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文豪バトルロワイヤル

作者: あやあき

 ここは天国、昭和街。

 舗装のされていない道を、小柄な男が歩いている。

 サスペンダー付きの白シャツに黒いズボンという戦前の一般的な出で立ちの上に、黒いマントのような上着を羽織っている。本人は「ダダイズムだ」と称しているが、今日では「厨二病だ」と評されている事を彼は知らない。

「『落下傘奴のノスタルジアと

 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん』」

 低く澄んだ声で詠まれる詩は彼の自作だ。

 もうお解りだろう。彼の名は中原中也。昭和初期を代表する詩人である。

 中原の目的地は廃れて時代に取り残されたような古本屋。

 古本屋と言っても、平成街に行けば綺麗で大きな物などいくらでもある。しかし、中原は自分の生きた時代の本屋の方が好きだった。

 店内に入ると、古書独特の臭いが中原を包む。この臭いが好きだったのだ。

 雑多に置かれた本を、中原は少年のようなキラキラとした眼で見回す。彼にとって古本屋は宝の山だ。

 ひょろりとした長身痩躯の男をすり抜け、背伸びをしたり、目線を高くしたり、たくさんの本が視界に入れる。

「あっ」

 中原の目に飛び込んできた一冊の本。それは生前から探していた希書だった。

 怖々と手を伸ばす。が、触れる前に、骨ばった手が本を攫って行った。

 中原はキッと眼を鋭くして、その手の持ち主に目を移した。

「あ」

 先程と違い、濁点が付いているような発音だった。

 怒りが中原を包んでいたが、彼の口許は嬉しそうにキュッと上がる。

「久し振りだなァ、太宰ィ」

 長身痩躯の男――太宰治は引き攣った顔で答える。

「お久、し振り、ですね、中原、さん……」

「津島と呼んだ方がいいか?」

「いえ、太宰の、方で、構い、ません……」

 ぼそぼそと言うので、太宰の声は聞き取りにくい。中原と太宰の身長差は二十センチを超えるので、尚更だ。それが中原を更に苛立たせる。

「太宰」

「……はい」

「その本」

「こ、これは」

 もごもごと喋るので聞き取れず、遂に中原の堪忍袋の緒が切れた。

「もっとはきはきと話せェ!」

「はっ、はいィ!」

 泣き出しそうな顔で太宰は言葉を紡ぐ。

「この本は、僕が昨日、買おうとしておいた、本、なんです。お金が足りなくて、今日に、持ち越したんです、が」

「そうか。――嗚呼、泣くんじゃねぇよ。お前、四十手前のくせして……」

 大人気なく涙を流す太宰に、中原の怒りは何処かに飛んでいってしまい、呆れが訪れていた。

「しかしなァ」

 中原はさも残念そうに言う。

「その本、俺がそれより前に見つけていたんだ。俺も金が足りなくてな」

 真っ赤な嘘である。相手が泣いていても――相手が太宰だったからかもしれないが――容赦がない。

「中原さん、それは――」

 勿論、太宰には中原の言葉が嘘だと分かっている。しかし、それを指摘すれば。

 生前、中原と初めて会った時の記憶が蘇る。あの日、太宰は散々な目に遭った。

 太宰はにたりと笑う中原から視線を外す。何かを思索しているようだ。が、彼の頬には一筋の汗が流れ、だんだんと悲観的な顔つきになっていくので、見ている中原は楽しかった。

