・魚にも含まれることがわかった。さらに、日中に朝の光を浴びることや、運動によってもセロトニンの分泌に効果があるとされている。私はすぐにスーパーに向かい、サバなどの青魚や、豆腐などの買って、少し遅い朝ごはんとしてそれらの食物を取った。
またオキシトシンについては、相手と直接触れ合う以外にも、感動する、感情を素直に表す、親切を心がける、思いやりの気持ちを呼び覚ます等の方法によって分泌を促すことができることを知った。
では、①、②、③を踏まえて今日から取り組むべき方法は以下の7点である。
1.自分の心を支える複数の「柱」を作る。
2.適度に緊張と緩和のある環境に身を置く。
3.大豆製品や脂身の少ない肉や魚を取る。
4.日中に太陽の光を浴びる。
5.運動をする。
6.感動する物を探したり、親切心を心がける。
ここまでまとめて少し目標の達成が見えたような気がした。しかしここでもう一度考えてみる。これで私は昨日のように自分の怒りに支配されるような出来事に対処しきれるだろうか?昨日の情景を思い浮かべてみた。
「・・・いや、まだダメだ」
ここまで①『怒りの発生原因の解明』、②『怒りの根本原因の対処方法』、③『怒りが発生する前の事前対処方法』については理解できたが、これでは足りない。もっと瞬間的な、一瞬で怒りを静める具体的な手段がほしい。言うならば、④として『怒りが発生した後の事後対処方法』が必要なのだ。
その後1時間ほど買った本を読み漁った結果、とある気になったワードがあった。それは、
【アンガーマネイジメント】
という物である。このアンガーマネイジメントとは、怒りの感情をコントロールする心理トレーニングのことだ。また、「怒り」というのは自分の意識が「数秒前に起きた過去の出来事」にとらわれるから起こるなので、その瞬間を耐える方法として推奨されている対処法がある。その方法とは、例えば、【6秒思考停止方法】や【6秒グーパー方法】というものがある。この6秒という数値もポイントで、この6秒という時間は、脳の前頭葉が怒りを抑制するのに必要な時間とされている。この時間を過ぎると、怒りがある程度収まるのだ。
そして、前者は頭のなかでストップボタンをイメージして、イラッとした瞬間にそのボタンを押し、そのまま頭のなかの嵐を止めて、6秒間なにも考えないようにするものだ。「なにも考えない」という状態をつくりだすのが難しい場合は、「6秒カウント」することがポイントだ、後者はやり方はとても簡単で、イライラした時に手を閉じたり開いたりを繰り返すだけだ。
他にも【6秒ツボ押し方法】や、【6秒タイムアウト方法】なども推奨されている。これで、④『怒りが発生した後の事後対処方法』を少しは学ぶことができた。
ここまでの知識を振り返ってみると、
①怒りの発生原因の解明
②怒りの発生原因の対処方法
③怒りが発生する前の事前対処方法
④怒りが発生した後の事後対処方法
以上の4点が挙げられた。そしてこの4点を更に探求してノートにまとめ、私の休日はいつの間にか夜の23時を超えていた。
「もう二度とあんな失敗は嫌だ」
私はそう硬く心に誓い、ベットに潜った。
参考文献:
1.感情的にならない気持ちの整理術,和田秀樹
2.たった6秒で怒りを消す技術,安藤俊介・デューク更家
参考サイト
1.https://life-and-mind.com/control-anger17-317
2.https://www.kyotoliving.co.jp/article/101106/front/index.html
3.https://holos-brains.jp/blog/kioku/69/
4.https://syaruruk.exblog.jp/7001707/
5.https://www.mylohas.net/2017/01/059973anger_management.html
6.https://next.rikunabi.com/journal/20151128/




