序章 人の体
「ふぁぁ、なにも居ないな」
あれから長い間飛び続けているが全く魔物に出くわさない。
「お、あれは」
遠くで小さな影が見えそちらに飛んでいった。すると、
「よし、人間だ」
俺は人間を視認すると速度を急激に高め、そこを飛び去った。
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カタ、コト、カタ、コト、、
馬の蹄の音が聞こえてくる。ここは馬車の中。今は近くの町に向かっている所だが、大きな音がしたかと思うと瞬く間にサル型の魔物が林から飛び出し、反対側に走り抜けていった。
「み、みろ」
御者の人が空を指さして叫ぶ。空には二枚の大きな翼を持つ2m程のの竜のような生き物が羽ばたいていた。その生き物はこちらを一瞥すると飛び去っていった。
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「ここら辺でいいだろう」
変化の術を使い人間に変化した。今の容姿は17歳くらいで、西洋風な顔立ちだった。
「ほう、こんなものか」
右手に魔力を集め一転集中で放出する、すると林が二つに割れて直線上の木々を破壊させた。
「すげえな」
なら、、、俺はそれから日が暮れるまで魔力操作と、体を動かして馴染ませた。
「そろそろ日没か。夕飯何にするか」
辺りを見回して見ると兎が飛び出してきたが、しかし捕まえることはできなかった。
「くそ、、、行くか」
龍に戻り近くを飛び回ると昨日のコトルの群れが岩山のところに止まっていたので、
「闇よ縛れ」
すべてのコトルを拘束し、
「地の力よ、我に集いて形を成せ」
土魔法で即席の剣を創り、一匹ずつ仕留め半分を闇に染め吸収した。そして残りの半分はその場で捌き、焼き鳥にして食べた。
次の日の朝、
「ふあぁ、、」
俺は目を擦りながら体を起こし、そのまま森林を一回りして戻ってきた。
「よし、まず力になれることだ」
俺はもう一度森林を一週しようと飛び立った。
「やっぱり良いな。森林は」
あれから数時間飛び続けているが、中々苦にならないは。おそらく野生になったことで感性も少し野生的になっているのだろう。
「ん、町か。」
高い壁があって中の方に建物が沢山あるのがみえた。
「今度行ってみようか。」
それからは、森林の魔物を数匹狩って岩山に戻った。
その夜俺は昼間狩った魔物達を捌いていた。
「地の力よ、形を成せ」
俺はナイフを創ってどんどん魔物を捌いていく。その中で肉の他に得たものが、
・毒袋 (ロングリザード)
・背の硬骨 (雷馬)
・分刃の牙 (乱刃狼)
・魔の粉末 (魔石・石塊猿)
この四つなのだが、「真実の根源」で調べるとここまで揃うと刀と言う武器を作れるようだ。早速「真実の根源」に従って武器を作成していく。まず硬骨をナイフで形を整え、牙に大量の魔力を注ぎ込み火魔法で牙と硬骨を溶接させる。次に毒袋に闇を注ぎ込み続けた。数時間注ぎ込んだ後、中の毒を容器にうつした。そしてさっきの刀を容器に漬け、闇を注ぎ込む。そして最後に粉末を魔力と共に刀に馴染ませた。
「よし、これでいいか」
作業が一段落したから、
「飯にするか」
捌いた雷馬の肉に串を通して、焚き火で炙り焼きにした。雷馬は魔法を扱う馬で魔力も多く保有しており肉も上質なのだ。ちなみに肉は魔力の量で旨みも変わる。肉に火が通って食べられるようになると俺は思わず全部食べて夕食は終了した。
刀はまだ魔力が安定していなかったので、
「闇よすべてを包みすべてを閉ざせ」
闇を使い外の空間と刀を遮断した。
「よし、これでいい」
龍に戻り岩場の端に体を丸めてその日はもう眠った。
太陽が昇り始めた今頃、
「よし、もう少しだ」
今度は刀が俺の魔力に耐えられるようにゆっくりと魔力のをながし、魔力の許容量を上げていく。「よし、完成だ」
その武器は刃から持ち手をあわせると90cm程で、刃は深い黒色で紫のラインがはしっている。鍔は金色でこれまた紫のラインが入っている。しかし何故か、物足りない。試しに魔力を流すと、一瞬闇が漏れたがそれが収束すると紫の刀身に黒の持ち手、金色の鍔の刀と化した。
「これはすごいなぁ」
刀を軽く振るうとなんの抵抗も無く木が真っ二つになった。そして魔力を流すのを止めると元の刀に戻った。することが無くなった俺は、
「町に行くか」
そう言って町に向かって歩き出した。