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二人の勇者の物語  作者: paiちゃん
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095(M) オランブル王国戦が終わって


 オランブル王国の軍備と外交、それに貿易港を手に入れたところでオランブル王国との交渉を終えた。

 事前に王子と調整してるから、これ以上の譲歩を取るのも問題だろう。王子は俺達の影響を暗に匂わせて、貴族の削減を実行した。

 王族派とトルガナン派の一部が残ったようだが、残った貴族についても内乱の責任を持たせることで当主を隠居させたようだ。

 国王も、自らの反省を表明して退位するようだから、王子は少し早めに国王になってしまう。

 内政だけに力を入れるから、良い国王になれるだろう。

 排斥した貴族達の所領と王家からの毎年の褒賞が、オランブル王国の新たな財源にもなるはずだ。

 オランブル王国を防衛するトルガナン王国の派遣部隊は、貿易港からの利益で賄える。

 オランブル王国の商会と我が王国の商会が既に利権の分配を協議し始めている。あまり欲を出すなと厳命しておいたから、落としどころは考えてくれるに違いない。


「それにしても、見事なお手並みですこと。王女が新しい王国のお后になりますのね」

「オランブル国王が退位を表明しております。東西の王国から軍が入るような内乱では、それぐらいしませんと人民に示しがつかないのでしょう。私としては、西のトーレス王国が軍を介入させないよう努力するつもりです」


 一連の騒動が収まったところで、夕食時に先の御妃様や妻への報告を行った。

 そこまでする義理は無いだろうが、3人で仲違いをせぬように状況は教えておいた方が良いだろう。

 2人ともそれなりに人とのつながりを持っている。俺が2人に好意的であればそれなりのバックアップが期待できる。


「同盟国となったのでしょう? オランブル王国が安定すれば、我が王国に御来席することも可能なのでしょうか」

「可能と思います。オランブルから内政の知恵者を預かることになっていますから、妻を手助けしてくれる人材は新たな国王夫妻が選んでくれます」

「両王国の交流が活性化するのですね。それは何よりです。そうなると、カリネラムも育児の時間が取れそうですね」


 先の御妃様が、だいぶ大きくなってきた妻のお腹を見ながら笑みを浮かべる。

 少し親ばかを演出することができたかな?

 王国の拡大はこの段階で一段落としよう。

 これより王国を拡大するためには、少し内政と軍を変えねばなるまい。覇王として俺が前線に立つようでは、大将軍と同じになってしまう。

 リオンは大将軍をあまり評価していなかった。たぶん王国の拡大と国内の政治があまりにもかい離しすぎてしまったのだろう。


 さらなる王国の拡大は将軍達に任せれば良い。俺はこの場所で大きくなる王国の姿を見守っていけば良いように思える。


「これで平和になるのでしょうか?」

「少なくともトルガナン王国は平和を続けたいと思っています。ブルゴス領の東にあるラーメル王国、オランブル王国の西にあるトーレス王国共に油断できない相手ですから」


 俺の言葉に先の御妃様が顔色を曇らせる。

 王国が大きくなれば周辺王国から危険視されかねない。まぁ、俺の方でも狙っているのだから、危険視しないとなればそれも問題があるのだが……。


「東西共に通商条約を結び、我が王国と敵対することがないように努力を続けることにします。それが拒まれれば、それなりの対策をあらかじめ取ることも可能でしょう」

「陛下の努力は必ず報われるでしょう」

 褒め言葉なんだろうか? とりあえず先の御妃様に頭を下げる。

 

 1か月ほど後になって、3家族がオランブル王国からトルガナン王都を訪れた。

 内政の助っ人になり得る人物だが、元はトーレス王国に組みした下級貴族ということだ。先を見誤ったような貴族では困るのだが、オランブル王国の王子の親書にはその理由が書かれてあった。

 どうやら、親族関係でトーレス派に組みすることになったらしい。

 勧誘した貴族達は貴族の資格を剥奪されたようだが、当主の能力を考えると民草に紛れて暮らすのも惜しいと感じたのだろう。

 俺達で厚遇してやれば十分に答えてくれるんじゃないかな。

 

 謁見の間で、着任の挨拶をした3人は、まだ壮年とも言えない年台だ。トルガナン王国の内政を手伝ってくれとの俺の頼みに、深々と頭を下げて答えてくれた。

 後は、カリネラムの部下に対応を任せれば良いだろう。肩書きはどうするかな? トルガナン王国に貴族制は無いから、それらしい名前を考えないといけないのかもしれない。


 ジャミルとマデリーが帰還したのは、王都の並木道が若葉を伸ばし始めた頃だった。

 かなり長く王都を留守にしたから、色々とやることが出て来たな。

 数日後に執務室にかつての仲間を集めて、今後の計画を確認することにした。


 3人が執務室に来たところで、ワインのビンとカップをテーブルに用意した侍女は部屋を後にした。その後を追うように近衛兵が部屋を出て、通路側に立つ。元からいた兵士と合わせて4人が扉を守ることになるから、しばらくは誰にも邪魔をされずに密談ができるだろう。


