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カルミアの魔女  作者: 黒目
第二章 絶対私はキャバ嬢で成り上がる!
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第七話 キャバ嬢の飲み会 取られた恋人の取り戻し方 

新キャラ情報

ユリ:21歳、元気で明るい性格のムードメーカー。低身長で金髪のウェーブがよく似合う女性。

エミリ:23歳、寛容でしっかりものの姉御肌。黒髪のストレートが似合う女性

 田中に本指名された一件から一週間が過ぎた。あれから本指名が二人ほど取れ、名実共に私は体験入店から履歴書を出して正式に【カルミア】のキャストとなった。今日もキャバ嬢の接客術の基本を抑えつつ、何事もなく仕事を終えたところだが、


「ねぇねぇレイちゃん!明日仕事終わりに飲みに行こう!今日私同伴なかったの!ね!ね!いいでしょー!あ、エミリちゃんも行こー!!!」

「え、え!?」

「お、いいなー、アタシもレイには興味あったんだ。よーし、先輩が奢ってやるぞー!」

「え、あ、ありがとうございます」


 先輩キャバのユリの一声で、今晩はユリ、エミリ、私の三人と晩御飯を食べにいくことになった。


「よーし!何飲む!?何飲む!?私ビール!」

「アタシも!」

「レイちゃんは何飲む!?」

「あ、じゃあウーロン茶で」

「すみませーん!ここにビール2つとウーロン茶1つ!」

「んじゃ何食べるー!?ここ焼き鳥美味しいんだよレイちゃん!」

「そうなんですね、じゃあ焼き鳥がいいです」

「アタシもー、ここの焼き鳥美味しいよねー」

「私も焼き鳥がいいー!キャバクラもこういう居酒屋メニュー置いてくれたらいいのにね!」

「それもう普通に居酒屋でいいだろ」


 お店についてすぐ飲み物と食べ物を頼んだ。このユリというキャバ嬢にヘルプについたことも何度かあったが、ユリの凄いとことは無から笑いが起こる所だ。例えるなら荒れた田畑で水も振っていないのにも関わらず、花が突然咲き、そこから田畑すべてがお花畑になる感覚だ。乾燥に弱い特徴がある花の1つに【百合】がある。何もない乾燥した、とても花が咲きそうでもない場所から花を咲かせる能力を持つユリにとても相性のいい名前だと思った。


「早速前々から気になったこと聞いていい?レイがさ、カリミアに来たキッカケって何?」

「キッカケですか?」


 エミリは焼き鳥と口に運びながら私に質問する。カミリアに入る機転となったのは麗にスカウトされたからだが、一番最初にカミリアを知ったのはなんだろうか?あ、そういえば公園で沖田に声を掛けられたのが最初のキッカケかもしれない。


「沖田さんに近くの公園で声をかけられました」

「えー!そうなんだ!」

「なんだアイツ!アタシには声かけたことなんてないぞー!後でおしおきだな!」

「え!え!で!それからその後どうなったの!?」


 ユリとエミリは食い入るように私に質問する。その後どうしたんだっけ?あ、そうだ、カルミアに案内されて、キャバクラの店内を見て感動して、麗に見た目のことを馬鹿にされ、そして・・・


「沖田さんを殴り倒しました」

「「なんでそうなったのぉ!?!?!?」」


 驚きつつも二人はお腹を抱えて大笑いする。その後どんどん夜が更けていき、「実はね!私好きな人がいるの!」というユリの一言で、ユリの恋愛話に話が移る。


「その人は中学の時からの幼馴染でさ、最近はそうでもなかったんだけど高校の時は多い月で休みの日に4・5回遊びに行ったんだよ!でもどうやら最近彼女ができたみたいなの!そこで初めて気がついてさ、私この人のことが好きなんだって。家も隣だから私が出勤する時に合う時があるんだ。その度に心の奥底が痛むんだけど私どうすればいい!?今日家の前掃除してたらアイツが丁度出勤してさ、『お!久しぶり!家の掃除とか心がけだな!叔母さんお前のこと心配してたぞー!』とか言ってくるんだよ?これってまだ脈あるかな!?まだいけると思う!?!?!?もー心が痛いよーー!!!失恋って辛いーー!」


 ユリは顔を両手で隠しながら「もー私どうすればいいんだろー!」と言って体をクネクネさせる。その様子を見てエミリは「失恋とかいいつつホントアンタ幸せそうだねー」と感嘆の声を漏らす。


「まぁ好きな人とは時間が共有できるかどうかだから合えてその位置にいたらいいんじゃない?ちょっと酷かもしれないけど。そして自分からもっと連絡していっぱいいっぱい気にかけてやったらいいんだよ。ほんでさ、アンタの幼馴染の彼女以上にアンタと時間を共有できたらこれはもう勝ったようなもんでしょ!そしたら彼女以上にアンタのことが心に残って時間が立つと、『あ~、オレやっぱりユリのことが好きだな』って!だから今は辛いかもしれないけど、今はそのポジションでいて、いっぱい自分から連絡を取って話を聞いてやったらいいんじゃない?恋愛なんていくらでも逆転可能よ!」


