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モニカのアトリエ~硝子の錬金術と妹と~  作者: 雅弌
1章 生贄の英雄石
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硝子の錬金術師2


「ごめんなさい、お待たせしました!店主連れてきました!」

「どーも、いらっしゃいませー」



店の中で待っていたお客様らしき人にのんびり挨拶したらモニカに脇腹をつねられた。痛い。

多分、ちゃんと接客しろという事だろう。


お客様の方は…騎士だろうか。

白色をベースとした鎧を着こんでおり、腰には鞘に入った長剣。


金髪の女性で長い髪を丸くまとめ上げている。

金髪といってもモニカはキラキラとしているというか、艶がある感じだがお客様の金髪はモニカと比べると…黄髪?

落ち着いた色合いの金髪だ。


同じ金髪というくくりでもいろいろあるんだなぁと思っているとお客様騎士の方がオレの方を向いて自己紹介をしてきた。



「留守中に失礼した。私はガーマヴィン騎士団のクレア・アイメスだ」

「ガーマヴィンって…結構遠いな。ここから二つか三つくらい都市を跨がないと行けないんじゃないか?」



ちなみにオレ達の住む街の名前はアサセノス。

西と東にある大きな都市と間にある流通の街で、そこそこ大きな街ではあるが貴族や王族はおらず騎士団もない変哲のない庶民の街だ。


そんなアサセノスにわざわざ騎士様が来たという事は…面倒事にならなければいいのだが。


錬金術師というのは技術が門外不出という事もあり数が少ない。

錬金術師の技術を期待して来たのはいいが、『硝子の』というのを知らずに訪ねてき使えない錬金術師だな!!!と逆ギレされても困る。



「そうだな。ここに来るまでは流石に少し骨が折れた」

「あぁー…。怒らないで聞いてほしいんだが、オレは残念な錬金術師でな」

「知っている。硝子の錬金術師だろう?」



あ。良かった知ってた。

これなら無茶振りや逆ギレをされる事はないだろう。



「硝子の錬金術師殿と見込んで頼みがある。…ドラゴンを倒せる剣を作ってほしい!」



…思ってる側から無茶ぶり来やがったよ!

一方的すぎてボケにすらなってねぇ!



「OK、一旦落ち着こうか。モニカ、お客様にお茶でも淹れてやってくれ」

「あ、淹れなおしますね。話し長くなりそうですしゆっくりしてください」



……オレを呼びに行く前にお茶は出ていたようで。

流石はモニカ。よくできた義妹です


とりあえず、断るにしてもわざわざ遠出してまで来た客様だ。話しをまとめるのに時間がかかりそうだ。


騎士、クレアさんはレジを置いたカウンターに椅子を置いてそこでくつろいで待っていたらしい。

まぁ他は錬金術で作った小物や適当に仕入れた雑貨を置いた机やら棚しかない小汚く狭い(とは言ってもモニカが物を整頓してくれてはいるが)店だからカウンターしかお茶を置く場所がないな。


今度、少し店を整理してカウンターを広げよう。

レジを制圧していると近所の子供向けに仕入れたお菓子を買いに来たお客さんの邪魔になる。


店の奥や2階がオレ達の生活スペースになっているのでそこでならゆっくり話しができるが見ず知らずの人を上げるつもりはないし。


あ、ちなみに結構菓子はよく売れる。最初は試しに置いただけだったんだが。

むしろ近所の子供達には雑貨屋より駄菓子屋のイメージがあるんじゃないかと心配になるくらいに。



「突然ドラゴンを退治できる剣とか言われても無茶がありますよ。えーっとクレアさんって呼んで良いのかな?」

「ああ、構わない。ドラゴン退治の剣…店主なら作れるんじゃないかと知り合った傭兵のクレイオス殿が言っていたのだが」

「あの馬鹿、適当な事言いやがって…」



クレイオスというのはオレが現役で傭兵やら冒険家やらをやっていた時の仲間だ。

オレの方向音痴に呆れられて、パーティー解散となったがそれ以外は普通に仲良くやっており今でもたまに顔を見せに来る。



「店主は錬金術で特に武器を作るのに長けていると聞いた。魔剣とまではいかないが強力な武器を作ってそれを使い錬金術の材料を集めたりしている……と」

「強力っていうか……趣味でヘンテコな武器を作っただけですよ…」



残念錬金術師のオレは入門書に書かれている物以外で作れるのは家の飾りに置いたりする小物くらいだ。

薬は変な物を独学で作って大変な毒になっても困るから本当に入門書に乗っている物だけ。



「……まぁ、オレも元は傭兵とかやっていたからドラゴンについて少しは知っていているし、錬金術で武器を作る知識もあるから……ドラゴンにダメージを与える剣を作れなくはない」

「本当か!?では早速作ってほし……」

「ただし材料費で4000万は即決な。そこから製作費もいただく」

「なっ!?」



クレアさんは一瞬喜びに満ちた顔をするが、一気に驚愕に満ちた表情に変わる。

金額に驚いたのかもしれないが……別にそこまで驚く事ではないだろと思わずにはいられない。



「……相手はドラゴンだろ?まず鱗が硬すぎて並の剣じゃダメージが通らないのはよーく分かるはずだ。武器の素材からして高額な物が必要になるのは当然だろ?」

「そ、それはそうだが……そこを錬金術でなんとかできないのか!?」

「錬金術をなんだと思ってるんだよ……。錬金術は物の形や性質をちょっと作り替える程度の魔法……ともいえない魔法擬きの技法であって強力な物を作るにはそれに準じた素材は必要になるんだ」



あぁ……これも客が逆ギレするパターンの一つかもしれないな。

今回はドラゴンを退治できる剣を最初から無茶ぶりだが錬金術について詳しく知らず、なんで簡単そうな○○も作れないんだ!というクレームも結構ある。


……ころころ気分が変わってアレだが、やっぱ錬金術を雑貨屋に取り入れるのはダメだったかなぁ。


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