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カルミアの魔女  作者: 黒目
第一章 絶対私はこのままで終わらない!
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第一章 絶対に私は這い上がる!

 私は田井中麗香、今年高校を卒業したばかりの18歳だ。高校卒業して折角入れた工場の職場も二ヶ月で辞めた。理由は上司のセクハラである。

 しかも当の本人はセクハラであるという自覚はなく、ただのスキンシップという程度の認識しかない始末だった。

 まぁ今思えば「今日も遅くまでがんばってるね!」と言って肩に手を置いたり、「結婚はいいよ~!キミ麗華ちゃんと結婚したらいいんじゃない?彼女綺麗で若いし将来性あるよ~!」など、そこまでセクハラというには軽い程度だったのかもしれないが、流石に経験人数や、何歳が初体験などを聞かれるだけでも私にとっては我慢できないほど気持ち悪い。

 そしてある日私の歓迎会の飲み会で、酔った勢いか私の肩や腰などいつも以上にボディータッチが多く、終いには私のお尻にも手を回してきたので、その時点で頭の中で何かがプツンと音を立てて切れ、


「お前いいかげんにせいやこのハゲ!!!こっちは介護じゃねーんだよボケが!お前の残り少ない青海苔ヘアー一本残らず毟り取るぞ!!!」


と言って、髪の毛を引っ張り倒してしまい、その上司への暴言と暴力で無事クビ、そして現在に至る。


 なぜそのように女性軽視の考えに過敏になってしまったのかについては、原因は自分でもはっきりとわかっている。

 私は11歳の時に親が離婚しており、離婚の原因は元父親のDVだ。その頃の母親は見るも無残で、毎晩のように涙を流していたことはまだ記憶に残っている。私も当然元父親にDVを受けていた。しかし、そのおかげで学校が私の怪我に気づき、公のものとなって元父親は逮捕、そしてめでたく離婚した。

 しかし、12歳の時に母親が再婚した。またその再婚相手は気持ち悪いメタボ親父のくせに、中学生になる娘の体をベタベタ触って来てくるロリコン親父だった。しかし一部上場企業の立場のある人物であり、お金を持っていることだけが唯一のメリットだ。ただ、誰も家にいない時に父親のパソコンを見ると、私の下着姿やお風呂に入っている時の盗撮写真がたくさん出てきた。母親に相談しようにも、母親は新しくできた弟の面倒で精一杯で、私に気を回す余裕などなかった。それでもお金を持っていることは事実であり、この父親に手放されては高校も通えず、なんなら弟や母も路頭に迷うことになる。その状況も考えると私はひたすら耐えるしかなかった。その娘へのセクハラは弟が成長するにしたがって少し減ってきたが、高校生になって何年かぶりに勝手にパソコンを開いて中身を見てみると、以前ほどではないが盗撮画像が増えていた。


「お金さえあれば!お金さえあればあああ!」


 そう言って枕を濡らす日を私は6年も続けたのだから自分でも本当に関心する。そんな家庭環境だからこそ卒業後すぐに家を出た。今思えばもう少し賢い対処方があったかもしれないが、当時は受け入れることで精一杯で、自然に身を任せることしかできなかった。

 おそらく今まで流されるままに生きてきたその反動もあって上司への暴言と暴力に繋がったのだろうなと自己分析してみる。


 高校生の時から少しづつバイトで貯金してきたお金も家賃、光熱費、食費でほとんどない。

「はぁ~~~~・・・どうしよう・・・」

 6畳ほどの狭い一室で深いため息ばかりついてしまう。こんな狭い空間で暗い未来ばかり考えていると本当に絶望しかないように思えてくる。

 しかし行動しないことには何も始まらない。


「いっよし!!」

ベットから起き上がり、自分の頬をパンパンと叩いて外に出るための身支度の準備をする。

一日でも早く働きたい。でなければあの地獄に逆戻りだ。

「もうあんな生活は絶対に嫌だ、絶対この生活から這い上がってやる!!!」

その一心で私は仕事を探した。


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