序章 魔物転生
少しタイトルを変更しました。
「ん、、、う、」
俺が目をあけると、そこは木々が生い茂る広大な森林が広がっていた。
「予定通りだな」
俺は自分の体を確認した。予定通り黒い鱗に体の2倍以上ある両翼、そして深く紅い瞳。
「はぁぁ」
俺は力を発動しようとするが、発動出来たのは、闇の力だけ。それも通常の力の何百分の一程度だった。
「この程度か、」
結局色々と試してみた結果、俺は自分の権能は闇の劣化版しか使えずあとは、奪った真実の根源と帝龍の元々の能力だけ。
「あと一番気になるんだが何故、幼龍の姿なんだろう」
まあ、大体は分かっている。取り戻したと言っても何百分の一程度しかない力で創ったから神力が足りなかったのだろう。
「まあ、いい」
前向きに行けばいいだろう。
「じゃあまず、〔変化の術〕」
人間に化けようと、発動させるが何も起こらない。
「何故だ、」
「真実の根源」を使い、原因を調べてみると、
「く、そう言うことか」
変化の術は化ける生物などを視認しなければならないということが分かった。俺は
〔まあいいか〕
と思い森林を飛び立った。すると、
「ピーーッ」
大きな鳥のような生物が俺に襲いかかってきた。
「闇よ、飲み込め」
権能を発動し、鳥を吸収した。
「ほう、やはり凄いな。久しぶりの命は」
そう、この権能は闇に染めそれを吸収することが出来る。その時吸収するのは能力だけで無く命の力やまた体の物理的な部分まで。例えばさっきの鳥なら羽は腕と同じなので腕力がとてつもなく上がった。そして何より命の力は強大だ。何しろ俺単独の命の容量には限界がある、しかし命を吸収することでその容量を底上げ出来る。だから力も格段に高まるし、権能の数もとてつもなく多い。
「ふう、次行くか。そう言えばさっきの鳥にもなれるんだな」
早速変化の術を使うと見事さっきの鳥に変化した。
「へえ、こんなかんじか。しかしこの鳥はなんだろうな」
「真実の根源」によるとこの鳥は魔物の中では中級レベルで、普通の人間ではすぐに殺されるレベルだそうだ。ちなみに名前はコトルで主に肉体を使った攻撃をするが、少しは土と火の魔法を使えるそうだ。
「お、みっけ」
俺が適当に空を飛び回っていると木々の隙間に体長3m程の狼型の魔物を見つけ、早速そいつに権能を使った。
「少しはならさなければな」
「闇よ縛れ。闇よ貫け」
すると俺が作り出した闇の鎖が狼を拘束し、それに向かい大量の闇の槍が降り注いだ。
「こんなものか」
闇の槍で針山にされた狼を吸収し、また空に飛び立った。
「魔法も試したいなぁ」
俺がそうぼやいているといいところにサルの群れを発見した。
「良いところに」
俺はほくそ笑んで、早速魔法を発動する。
「火よ集いて敵を燃やせ。火球」
詠唱すると右手に火の玉が出来て、それに魔力を強く込めると10cm程だった火球は10m近くまで大きくなり威力もその分上がった。
「さあ、受け取れ」
そう言って火球を群れの中に放った。
ドゴォン
火球は地に落ちた瞬間、爆散しまわりを火の海にした。しかし群れの端まで届かず少し生き残ってしまった。
「今度は無詠唱だな。」
今度は無詠唱で数十の3m程の火球を作り生き残り達に撃ち込んだ。辺りは火の海に包まれ轟々と燃えさかる。
「ふふ、ここまでとは」
自分の力に驚愕した。何百のサルを瞬く間に殺せる程の魔法を簡単に使えた。
「は、は、は、、」
俺は興奮冷めやらぬまま笑い続けた。
「ふぅ」
少し落ち着いてから全ての死体を吸収し、命を取り込んだ。
「さあ、次は」
そう呟き、まわりの地形を元通りにした。何しろ強力な火球のせいで地形がボコボコになっていたからだ。
「よし、これでいいか」
そう言ってまた飛び立った。