実録!ファンタジーの人に質問コーナー 土下座神編
このお話はフィクションです。実在の土下座神・土下座神作品との関係は一切ございません。
さあ本日も始まりました、実録!ファンタジーの人に質問コーナーです。今日のゲストは土下座神さんです。
「はい、どうも。土下座神です。こういう場は不慣れなんで、少々おかしなことも言ってしまうかもしれませんが、本日はよろしくお願いします」
はい。よろしくお願いします。実は土下座神さんは収録前のアンケートでは、ゲストに呼びたい人ナンバーワンだったんですよ。
「へぇ、光栄ですね。私なんて開幕に登場して、大体はもう出てこないことがほとんどなんですが」
で、あるにも関わらず読者の記憶には残っているわけですから、それだけ存在感のある魅力的なキャラクターと言うことなんでしょうね。それではさっそく質問に入りたいと思います。ええと、これが一番多い質問でした。
Q.1 土下座神さんって神様なんですか?
「いやいや、これは」
その質問の理由としては神様なのになぜ人間などに謝ってるのか……という疑問が多いようでした。
ズバリ聞いてしまいますが、その辺りについてはどうお考えなのでしょうか?
「そうですね。確かに私が膝をついて頭を下げていることが多いのは事実です。自身の神という存在の認識との差違に、理不尽に感じてしまう人が多いのも分かります。ですがそれは時代のニーズによるものと考えてもらった方が良いのですね」
ニーズですか?
「はい。以前まで私は上から人間に対して命令をしていることが多かったのです。しかし、昨今では信仰心も薄れ、私を敬う方々もずいぶんと減ってきています」
無宗教の人たちも多いですし、確かにそれはそうかもしれませんね。
「それに迎合すると言ってはおかしいかもしれませんが、以前のように主人公の方に対して我々が命令として指示をしても上手く話を聞いてくれないことも多くなってきたのです」
なるほど、ゆとり教育の弊害と言うものですね。競争力を失ったことで平等主義がまかり通り、神ですらも対等にしか見れなくなった世代がこうして土下座神さんにまで影響を見せているということですか。
「ははは、そこまで深刻なものかは分かりませんが、そうしたことから我々の方も譲歩する必要ができたのは事実です」
なるほど。土下座神さんが土下座をする理由にはそうした事情があったわけですか。
「はい。それに私としても主人公の方には気持ちの良いトリップや転生をしてもらいたいのです。そのための一環として考えていただければ幸いです」
なるほど。主人公の横暴な態度にも耐える姿勢は実は優しさだったというわけですか。土下座神さんの人の良さが分かる話ですね。それでは続けての質問です。
Q.2 神様の不注意で主人公が死ぬのはなぜでしょうか?
神様ならば、不注意で死なせることもないのでは? という質問です。
「そうですね。これは主人公の方々には秘密にしておいて欲しいのですが、実際に主人公の方が死んだケースというのは大抵が本人の不注意によるものです。私はそれを拾い上げる形でトリップや転生を行うのですが……簡単に言えば廃品回収みたいなものでして、現世ではもう使えなくなったモノを有効活用させていただいてるのですね」
なるほど。しかし、土下座神さんはそれを自分のミスだとおっしゃるわけですよね?
「はい。これも最初の質問の答えに被ってしまうのですが、主人公の方というのは大抵がコミュニケーションに不足をした、社会の中では上手く生きられない方々が多いのです。そんな彼らに自分の不注意で死んだと伝えると萎縮してしまうことが多いのですね。また、過去の事例から言えば、私が殺したのだと主張する主人公の方も少なからずおりました。また、そうした問いに対して正しく説明するのも少々難儀です。何しろ神ですので大体のことはできますし、そこは悪魔の証明になってしまうわけです。でしたら最初からこちらが原因と割り切って考えてしまわせた方が、後々の対応も楽になりますので」
なるほど。確かに主人公は社会的に底辺ですし、コンプレックスから周囲に対してひねた考えを持つ人も多いようですからね。
「そういうことですね。主にプロローグや一話でしか登場しない私としては、そうしたことで躓かれてしまっても困ってしまいます。であれば、私が泥を被ってしまえば……となるわけですね」
そういうことでしたか。確かに主人公には聞かせられない話かもしれませんね。それでは続いての質問です。
Q3. なぜ女の子だったり幼女だったりするのでしょうか?
「まあ、そういうことばかりでもないんだけどね」
ここ最近ではヒロインとして扱われることも多いようですが、その辺りはどうお考えなのでしょうか?
「これも時代のニーズによるモノです。高嶺の花とも言いますが、ランクの高い女性を娶るというのはいつの時代の男性のとっても憧れです。しかし、同時に釣り合いのとれていない相手では萎縮してしまうのも事実です。ですから、権威はあるが、主人公だけには従順な女性というモノが求められるわけです。そのバリエーションとして土下座神が選ばれることもあると考えていただければよろしいかと思います」
ニーズですか。先ほどもおっしゃられていましたが、ニーズというのはやはり重要なものなのでしょうか。
「重要ですね。私は結局のところ、そのニーズにあったときにしか出てこれません。特に昨今に置いては私の登場回数も増え、飽きられている面もあります。しかし、時代が求めている以上はそれを全うするのも我々神という存在です。私の矜持と言っても良いでしょう」
自身の仕事に誇りを持つ。それはとても素晴らしいことですね。それでは最後の質問です。
Q4. なぜ土下座をするのでしょうか?
「何故か? と問われれば、それは誠意です。どうであれ、私の管理する世界を救うわけですから、誠心誠意を持って尽くすは当たり前のことでしょう」
確かに、人に頼みごとをするからにはその姿勢は大事ですね。
ありがとうございます。それでは本日のゲストは土下座神さんでした。
「はい。ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう」
次回の実録!ファンタジーの人に質問コーナーのゲストは女騎士さんになります。
オークとの競演により絶大的な人気を誇るファンタジー世界の格好良い女性ナンバーワン。
日頃のツンツンとした態度を持ちながら、いつしかデレっとしたチョロい女に変わってしまう彼女の魅力に迫ります。
※次回のクッコロさん回は放送倫理規定に抵触したので中止となりました。