最近はまったゲームについて
私はひたすらゲームのボタンを押しまくった。
真夜中、静まり返った部屋で私はひたすらゲーム画面と向き合っていた。
私はつい数週間前に勝ったオンラインゲームに夢中だった。
顔も年齢も知らない人達とパーティメンバーを組んで、強力なモンスターを倒していく。
このゲームは一年前に出た人気ゲームと同じくらいそのゲームは話題になった。
もっとも、そのゲームの続きなのだから当たり前かもしれないが。
しかし、前回のゲームは主人公がアランという少年だったのに対して、今回は主人公の姿、性別を選べ、名前も自分で考えられるようになった。
何より、オンラインゲームになったのが前回との大きな違いだろう。
ネットで知らない人と知り合って協力するオンラインゲームが大好きな私にとってもともと気に入っていた前回のゲームに更にそれが加わったのはとても喜ばしいことだった。
まさに『神ゲーム』だろう。
モンスターの残りのHPが少なくなってきて、モンスターが狂暴化する。
しかし、その隙をついて私とパーティメンバー三人はそれぞれ連続技を繰り広げる。
結構最初の方から知り合って組んできたパーティメンバーで、チャットでもよく喋るのだが戦闘になると私も含め、四人が自分が仕留めようと競い合う。
いい仲間にしていいライバルである。
私もボタンに入れる力を強め、更に素早く攻撃を仕掛けた。
しかし、結局最後に仕留めたのはパーティメンバー唯一の女性プレイヤーだった。
唯一というのは、私が男性プレイヤーとしてこのゲームに参加しているからだ。
彼女のハンドルネームは『オーレリア』である。
これは前回のゲームに出てきた主要キャラで、ヒロイン的存在だった少女の名前だ。
なんでも、オーレリアが好きだったらしい。
うん、わかる。
すっごい分かる。
何故二次元の女子はあんなにかわいくなるのだろう。
『お疲れ様でしたー』
オーレリアがパーティメンバー専用のチャットにメッセージを書き込んだ。
『お疲れ』
『オーレリア、ひどいなぁ。僕が仕留めるつもりだったのに』
他のパーティメンバーがメッセージを返す。
『今度は俺が仕留める!』
私もメッセージを送る。
やっぱり、男性プレイヤーであるには、一人称は『俺』でなくっちゃと思う。
ふと時計を見ると、午前三時を過ぎていた。
『ごめん、俺寝るわ』
『オーケー』
『また明日』
『おやすみなさい』
私は一言いれて、ログアウトした。
ゲームを充電器に繋いで机に置いた。
「いやー、それにしてもやっぱり『EMO』は最高だなぁ」
『EMO』。それがこのゲームの略だ。
正式な名前は長くて忘れてしまった。
『EMO』はとにかく絵がきれいで、男女ともに文句の言いようがない。
私は満足しながらベッドの潜り込み、深い眠りについた。