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はじめての異世界での生活

 娼館での生活は、ひどすぎます。

 今、自分は体を自由に動かせない状態。

 なので、いろいろと世話をしてくれる人がいます。

 下の世話から、食事まで、それは、もう、いろいろ…

 ちなみに、山からの帰りもケインさん達に世話になりした。下の世話も、食事も、噛んで柔らかくした肉を食べさせてもらったり、水を口移しで飲ませてもらったり、いろいろ。

 精神年齢的には十分な大人、意識もはっきりしているので、つらい。現在進行形ですが。

 そっち系の人たちにはご褒美かもしれませんが、一般人にはつらい。そっち系の人にも四六時中は、つらいと思うけど。

 さらに、お世話してくれている人がびっくり。

 奴隷だそうです。

 さすがファンタジー。こんなところでお約束の奴隷が出てくるとは。


 この世界での奴隷。

 ここは、こんな自分をお世話してくれる人に、尊敬の念を込めて、奴隷さんと呼ぼう。

 奴隷さんは、元冒険者、らしいです。

 あまり話をしてくれないんだよね。なんとか聞き出したけど。

 こんな状態なので、こっちが話せないせいでもありますが。

 一応、少しだけど話ができるようになったおかげです。


 奴隷さんは、女性です。

 きれいな方です。左半分は。

 右はひどい火傷で、とっても動きずらそう。

 右手の指は動かない。手首も肘も動かしずらそう。顔も火傷で右目は見えているんだろうか?足も引きずっている。あまりじろじろ見るのも失礼かな。

 冒険者時代に失敗したらしくて、大火傷を負って、仲間を失って、生きていくために今のような生活を選んだらしい。


「こんな体でも、ここにいれば、男に触り放題だ。」


 男らしい?発言です。

 こっちの世界だと、女らしい、というらしいけど。


 この世界のこともちょっとだけわかりました。

 男女比が、1対6くらい、だそうです。

 全男性がハーレム状態。

 ケインさん達は5人だから平均くらい、だったのか。

 多いと20人相手に一人、なんてこともあるらしい。早死にしそうです。

 最近は生まれる子供の数も少なくなってきたらしくて、一層、結婚が難しくなってきた、なんて話もあるらしい。

 結婚相手も見つけずらい。結婚しても、子供が生まれない。男が生まれれば一攫千金も夢じゃない。知り合い同士で男の子が生まれれば、将来交換確定。という感じ。

 とっても大事に育てられ、婿に出される男。

 雑に育てられ、たくましく育っていく女性。

 姉妹達はほとんど母親が違い、父親は同じ。年の近い姉妹たちは一緒に夫を探すようになる。学校やギルドで知り合った、気の合う者たちと仲間になって、共に夫となる相手を見つけるそうだ。

 

「クリスタだ。今日から、お前さんの奴隷になる。よろしく。」


 なんでも、男性というだけで偉いらしい。

 なんとなくだけど、持ち上げられて、使われてる感が凄くするんですけど。


「ダイ…です。よ、ろ…く。」


 なんとか、自己紹介はした。

 名前もダイに省略。言いづらいし、前の世界と今の世界の名前でダブっているから、ちょうどいいか、と思った。山の頂で生まれ変わりました。ハイ。なんてね。


 奴隷は、この娼館付きではなく、一人専属になるらしい。

 だれかに買われていけば、その人付きの奴隷も一緒についていく。病気かなんかで、誰にも買われなければ、奴隷も運命共同体。なので、一生懸命世話をする。理に適っているな。

 世話する男がいなくなれば、稼ぎがなくなり、路頭に迷う。その先は、盗賊、物乞い。命があればみっけもの。

 しかし、クリスタの場合、それも無理とのことらしい。

 盗賊をやるほど体が動かない。

 物乞いも、それなりの仲間がいなければ生きていけないくらい、この世界は厳しいらしい。


「子供が作れないのが、心残りだな。」


 毎日、男は触り放題だが、子供は作れないらしい。

 クリスタの体は子供を産むことができるらしいが、社会的に?だめ。こんなところで子供をつくれば、追い出される。一人じゃ生きていけない。

 親とか、親戚とか頼れば良いと思うけど。


「独り立ちしたら、実家には戻れない。他所から入ってきた義姉妹達がいるから、よほどのことがないと世話にはなれない。」


 そうでもしないと、あっという間に100人近い大所帯になる。今の男が少ない状態だと。

 ハーレム状態だが、全員一度に子供は産めない。家族が路頭に迷う。

 そのつもりでも無理らしいが。

 子供を育て、ある程度大きくなるとまで、家の手伝い。体が動く内は育てた子供を独立させる。年をとり、無理が利かなくなったら、家に残し、跡を継がせる。外に出した子供から仕送りをもらい、家に残した子供に世話をしてもらう。

 理想の人生らしい。

 本当のところ、そんな生活をしている家族は一握りらしい。子供の数が多くないとね。出ていったきりになる娘たちも多いだろうし。結婚自体難しいしね。


 …不思議な状況だと思う。そんなに結婚難なら、人類絶滅しちゃうぞ。

 人ひとりに一人以上の子供が生まれないと、人口は自然減少していく。気になったんで、いろいろ悩んでいたら、気が付いた。

 その上、このファンタジー世界は生きづらそうな世界だし。一人当たり2人は産まないと絶滅しちゃうんじゃね?

