第1話 初めての町
俺が城壁の近づくと、
「そこの者止まれ」
門の前に立つ門番のような人が俺に槍を向け、問いかける。
「はい、町に入りたいのだが」
「それならこっちだ」
門番のような人に門の横にある建物に連れて行かれた。
「お前、身分を証明できるものはあるか」
「いや、持ってないな」
「なら、通せない。身分を証明できるものが無ければここを通すことは出来ないんだ」
「じゃあどうすれば良い」
「金はあるか、身分証を、発行してやる」
「ならこれでいいか」
そう言って袋から金塊を取り出した。ちなみにこの袋は森を歩いていた時盗賊らしき者達から奪った。
「よし、少し待っていろ」
そう言って門番は奥の建物に入っていった。
「じゃあ、名前は」
「エドだ」
本当はエンドルトと言う名前だが、その名前は邪神として世界に浸透してるだろう。
「出身は」
「分からない」
「どういう事だ」
「親に捨てられ、今まで森で生きてたからな」
「そうか」
「なら職業はないな」
「ああ」
「お前も苦労してるんだな。町に入ると大通りに冒険者ギルドと言う建物があるからそこで正式な身分証を発行して貰うと良い。」
「ああ、ありがとう」
そう言って俺はその建物を出た。
「ここが人の町か」
城壁をくぐった俺はその人の多さに驚愕した。俺が封印される前は人間は誕生したばかりでなかなか増えず少人数で固まって生活していたからだ。
「少し聞きたいのだが冒険者ギルドはどこにあるか知ってるか」
「おう、ここを真っ直ぐ行くと赤色の屋根の大きな建物がある。そこが冒険者ギルドだ」
おっさんがそう教えてくれた。
「ありがとう」
俺が大通りを進むと赤色の屋根の大きな建物があった。俺が扉を開けると、酒場と受け付けが横並びに設置されていて、数人が受け付けに列んでいた。俺がすいているところにならんでると、俺の順番が回ってきて、
「今回はどのようなご用件でしょうか」
「冒険者登録を頼む」
俺がそう言うと、
「はい、ではあちらで登録をお願いします」
俺は受付嬢が言った部屋に入った。すると、中には冊子が一つ置いてあり、一人の女の人が座って待っていた。
「はい、冒険者登録ですね。では冒険者について説明はいりますか」
「頼む」
「分かりました、では」
そう言って説明を始める女の話を纏めると、まず冒険者はギルドを通して依頼を受けたり、依頼したりすることが出来る。次に依頼を受けることでランクが上がり、Cランクからは試験がある。そしてランクが上がるとギルドからあらゆる特典がある。次に冒険者同士でパーティーを組んだりもできる。そしてギルドは冒険者同士の争いに一切介入しない。
「分かりましたか」
「ああ、分かった」
「では、この用紙の記入欄をうめてください」
俺は差し出された用紙の記入欄をうめると、
「ではこの用紙に血を垂らして下さい」
俺が言われた通り血を垂らすと、用紙は強く光り光りが収まると小さくなってカード型になった。
「はい、これが冒険者カードです。あとこれは身分証にもなります。」
俺はカードを受け取ると部屋を出て、
「魔物の素材は買い取れるか」
「はい、可能ですが」
俺は昨日捌いた肉などを売った。
「はい、ではこれでエド様はEランクになられました。そしてこれが素材を売ったお金になります。」
そう言って、銀色の硬貨を数枚渡された。そしてその日はそのままギルドを出た。