「わははは!」と大きく笑いながらエミリはジョッキの中のビールを飲み干す。


「そうかなー、まぁそれも一理あると思うけどぉ、ねぇねぇ!レイちゃんの意見も聞いて言い?レイちゃんの意見って変わってて面白いからユリ聞きたいなぁー!」


 ユリはキャバクラでお客さん相手に使うような甘ったるい声で私に意見を求める。恋愛はそれなりにあるが、他のキャバ嬢の人たちよりは数段劣ると思う。そこで私の経験を語るよりは自分の考えを話たほうがいいと思い、その場でいつものように「ん~そうですね」と相槌をついている間に、知識のパズルを頭で組み立てる。そしてパッと閃いた瞬間に言葉が勝手に出る。


「私はユリさんほど多く恋愛で悩んだ経験がないのですが、2点ほど思うところがあります。少し長くなるかもしれませんがよろしいですか?」

「え!なになに!?レイちゃんがこういう話の入り方をする時ってすっごく面白いのよね!」

「ほぅ、そうなのかい?じゃあこのエミリねぇさんもきぃーこおっと!」

「そう構えられると話づらいのですが」


 コホンと喉を整えてから自分の意見を述べる。


「これはベルン大学という海外の大学で行われた研究なのですが」

「え!?なに!?そんな大学あんの!?」

「あ、はい、それでその研究ってのは、約9000人の男女を三年間追跡して、男女の恋愛関係や結婚関係が壊れてしまった場合に、そのショックから立ち直るのにどれくらいの時間がかかるのかとか、具体的に男女が別れてしまった時にどのような精神的なダメージを受けるのかというようなことを調べたものです。その研究結果とは」

「「結果とは?」」

「【そのメンタル的なダメージから完全に立ち直るまでにかかる時間は平均すると1年ぐらいで、どのようなダメージを受けるかというと自尊心がダメージを受ける】という結果です」

「あ~でもそうかも、アタシが失恋した時もだいたい一年たったら自然と心の傷が治ったりしたかもな~」

「まぁユリさんの場合は自尊心が傷ついているわけではないので、もう少し早く立ち直れるのではないかと思います。たぶん半年くらいじゃないですか?」

「でもぉでもぉ!失恋から立ち直るまでの時間はわかったけど用はこれからどうすれば言いの?」

「それは失恋している間、ユリさんの場合は約半年くらい他のことに打ち込めばいいと思います。例えば仕事とか、趣味とかですかね。そこで精神面なり身体面なり、自分自身を鍛えるのがいいんじゃないでしょうか?難しいかもしれませんが」

「難しい!今はまだ考えられないよぉー!」

「あと心理学の本で読んだことがあるのですが、【返報性の原理】って言葉をご存知ですか?」

「あ、なんか聞いたことあるよそれ、アタシも客を落とすにはどうしたらいいのかってのを勉強した時に見たわ、その時にスマホにメモったのがあると思う。たしか、あ、あったあった【人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く】ってのだよね?WIKIに書いてあったよ」

「その通りです。なので、私もエミリさんの話に一理あると思いまして、相手を思って自分し、それが本当に相手にとって有益な連絡ならば、自然と相手もこの【返報性の原理】に則って関係を構築することができるんじゃないかと思います」

「おー!なるほどーー!!!」


 ユリは大げさに「コクンコクン」と頭を上下に振る。


「だからエミリさんの助言に加えて、


【自制心が傷ついていないのならば、半年間は恋愛以外の物に目を向け、自分の精神面と身体面を鍛えつつ、相手のことを思って有益な連絡を取り関係を繋いでいく】


という攻め方がいいんじゃないかと思います」


「「おーーー!!!」」


 ユリとエミリは大げさに両手をバチバチと拍手する。そこまで大げさに表現されると少し照れる。正直エミリの意見に少し情報を付け加えただけの意見で終わってしまったので逆に申し訳なくなってくる。

 その拍手が終わると同時に丁度「すみませんもう弊店のお時間になります」と、店員が話しかけてきて、私達は荷物をまとめて外に出た。


「いやーやっぱアンタ凄いね!」


 店から出た瞬間エミリは私の背中を「パンッ!」と叩いて褒める。


「なんていうかさ、よくそんなに言葉がポンポンと出てくるよね。そりゃキャバ嬢なんだから人に合わせて話すのは当たり前なんだけどさ、なんていうか、今まで聞いたことな位の話だけどちゃんと筋が通ってるっていうかさ。まぁアタシバカだからそんな否定的な意見をすぐに出るほうじゃないんだけど、聞いたことないけどなんか妙に納得できるんだよね」

「なーに二人で話してんの???」


 ユリは自分の会計を終えて私の間に無理やり入ってくる。


「別になんもねぇーよ。さ!帰ろうぜー!」


 エミリは少し照れくさそうにしてユリを自分から引き離す。自分が人のことを褒めるのを見られるのが照れくさいようだ。


「え、何々!?教えてよー!」

「いやだよ、ほら、早く帰るぞ!」

「あ、すみません。私反対側の駅なんです」

「あ、そうなの?んじゃもう夜遅いから気をつけて帰るんだぞー」

「レイちゃんバイバイ!今日はきちょーな意見をありがとう!また私の飲んでたくさん話聞いてねー!!!」


 私は二人と反対側の駅に向かい、その日はお開きとなった。

参考文献:

https://daigoblog.jp/catastrophe/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%94%E5%A0%B1%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86



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