「考える必要はねぇだろ。ほら、寄越せ」

 今風に言えばチンピラのようである。当の中原にその自覚はないが。

 俺が手に入れて当然。

 中原の思考はそうだった。

 一方、窮地に立たされている太宰は何もいい案が浮かばないらしく、「うぅぅ……」と唸る。

「ほら、ほら」

 勝利を確信しながら、中原は尚催促をする。

「ううぅぅ」

 太宰は唸りで返事をする。

「ほら、ほら!」

「ううぅぅぅ」

 何度かこの応酬が繰り返され、また中原の怒りが溜まってきた頃、二人の会話に入った男が一人。

「おー、太宰と中原じゃないか」

 丸眼鏡の奥の瞳を細め、楽しそうに歩んでくる男。

「あ、安吾」

 中原の言葉に、太宰はハッと男――坂口安吾の方に顔を移す。

「安吾ォ! 助けてくれェ!」

そして、脱兎の如く素早く坂口の後ろに太宰は隠れた。

 それに中原はチッと舌打ちをする。

「んー? 何だ、二人とも、喧嘩か?」

 坂口はまだ楽しそうだ。

「喧嘩じゃねぇよ」と、中原。

「お、脅されている……」と、太宰。

「あ? 脅してねぇよ。な? 太宰」

「ううううぅぅう」

 太宰の唸りが再び始まる。

「じゃあ、こういう事か」

 安吾が笑ってまとまる。

「いつもの如く、太宰は何もしてないけど、中原が突っかかった」

「突っかかってねぇよ」

「ははっ、それは中原の常套句じゃないか」

 笑いながら、安吾はチラリと太宰に目を遣り、太宰が持っている本に気付いた。

「太宰……これは大した希書じゃないか。ははあ、さてはこの本を巡った争いか。これは勝負に発展しても不思議じゃない。俺だって貰える物なら貰いたい」

 ひょいと太宰から本を引っ手繰る。

「あっ」

「ふーん」

 安吾は本のページを繰り、顔を上げて二人を見、ニッと口許を吊り上げて言った。

「どうだい、二人とも。この本を検証に、戦闘するというのは」

「戦闘って……」

「ぼ、暴力は反対だ!」

 太宰が喚く。

それをたしなめるように、坂口は言う。

「まあ、落ち着きな。普通の殴り合いだったら中原が勝つのは明白だ。だからここは、言霊で戦おうじゃないか」

「言霊」

 中原と太宰は同時に復唱した。

 この世界では、文士達に不思議な力が与えられている。各々の作品を用いて戦闘が行えるのだ。詳しくは、また後から分かるだろう。

「太宰は作品数が多いし、中原は多くの詩を持ってる。どうだ、公平だろう?」

 中原と太宰は顔を見合わす。互いの瞳には闘志の炎が映る。

「決まったようだな」

 安吾は満足げだ。

「では、外に出ようか。ここでやったら迷惑になる。――と、その前にまずこの本を購入しておこうか。対決している間に買われてしまったらお笑いだから」

 ここで、誰がまず購入するかで一悶着あったが、公平を規すため、坂口が購入した。


 舞台を替えて、空き地。

一般庶民の日本家屋と同じくらいの面積であるから、戦闘場所にするには十分だろう。

「さあ、どちらから行く?」

 中原は訊くが、彼には先攻という考えしかない。

「……僕が、先がいいです」

「あぁ?」

 中原が殴り掛かりに行こうとしたので、坂口が慌てて止める。

「待て、待て、中原! 順番くらい、戦わずに決めようじゃないか」

 中原を諌めてから、坂口が二銭銅貨を取り出す。

「これの表が出れば中原が先、裏が出れば太宰が先。これでいいな?」

 二人が首肯したのを見てから、坂口は二銭銅貨を投げた。

 回転しながら落ちる二銭銅貨。そして出たのは――

「これは……表だな。よって、中原からだ」

「当然だ!」

 得意げに笑い、太宰を見遣る。

「年下だからって容赦しねぇ」

 意気高々に宣言する中原には、太宰の「いつも容赦ないじゃないか……」という呟きは聞こえなかった。

 その様子を見ていた坂口が大声で宣言する。

「小説家・太宰治対詩人・中原中也。審判はこの俺、坂口安吾。さあ、戦闘開始だ!」

 そうして、対決の火蓋は切って落とされた。


 先攻である中原はニンマリと笑い、言葉を紡ぎ出す。

「『ホラホラ、これが僕の骨だ、

 生きていた時の苦労にみちた

 あのけがらわしい肉を破って、

 しらじらと雨に洗われ、

 ヌックと出た、骨の尖。』――」

それを聞いた太宰に変化が訪れた。眉間に皺を寄せ、唇も苦痛に歪んでいる。

「ぐ、う……」

 太宰の口から苦悶の声が漏れる。和服の上から己を抱くようにして、手を腕に回している。

「成程」

 坂口が感心したように言った。

「骨が痛むのか」

 坂口の言葉に応えるように中原は楽しそうに目を細める。

 中原中也作『骨』。能力は、相手の骨を軋ませる。

「中原の奴、随分な大技を出したもんだ。一気に決める気か」

「……まだだ」

 痛みで脂汗さえ浮かべている顔を上げ、太宰は中原を見た。いつも憂いを帯びている瞳に、強い光を宿らせて。

「……『申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。はい。厭な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。』――」

