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ソイラテを飲みながら

作者: 夏目泪

とある日の、穏やかな午後。

ささやかなひとこまをそっと切り抜いて。

 先週来の風邪が治らない為、仕事を早退けして病院へ行った。今回は胸部レントゲンも撮られたが幸い肺には異常なし。しかし症状は一向によくならないので薬を変更し抗生物質も処方してもらった。

 咳が出ることと声が出ないことを除けば一応元気なのだが、声が出ないことには仕事にならない。困ったものだ。

 病院帰り、薬を服用する為に適当に昼食を摂った。食べ物には頓着しないたちなので腹に入ればなんでもいい。安さだけが取り柄の喧騒に包まれたファストフード店でハンバーガーを齧りながら電子書籍を楽しむ。幼子を連れた若い母親のおしゃべりも高校生達の馬鹿騒ぎも文章に没頭してしまえばただのBGMだ。

 そして今、スターバックスでソイラテを飲みながら本を読むか、今書いている文章の続きを考えようか迷いながら、こうして他愛ない文章を綴っている。グランデサイズの紙カップには「早く治りますように!」という文字と可愛らしいイラスト。ソイラテの温かさが沁みるようだ。

 楕円形のテーブルには勉強をしながらスマートフォンを触っている女の子、真面目な顔で頭を掻きながらパソコンのキーを叩いている男の子。ソファには和やかに談笑している様々な人たち。

 本来なら仕事をしているはずの時間にこうやって穏やかな午後のひとこまを切り抜いてそっと文章にしていると、少しの罪悪感と密かな喜びがない混じりソイラテの味をいつもとは違うものにしてくれるようだ。

 さて、いつもと同じで違うソイラテを飲みながら本を読もう。文章に没頭する喜びは何にも代え難い。


拙作をお読みくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公が見た、日常の密やかな幸福が描かれているところが良かったです。 [一言] ありがとうございました。
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