第5話 (解剖)
二時間目の開始チャイムとともに俺は生物室の自分の座席に急いで座った。危なかった。
礼をして、生物の授業が始まった。
どうやら今日は女子生徒にはちょっとハードな実験のようだ。
解剖だ。
カエルの解剖……。小学生の時に一回やったなと懐かしく思うが、正直俺も解剖はあまり好きではない。
解剖が始まると、男子生徒は仲間同士テンション高めで解剖をしている。俺はと言うと、一人でやっている。俺の性格上、男子生徒とは気が合わないらしい。女子生徒も同じだ。まぁ俺と話すのは面倒だからだろう。日菜は例外だが。
俺も集団より一人の方が楽なのでそれはそれでいいのだが、俺は学校にいる時に一人でいる時間はあまりない。その理由がやって来た。
「気持ち悪い……夜ー、手伝って……」
どうやら日菜が一人で解剖することに対して拒否反応を示したようで、こちらへとやって来たようだ。
日菜もまた、性格が理由で独り身になった生徒の一人だ。そんな独り身同士が会話しているのを周りの生徒はどう捉えているのか……。
……まぁ、どうでもいいや。
解剖の件は心配ない。目立たないから周りの生徒は気づいてはいないが、誰よりも早く解剖を終えて、片付けた後、ペンを片手に、もう片方はメモ帳を持ち、いつでも応対できるように準備していた。そして、
『ジュース一本』
と書いた。
「ごめん。本当にきついの……」
まぁ流石にこれは酷なので。その下に続けて、
『ジュース一本
冗談だよ。いいよ。』
「ありがとう……」
俺は日菜の机に行く。とはいえ生物室の机は横に長い実験用の机だ。まぁ日菜の席は隅っこだが。
俺は日菜の机の上にあるカエルを見た。
(……。)
俺は回れ右をした。
「ちょっと……夜?どこ行くの?」
そして、俺は先生のところへ行き、
『トイレに行って来てもいいですか』
許可を得た俺はトイレに行き、
「……&@*%;!!!」
トイレで盛大に吐きました。
グロテスク。
原因は日菜の解剖したカエルが大変なことになっていたからです。原型を留めていなかった。
何がどうしたらあんな風になるんだ!?
生物室に戻ったら、日菜が吐いていました。
俺と日菜は次の時間、三時間目の間保健室で休むことになりました。