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壱
かつて《それ》は矮小だったが、《それ》は自身が矮小であることを知らなかった。
知ることもなく、矮小なまま生きていた。
しかしあるとき、《それ》に手を差し伸べた者がいた。
今思えばその手は、温かくて、とても優しい、救いの光芒とも言える。
「キミ、私の弟子にならないか?」
そんな唐突で、わけのわからない誘いにわけのわからないまま乗ってしまったのは、
一日に一度食べ物を口にできるか否かの野良犬みたいな暮らしにいいかげん嫌気がさしていたからか、
ただの気まぐれか、
それともーーー。