「これで、トルガナン王国は3倍になったも同然だな。魔族がおとなしいから、今の内に来たに柵を設けて版図を広げることもできるだろう」


「オランブル王国の兵士をその任に当てるか? それも良さそうだ。リオン相手の死兵にすると思ったぞ」

「陛下にしては前向きね。先ずは国力という事かしら?」

「ですが、依然として棘があります。早くに処置を行わないと命にかかわることもあり得るかと……」


 ジャミルとクリスティは前向きだがマデリーは未だに恨んでいるみたいだ。体に残る火傷の跡が今でも疼くときがあるんだろう。

 彼女の為にも、1度は全力で当たることが必要だろう。

 ここまで協力してやって来たのだ。国運が傾くのは見えているが、それも必要な事ではあるのかもしれない。


「確かに、リオンが邪魔ではある。直ぐに取り掛かりたいところだが、オランブルの防衛まで俺達の仕事になってしまった。3個大隊を増員したが、消耗した兵力を補充し、新たに部隊も創設することが第一だろう。特に緊急展開が可能な部隊を王都に2個大隊は常備せねば安心できん」


 とりあえず俺の言葉に3人が頷いてくれた。やはり急場に駆け付ける部隊の創設はジャミル達も考えていたのだろう。


「となると、新たな兵員の募集と兵器の生産ということになりそうだな。問題はリオン達の島を攻める部隊をその後でどのように捻出するかだ。使えん将軍を北に回すのは問題ないとしても、南の攻め手は考えなければならんぞ」

「オランブルの貿易港を押さえた。軍船を作ろうと考えているのだが……」


 大型貿易船を鉄板で補強すれば火矢を防ぐこともできる。帆柱は1本で十分だ。櫂を並べて漕がせればそれなりの速度が出せるだろう。

 甲板が広く使えるからそこに流星火を多連装で装備させれば良い。甲板の下に大砲を並べても良さそうだ。


「ある意味、被害担当になりかねないが、相手の攻撃を跳ね返せれば問題はないだろう。この軍船を入り江に入れて、兵士達は沖合から小舟で浜を目指すことになるな」

「なるほど、敵は軍船を狙うから小舟の大半は上陸できそうだ。リオン達の戦力は限られているからな。上陸してしまえば南北同時の攻撃に耐えられんだろう」


 ジャミルが賛成してくれた。マデリーは何も言わないが目を輝かせているから、完成した時には軍船で指揮をとらせる羽目になりそうだ。


「そうなると、造船所の責任者を私の所に来させてほしいわ。何とか形にしてみるつもりよ」

「頼めるか? 基本は装甲車と同じで良い。そういえば装甲車は上手く使えたのか?」

 

 クリスティからマデリーに顔を向けると、力強く頷いてくれた。


「陸戦では、対抗措置がないように思えます。敵の騎馬隊も突破されることありませんでした。装甲車だけの大隊を作ればかなりの活躍が期待できるように思えます」

「俺もそう思う。装甲車と騎馬隊が1個大隊あれば、かつての3個大隊以上の働きをする。東西の国境に配備すれば2個大隊で十分に対応できるぞ」

「となると、クリスティ頼みだな。工房を増やしても良いから、装甲車の増産を計ってくれ」


 そうなると、リオンへの進攻は来年では無理かも知れんな。

 先ずは軍船を作り削後者部隊を創設、さらに兵士の募集ということになりそうだ。


「トルガナン王国は3倍の大きさになった。だが、これで満足して貰っても困る。さらに王国を大きくしたいが、その時に問題になるのが派遣軍と王都間の情報通信だ。早馬も良いが、定期的な情報を送ることになると問題も出てくる」

「やはり、覇王の夢は持ったままなんだな。少し安心したぞ。ここで内に籠るのかと心配していた」

「でも、陛下の心配も理解できるわ。ジャミルやマデリーだっていつまでも前線で指揮を執れるわけではないから、状況をここで分析して対策を考えるためには、陛下の言う通信方法を改善するという話が出てくるのよ」


「最後まで前線指揮官でいたいものだが?」

 ジャミルの言葉にマデリーも頷いている。


「リオン攻略までは前線にいてくれ。それ以後は、俺の補佐として王宮で指揮を執って貰いたい。ジャミル達も早めに副官を育ててくれよ。いずれはお前達のように大隊を指揮して貰わねばならん」


 目まぐるしい10年を過ぎれば、王都で伴侶を迎えのんびりと過ごして貰いたいものだ。本人達は俺以上に王国を大きくしたいようだが、情報伝達が素早く行われないようならいずれ分裂してしまいそうだ。そのためにも、通信システムの充実は早めに考えねばなるまい。


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