 あれ?今まではこんなんで問題なかったんだよね?最近ひどいってことか。

 こっちの男性ができないなら、代わりに俺が彼女達に子種を…、なんて、いくら頑張っても、たかがしれてるよね。男だし、一日の回数は上限があるから。まあ、女性が少ないより、回復の希望はあるけど。


 そんな感じの情報をクリスタから得ていく。

 俺の目的は世界周遊旅行だ。と思い直し、彼女に聞こうとすると、ぴたりと話をやめてしまう。失敗か?それ以来、結婚関係の話も、昔話もしなくなった。

 そんな状況になっても、おれの世話はしてくれる。


「めしだ。」


「下着がぬれてるな。交換するか。」


「体をふくぞ。」


 こんな感じで、世話してくれる。

 奴隷というと、ご主人様、と呼ばれたりするのか、と思っていたが、どうも名ばかりの奴隷のようだ。

 体を拭かれたり、着替えをしたりはいいが、それ以外はつらい。

 なので、体を動かす訓練をする。

 ひとりでおしっこできるようになりたい。

 と、言っても、力を込める、魔力を通したり、を徐々リハビリをやるだけだけど。

 その甲斐あって、徐々に回復に兆しがでてきた。

 手も何とか動かせる。

 ゆっくりだけど、話はできる。


「そろそろいいか。」


 体の様子に気が付いたらしい。

 着替える時、触られる。


「うっ。」


 超過敏状態の俺の体が恨めしい。

 体中、痛いのに、感じるという残酷な仕様。過剰痛覚遮断。こんなタイミングで効いてくるとは…。痛いのに感じるという、絶妙な仕様。目覚めちゃう!


 そんな状態の俺をじっくりと観察されて3日後に、初めてのお客さんが付きました。

 ハイスペックな姉妹達。見目麗しく、体力旺盛でした。

 1週間、貸し切りで。

 クリスタも居ました。

 何をしてるかと思えば、最初、可能な状態にさせられました。いろいろ触られていたのは、こういうことだったとは。


 それでも、昼間はゆっくりと休める。

 体中が痛いのも収まってきたし。

 どうやら、筋肉痛だったみたいです。あの全身痙攣のせいかな?

 体力を使い切るわけにはいかないらしい。当たり前か。

 なので、娼館であっても、待遇は良い。

 自分でトイレに行ければ、今のところ何の不満もない。むしろ、このままここに居たい。

 いやいや、あの山頂で誓った想いを忘れてどうする。

 ここを何とか抜け出して、世界中を旅する。

 それまでは、その準備だ。

 毎日、やることをやり、日々の生活を大切にしよう!

 お仕事の合間に、情報収集も欠かさずに頑張るぞ。


 そんな感じでお客さんと接していたら、なぜか人気者になってました。

 真面目に話を聞くおとこ、と思われたみたいです。

 人伝で話がいろんなところに伝わるらしく、ひっきりなしです。


「まさか飽きるとは。」


 思わずつぶやいちゃいました。

 なんという贅沢なおれ。


 それより、体の制御が面白い。

 超感覚。

 毎日、自分の体が元に戻っていく感じが半端ない。

 空気の動きが読める。

 扉の向こう側の様子が、床を伝わる振動度と微かな物音でわかるようになってくる。何故か大きな音と小さな音を同時に聞いても、ちゃんと聞き分けられる。過剰痛覚遮断の能力と同じような能力かな?

 匂いも犬並みになったらどうなるかと思ったけど、嗅ぎ取れるようになっただけで、臭くて死にそうにならないようだ。

 視力も良くなった。2.0よりはありそうだ。でも、視力に関しては、まだ、改良の余地ありだ。赤外線や紫外線、方法はわからないが魔力も見たいし、未来予知なんてこともできるようになりたい。

 でも、改良するときは注意が必要だ。今回みたいな目にはあいたくない。旅行中に失明状態では、命に係わるしな。身体強化、改造するときは慎重に行こう。失敗はなしにしたい。


 日々、よくなっていく体だけど、なるべくばれないようにする。

 ある程度動かせるようになったら、ここから逃げるからだ。警戒されてはまずいと思う。…ん?ばれても問題ないかな?ばれたらどうなるんだろ。イメージがわかない。…俺って想像力がないかも。


 それより、クリスタの目が怖い。

 体がいたせるようになったの見抜かれたし。自分でも気が付かなかったのに。

 すごい目で見てる時があるし。


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