 太宰の朗読に、詩が終わり切っていないのにも関わらず、中原の言葉は止まった。

 彼の目の焦点が合わなくなる。

 中原は、迷ってしまったのだ。

 本如き、立った一冊の本で戦闘するのか? この勝負に意味はないのではないか? そもそも、本当に自分はその本が欲しかったのか? ――と。

「精神操作か?」

 坂口が首を傾げる。が、すぐに直って、「とにかく、形勢が逆転したな。何より、太宰は口述筆記の天才だ」

 坂口の台詞に応えてなのか、太宰はニィッと笑う。小説文であるというのに、太宰は淀みなく読んでいく。

 太宰治作『駈込み訴え』。能力は、相手の目的を迷わせる。

 一方、中原は未だ惑いの中にいた。

 何故、俺は太宰に突っかかるのだろうか? 気に食わないから? どうして気に食わない? 太宰の才能が怖いから? 太宰の作品は――

 突如、中原の虚ろだった瞳に光が射した。

「『メロスは激怒した。』!」

 一度叫ぶと、すっきりとした顔もちで中原は続ける。

「『必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。』」

 いつの間にか、太宰の朗読は途切れていた。

 信じられない。

そのような感情が太宰の顔に浮かんでいる。

「どうして、僕の作品を……」

 すると、中原は悪戯っ子のような顔をした。

「太宰治作『走れメロス』。能力は、信頼の向上ってところか?」

そして、少し照れた様子で言う。

「生憎、お前さんの作品は好きなんだ。死んでからも、よく読ませてもらった」

太宰は虚を衝かれたようだったが、口を小さく開き――しかし、頭を振った。

「……生半可な手じゃ駄目なようですね」

 ポツリと呟き、太宰は目を閉じた。大きく息を吸い、一気に言葉を吐き出した。

「『時刻は彼是真夜中にも近かつたでございませう。林泉をつゝんだ暗がひつそりと声を呑んで、一同のする息を窺つてゐると思ふ中には、唯かすかな夜風の渡る音がして、松明の煙がその度に煤臭い匂を送つて参ります。』――」

