壱
この話にはたびたびバイクについての会話が出てきますが、付け焼き刃の知識ですので、かなり間違いがあるかもしれません。
あたたかい目で見ていただけましたら幸いです。
「…リ、オト……」
熱くも甘い熱を孕んだ紅い瞳に射抜かれ、リオトはまるで催眠術にでもかかったように彼の瞳から目を逸らすことはできなかった。
「もう、抑えられそうにないんだ・・・」
鼻先が触れる距離まで迫る、整った顔立ち。その唇から絞り出されたような苦しげな吐息がかかり、リオトは肩を揺らす。
「あ…、し…しょう…」
カイナから逃れようにも左右にはたくましい腕が、後ろには硬く高い壁が立ちはだかり、逃げ道はない。身をよじり開けたわずかな隙間も、すぐに埋め尽くされてしまった。
「すまない…、いい、か…?」
いつもは不敵な笑みを浮かべて飄々として、穏やかでクールな物言いと表情でリオトをたしなめ子供扱いし、ときには弄んで性別や武術、歳などのすべての差を見せつけてくるくせに、こんなときだけ物欲しそうな、しかし拒めば壊れてしまいそうなどこか儚い表情で求めてくるなんて、すごく卑怯で、すごくズルイ。
そんなカオをされたら、断れないと知っているくせに。
この人は、自分の気持ちも、答えも、すべてを知っているくせに、いつもこうして問いかけてくる。
「お前が大事だから無理はさせたくないし、無理強いもしたくない、傷つけたくない。だから、嫌ならハッキリ拒んでくれて構わない……」
そうやって、どんどん沈みこませて、ますますこの人から抜け出せなくなっていく。
「しかし、私もまた人であり、男だ。人並みには意地もプライドもある。こういうことは、できる限り経験しておきたいと思っている…。だから……」
壁についていたカイナの右手が、リオトの肩にいたわるように優しく触れる。
「出させて、くれないか…?」
びくりと一瞬だけ肩を震わせたあと、カイナのすべてを受け入れるように、リオトの華奢な両腕がおそるおそる広げられ、彼の脇腹あたりの服を掴む。
「リオト…」
名を呼ぶ甘いテノールの声に心も体も、思考回路すらしびれ果て、そして頷くリオトは自ずと悟るのだ。
ああ、結局、この人にはいつになってもかなうことはないのだと。
ゆっくりリオトが頷いたのを確認すると、そっと、大好きな師の大きな手が動き、リオトはすべてを委ねる。
そう、すべてを―――。
「よし、そうと決まれば早速受付を済ませねばな」
「残念でした。そっちは宿です」
「む…。ではこっちか?」
「そっちは街の外。こっちですよ。行きましょう」
「ああ」
ベッドシーンだと思った?
残念!ただの会話でした!
っていうのを一度をやってみたかった。
作者という名の苗木に、評価、感想、アドバイスという名の肥料を撒いて、みんなで育んでいきましょう!
誰~も知ら~ない~、木~に~なるでしょう~♪




