とっても嫌な目覚め
見切りで始めましたがよろしくお願いします。
あれ?おかしい。
今、私はどこにいるの?
八神 亜弓は、起きてすぐそんなことを考えた。
体を起こして周りを見渡すが果てのない真っ白い空間にいることしかわからない。
今自分はそんな空間をふわふわと浮いている。
「何で寝てたんだろう?……うーん……車を運転しててまばゆい光とともに目の前に何か緑の物体が急に現れてそれをよけたら男性の人を轢いてしまって……確かそのまま……そう! 電柱に突っ込んだような……」
寝る前に何をしていたかなんとなく思い出せてきた気がする。
そう! 兄の手伝いか何かをしていた気がする。
「あっ……やばっ……起きちゃった!?まだ心の準備がっ!?」
唐突にそんな声が聞こえたので亜弓はそちらの方向を向くと、そこには緑髪で赤い目をした中学生ぐらいの美少女が、口をひきつらせやってしまったという顔をしながらこちらを見ていた。
「あの、すみません……ここはどこでしょうか? それと起きちゃマズいです?」
「……」
彼女からの返答はなく口をへの字にして唸っていたが、様子を見て待っていたら口を開いてくれた。
「えっと、まずここは天国のような場所ですね。実際は神界ですが、私は女神という感じですね」
「な、なるほど?……ということは私は死んだ?」
「えぇ、そうなりますね」
「……マジかぁ」
確かに電柱に突っ込んだが、当たり所が悪かったのか私は死んでしまったらしい。
「……えっとそれで、私なんでここにいて起きたらマズかったんですか?」
「そ、それはですね……」
ものすごく申し訳なさそうに自称?女神様に聞いた話を要約するとこうだ。
下界に降りて遊ぼうとしたところ浮かれてしまっていてうっかり足を滑らせて私の車の真ん前に降り立ってしまったらしい。
そのまま私は誰かを跳ね飛ばし、さらに自分も死んでしまった……らしい。
「うぅ……申し訳ないです……数百年ぶりに降りられそうだったのでつい浮かれてしまって……」
「えっと……轢いた人は大丈夫でしたか?」
「轢かれた方は……別の方が対応していますので悪いようにはならないと思います」
「うーん、あんまりいい気分はしないけど私じゃどうしようもない……か」
「……それでですね あの……選んでもらいたいんですがこのまま記憶を消して元の世界で生まれ変わるというのが普通なのですが、もう一つ! 私が個人的に管理している世界で転生してもらうというのもあるんです。その世界は文明こそ遅れていますが、剣と魔法のファンタジー世界でして___」
私はファンタジーという言葉に反応した、魔法ですよ! 魔法! 使ってみたいじゃないですか!
「ふぁ! ファンタジー!? でも文明レベルが低いのかぁ……その世界で私、生きていけますか?」
「もちろん生きていけるように、前世の記憶も含めていろいろ! 特典としてつけちゃいますよ!」
緑の自称女神様は胸(平原)を張ってそう言う。
まぁその中学生ぐらいの背丈で胸があってもそれはそれでアンバランスな気もするが。
「あの、選択になかったんですがやっぱり元の地球で元のように戻ることって……」
「ぁー、できないですね。申し訳ないです。」
ものすごく申し訳なさそうに言われてしまった。これはたぶん無理そうだ。
「それじゃあ、そのファンタジー世界の方でお願いします。」
「はい! わかりました!」
緑の自称女神様は顔をパァっとほころばせた。
こうして、たぶん緑の女神様と私は顔をつきあわせて私にとっては重要な色々を協議するのであった。
どうすんだよこれ・・・・(; ・`д・´)