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魔物使いはめんどくさがりながらも相棒と異世界で生きていく  作者: 千歳
2章~仲間集め編とも言う~
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天才美少女魔術師とお出掛け4

長らくお待たせしました。

リアルが忙しかったのと、イスタルシアに向かう空の旅が忙しくて…(わかる人は同業ですね)

「ふぅ」

 

 甘味処に入ると慎二はようやく休憩出来ることに安堵した。

 ここまでに何軒の店に入り、どれだけの洋服、その他を買ったか既に数えきれない。おかげさまでアニメに出てくる尻に敷かれた旦那よろしく腕の上にタワーを築いてここまで来るはめになった。

 テーブル脇の通路を塞がんばかりの量で、周りの客からの視線もやや冷ややかだ。

 

「ちょっと荷物が多くて邪魔ね。もうちょっと考えておきなさいよ。あ、店員さーん、こっちおねがーい」

 

 ノクシーは席に腰掛けると店員に向けてぶんぶんと腕を振るう。

 慎二は「誰のせいだ」と言い返したいところだが、生憎そんなことをいう気力は残っていない。

 荷物を避けながら近付いてきた店員にノクシーは次々にスイーツを注文し出す。


(よく人の財布でそんなばかばか注文出来るな)

 

 そう思うも先程同様、あるいはいつも通り口には出さない。

 それに慎二もこちらの世界に来てそれなりに過ごし、文化や人々の感性の違いもわかってきた。

 ノクシーは行き過ぎではあるが、こちらの世界の人々は基本貰えるものは貰い、やりたいことがあればとりあえずやる、というのが信条のようだ。

 その癖に前例主義という…

 考えてみれば、魔物という脅威が周辺に溢れており、今日笑っていた人間が明日には物言わなくなることだって珍しくない世界だ。そういう考えになるのもわかる。冒険者なんて職業はその典型と言えるだろう。

 

「…ディンってやつであたしはおしまい。あんたはどうすんのよ」

 

「ん、あぁ、じゃあ同じのを3つ。1つはここで。残りは持ち帰り用。後で寄るので包んでおいてもらえる?」

 

「畏まりました」

 

「へぇ」

 

 慎二は店員の対応に思わず感心した。

 この世界に来てから「畏まりました」なんて言葉を聞いたのは(夜のお店以外では)初めてだ。

 そこらの店では敬語を使える店員はほとんど見かけない。

 慎二が最近通っている夜の店は高級店で、ほとんどが貴族が出資者、つまりオーナーであり、客の多くは同じく貴族かあるいは余裕のある商人などであり、作法などに関しては一流だ。

 それらの店に比べれば砕けた感じではあるが、比較出来る程度にはこの店のレベルが高いということだ。

 

「あの、何か?」

 

「いや、何でもない。ありがとう」

 

 慎二が礼を告げると店員はぺこりと頭を下げて、離れていった。

 

「ああいう女が好みなわけ?」

 

 慎二が向き直るとノクシーが目を細めて慎二を問いただす。

 

「いや、別にそういうわけじゃないけど…」

 

「けど?じゃあ、何であんな声が出たのよ」

 

「いや、教育の行き届いた店だなぁと思ってさ」

 

「ほんとにそれだけ?」

 

「本当にそれだけだ」

 

(本当はちょっと可愛いなとも思ったけど)

 

「ふーん、まぁいいわ。そういうことにしてあげる。…それはそうと、この店の店員のレベルが高いのは当然といえば当然よ。だって出資しているのはブラウニー子爵っていう中央貴族だし。どうにもその息子の提案で立ち上げた事業らしいわ」

 

「へぇ、貴族の子息がねぇ」

 

 貴族の子息が事業を興すことは珍しくもなんともない。

 貴族にとって跡継ぎを作ることは半ば義務ではあるが実際跡継ぎとして見られるのは長男と予備として次男。よっぽど裕福な家で三男までだ。教育にも金がかかるのだから全員が全員跡継ぎとしての教育は施せない。

 では三男以下はどうなるのかといえば、当然独り立ちする他ない。

 武術や魔法に秀でた者は騎士団に、学問に優れる者は文官や執事に、商才のあるものは商人に、といった具合だ。

 とはいえ、ただほっぽりだすのは貴族としての外聞に響く。

 そこで親は出ていく子に何か餞別を送るのが慣わしだ。その例として息子の立ち上げる事業に出資するというのはよくある話である。

 

「それでこんなにレベルが高いわけか。貴族の息子も大変だねぇ」

 

 家を出たとはいえ、家の縛りが全てなくなるわけではない。

 貴族の子息として恥ずかしくない程度の品位を保つ必要がある。

 この店のレベルもそういうことだろうと慎二は推測した。

 

 しばらくすると、先程の店員が戻ってきた。

 トレイの上には無数の陶器。余程外見に気を使ってるんだなというのがそれを見た慎二の感想だ。

 ただ、店員が二人の前に品物を置き、その中身を見た時、慎二は凍りついた。

 何故高価な陶器を使っているのか。

 その本当の理由を察して。

 

「あの、これはなんというんだっけ?」

 

 慎二は目の前に置かれた物を指差し、ノクシーに問う。

 

「プディンよ、プディン!これを食べにここに来たんでしょ?あんた、あたしの話聞いてなかったわけ?」

 

「い、いや、そういうわけじゃないけど…(聞いてなかったけど)」

 

「まぁ名前なんてどうでもいいじゃない。早く食べましょ。噂になってたからずっと食べたかったのよねぇ。…ん~、おいし~い」

 

(見た目も名前も似ているけどまさかね…)

 

 そう思いながら、慎二もスプーンを口に運ぶ。

 そして、半ば予想外であり、半ば予想通りの味が口に広がるのを感じた。

 

「やっぱりか」


 間違いようもない。

 前世では慎二もよく食べていたものであり、好きな食べ物のベスト5に入るものなのだから。

 そう、これはプリンだ。

 そしてそれが意味するところは慎二とフェン以外にも"同郷"の者がいるということだ。

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