夢の話
いつまで続くのかわらないエスカレーターを何度も上り、夜景を見るためにと言われ、椅子に座った。すると、魔法の絨毯に乗って空を飛び回るような音楽が流れ始め、ガラスのパイプの中をジェットコースターのように滑り始める。
素晴らしい夜景に心を踊らせながら、ジェットコースターのワクワク感に思わず手を上げてしまう。
しかし、手に触れたのは無機質なプラスチックの感覚だった。一瞬興が削がれたような気がしたが、体に感じる浮遊感や、興奮は言われもない現実だと思わせた。
音楽もエンディングへと差し迫り、私たちが乗ってるいる椅子もゆっくりと前進するだけだった。
1人で興奮に浸っていたが、ふと横に座ってるいる同乗人を思い出した。そういえば、彼は高いところが苦手だったのではないか。
エスカレーターを上る時から、私は彼の事を忘れ使命感を胸に導かれるままこの場まで来てしまった。彼が、着いてきてくれて良かったと。改めて思った。
椅子から立ち上がり、スタッフの人たちに誘導され、案内されたのは、黒いトンネルの前だった。どこに向かっているのか、また先ほどの胸の高鳴りが迫ってくる。彼は大丈夫だろうかと片隅では思っているのだけれど、少しでも声をかける隙もないほどに、スムーズな案内だった。
トンネルを抜けるとそこには360度、星空が広がっていた。
「ここからは、各グループ様にスタッフを、お付けいたします」
そう聞こえると、高校生くらいだろうか。幼い顔立ちではあるが、どこか頼り甲斐のある雰囲気をかもちだしている。
そうだ、彼女は、学級委員の……
はじめての事だろうか。学校をサボった。
夢の余韻に浸りたいという気持ちが強かった。
彼はいったい誰なのだろうか。思い出すことは出来なかった。彼女が夢に出てきたことに幸福さえも感じた。
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