 突如、地から火柱が上がった。

 困惑している間に、何本もの火柱が立ち、そして中原を包んだ。

「あっつ!」

 熱いなんてものじゃない。暑いとも違う。何て表現すればいいんだ。

 詩人らしい現実逃避をしようとしても、火炎に包まれているのに変わりはない。

 中原は息が苦しくなるのを感じた。続いて、熱気で目がやられる。汗は体中から滝のように流れ出る。頭もくらくらしてきて、太宰の言葉すら聞こえない。

 中原には、徐々に死の感覚が呼び起されてきていた。

 そんな中原――火柱で見えないが――の様子を見て、坂口は呆然としていた。

「これは何だ? カチカチ山か? ……否、あれはもっと弱い筈。では、一体……」

 坂口は考え込み、一分後、ハッとした表情を見せた。

「まさか、『地獄変』!?」

 芥川龍之介作『地獄変』。能力は、相手を火炎で包む。

「……ははっ」

 坂口は呆れたような、嘲笑うような、微妙な声で笑った。

「そうだ、太宰は熱狂的な芥川さんのフアンだったな……。しかし、こうも憶えているとは……」

 太宰の朗読は既に数ページに渡っている。少々誤読をしているが、合っている量が圧倒的に多いために火炎は弱まらない。

「これだと、もう反撃は不可能か?」

 坂口は火炎の奥にいるだろう中原を見遣った。

 一方、中原は。

 火炎の中、小さな体を縮こまらせて、体育座りをしていた。顔は埋められ、か細い声が漏れている。

「『私はゆかう、夏の青き宵は』――。……『私は出掛けた、手をポケットに突つ込んで。』――」

 詩の断片を呟いていくが、すぐに途切れてしまうために能力は発揮されない。

「いいや、これじゃあ駄目だ。他に、何か、何か……、そう、火を消すもの。火を消す……水……水、……雨? 雨……、『雨ニモマケズ 風ニモマケズ』?」

 中原の顔が上がる。その顔には笑みが浮かんでいる。

 乾いた空気を吸い込み、詠み出した。

「『どっどど どどうど どどうど どどう

青いくるみも吹きとばせ

すっぱいかりんも吹きとばせ

どっどど どどうど どどうど どどう』!」

たちまち、中原の許から強風が巻き起こった。

 どっどどと音を上げながら、火炎を吹き消していく。

 そして遂に火炎は消え失せ、呆然とする太宰の前に、不敵な笑みの中原が現れた。

「宮沢賢治作『風の又三郎』。能力は、強風を吹かせる」

 中原の台詞に、坂口が「ははっ」と楽しそうに笑う。

「目には目を、というところか! 太宰と云えば芥川、中原と云えば宮沢だからな!」

 これは面白い、と坂口は笑い続ける。

 それに構わず、中原は小柄な身体を弾ませるように太宰に近付く。

 未だ呆気に取られた表情の太宰に、中原は言う。

「戦闘はお終いだ。それより、お前さんに渡したい物がある」

 懐から古びた本を取り出し、太宰に差し出す。太宰はおずおずと受け取り、その表紙を見る。すると、驚きの表情を浮かべた。

「こ、これは……!」

「宮沢さんの『春と修羅』の初版本だ。偽物じゃない。何せこの俺が、この手で、買ったんだからな」

 中原は自慢げにニイッと笑う。

「俺が買った時にゃ無名だったが、今となっちゃ、宮沢さんは日本国を代表する詩人であり、童話作家だ。そんな宮沢さんの初版本、随分と貴重だろう?」

「こ、これを、僕に?」

「ああ」

 太宰は至福の表情を浮かべ、本に手を伸ばした――が、触れる直前でピタリと動作が止まる。

「どうした?」

 太宰はじっとりとした目で中原を見る。

「中原さん、『渡したい』って言いましたね?」

「ああ、確かに言った」

「それは、『あげる』という意味ですか? それとも、『貸す』という意味ですか?」

「…………」

「それと、僕に本を渡したから、自分には例の本が買えるなんて、考えてはいないですか?」

「…………」

 人とは、本当の事を衝かれると黙ってしまうものである。今の中原がそうだった。

 しばらく二人の視線が交錯し、いきなり中原は大声を出した。

「グダグダ言ってねェでさっさと受け取れ! こんの唐変木!」

「遂に言いましたね!? これを現代では逆ギレって言って、一番疎まれるんです!」

「んな事知るか! お前さんなんかは人間失格だ!」

「それは作品です! それを言ったら、貴方は中二病のチビだ!」

「ああーっ! 言ってはいけねェ事を言ったな!」

「そっちが先だ!」

 二人は睨み合い、同じ結論に至ったらしく、同時に「安吾!」と友人の名を呼んだ。

 しかし、共通の友人の姿は先程までいた場所にはなく、少し視線を移せば、何事もないように歩いていた。

「おい、安吾! 何で本を持っていくんだ!?」

「まさか、抜け駆けしようっていう魂胆じゃないだろうな!?」

 二人の怒声に、坂口は振り向く。その顔には、今日一の満開の笑顔が浮かんでいる。

「『人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。』――」

 途端に、中原と太宰から怒色が抜ける。

 坂口安吾作『堕落論』。能力は、戦闘意欲を消失させる。

 二人の様子を見、坂口は真顔に戻って言う。

「悪いな、二人共。俺もこの本をずっと読みたくて探してたんだ」

 そして、背を向けて徐に歩き去る。

 坂口の姿が見えなくなるまで、中原と太宰は何も行動を起こせず、また、何の言葉も発せなかった。

 見えなくなってからやっと、魔法から解けたように、どちらともなく言った。

「帰ろう」

「そうだな」

 二人は歩き出し、街に入った辺りで、中原は「太宰」と声を掛けた。

「何ですか?」

「これ、やるよ」

 中原は『春と修羅』を再び、太宰に差し出す。

「いいんですか?」

「ああ、さっきは……その……、迷惑を、掛けたから」

「そうですか……」

 受け取ろうとして、本をまじまじと見た太宰は、ある事に気が付いた。

「遠慮しておきます」

 太宰の言葉に、中原は驚きの表情を向ける。

「何で」

「だって、その本、中原さんにとって大切な物なんでしょう? 見れば分かります。何遍も、何遍も読み直したから、こんなに開き癖がついた」

「……じゃあ、貸す」

「……そこまで僕に読ませたいんですか?」

「ああ! 何てったって、宮沢さんの詩だからな! この魅力を人に伝えたくって伝えたくって仕方ない!」

 訊いてもいないのに、キラキラと瞳を輝かせて魅力を語り出す中原に、太宰は苦笑する。

 しかし、あんまりに中原が楽しそうなので止めない。

 自由に語りに語っていた中原だが、はたと何かに気付き、言葉を止める。

 二十センチも差がある相手の顔を見上げ、ニンマリと笑う。

「どうだ、太宰、酒に付き合ってはくれねェか?」

「え?」

 濁点が付きそうな太宰の返答に、中原は一層笑顔を作り、太宰の腕を引っ掴む。そして、目に入った飲み屋に入った。

「いらっしゃいませー」

 店員が言い終わる前に、中原は「一番高い酒をくれ! 代金はこいつが出す!」

「はぁぁあ!? なに言ってんだ、中原!」

「呼び捨てにするんじゃねェ! 俺の方が年上だ!」

「享年は僕の方が上だ!」

「知るかよ!」

 またしても喧嘩が始まる。

 しかし、周りにいる客や店員は止めようとせず、寧ろ笑ってその様子を見ている。

 中原と太宰の喧嘩は、昭和街での名物になりつつあるのだ。

 真上にある太陽が傾き始める。

 今日という日が終わるには、まだまだ時間が掛かるようだ。

〈終〉

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