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結婚とか、いろいろなお話し

 お昼のあとは引き続き登山です。段々と険しくなっていきます。木もまばらになり、岩肌が多くなってきました。頂上も見えてきました。頂上には木は一本も生えていません。でも、まだ昼前とはいえ、夕方までに着くとは思えません。

「今日中に登るのは無理じゃありません?」

 そう聞くと、アリスさんが答えます。

「もう少し登ると~、魔力が使えるようになるの~。ちょっとだけだけど~、走れるようになるよ~。」

 無理です。こっちは一般人ですから。魔力のマの字も感じ取れません。何とかこっちの事情を理解してもらうと、

「そっか~、忘れてた~。」

 この先に昨日泊まった様な砦があるそうなので、今日もそこに泊まりましょうということになりました。


 お昼は、また、お肉でした。サクサクと獣を倒して、血抜きして、焼いておしまい。手馴れてますね。生木なのに、どうやって火を起こしているのでしょうか。十分、魔法を使っているように見えます。


 お昼のあとは、登山です。午後からは、ウィンディーさんが一緒です。魔力が戻ってきたので、一番弱い彼女が俺の付き添いになりました。

 先ほど、アリサさんから、結婚についてはウィンディーに聞いて~。と言われたのでちょうどいいです。

「結婚式の準備、って何ですか?」

 よくわからないので、直球で聞きます。

「混濁の森にある、祝福の山の山頂で祝福をもらいます。」

「みんなで日の出を拝むのでしょうか?」

「そのとおりです。」

 やっぱり富士山登山みたいなものか。

「山頂でなにかが起きると言われてます。」

 言われてる?

「2年前の伯爵家の時は空一面の流星を見て、王国の守護者となれ、との啓示を受けたそうです。120年前の男爵家は、山頂でガルーダに会い、討伐はできなかったものの、その羽を持ち帰り万の富を得たそうです。」

 へぇ。

 彼女は周りを見渡し、他のメンバーから距離があることを確認してから、

「嘘です。」

「えっ?」

「伯爵家は山頂まで登りませんでした。120年前の男爵家は山頂まで登ったのは事実ですが、ガルーダとは戦いませんでした。山頂付近に落ちていた羽を拾って帰っただけです。」

「よく知ってますね。」

「はい、学友から聞きました。…そういった誓いを立てた集まりがあるのです。そのつながりは家族よりも、血よりも濃いのです。嘘はつきません。」

「なぜ、そんな話をわたしに話してくれるのでしょうか?そこまで信頼されているようには思えないのですが。」

 それとも、と考える。この体の持ち主は、そんな信頼関係をこの女性達と築いていたのだろうか?そんな感じもしないんだけどな。違和感があって気持ち悪い。結婚の話も聞きたいが、この違和感も何とかしたい。でも、今は結婚の話を聞いてしまおう。

「…あの日。熱が引いた時から、貴方の様子はおかしいです。高熱を出し、生死の境をさまよいました。この森を抜け、山を登り、もうすぐ山頂というところで引き返ざるを得ませんでした。食糧を調達できるところまで引き返さなければ、今頃は死んでいたはず。」

 その行程で魔物に襲われ、アリサの魔力が着きかけた。砦でこもっていたが、一度、森を出ようと動き出し、そこで様態が急変し、俺がこの体に入り込んだらしい。入れ替わった事実は、俺しか知らない、と思うけど。

 それにしても、高熱が4日間。この世界に来る前の俺と一緒だな。

「…、というより死んでいた。あなたは何者?」

 しばらくして、彼女がつぶやく様に問いかけた。


 俺は何者、なんだろう。

 同じ高熱を4日間。生き残った者と逝ってしまった者。いや、互いに半分ずつ提供して一人の人間として生き延びた、という感じがする。

 歩きながら、ウィンディーは説明してくれた。

 一度死んだ者がよみがえったのは、魔物となってしまったのではないか。ならば逃げよう。殺してしまおう。一度は婚約した間柄なのだから、人として逝かせてあげよう。魔物には見えない、しばらく様子を見ようという話でまとまり、俺は目覚めた。危ないところだった。

 ダインは、貴族専用の結婚相手として育てられた特殊な血統の男性。それが彼。小さい頃、多額の金銭か地位と引き換えに親元から離されて育てられた。

 彼女の知り合いだったらしい。話すほどの仲ではなかったらしいが。学校の社会科見学でその施設を訪れた時に見かけた。おとなしく、優雅に振る舞う男性のなかでも一際か弱く、儚い印象の男の子。

 でも、貴族の結婚相手に相応しい、とても厳格な、それはそれは厳しい教育を受けられる施設だったらしい。その中でもトップクラスの優秀な努力家。

 大きな手柄を上げ、その見返りとして得られた結婚相手。それが彼。


 どんな手柄だろうとか。この体の元の持ち主は、その時どんな気持ちだったんだろう。とか、いろいろいろ考えたけど、一番は、それに比べて俺はなんなんだろう。という想い。

 片や、すごい血統の持ち主で、努力家で、優秀な人物。

 片や、なんだか知らないけど、大きな手柄を立てるほど優秀な人達。

 それなのに、そんななのに、なんで俺なんだろう。昔からそうだったけど、そういう優秀な人達の傍にいるとムズムズすっていうか、居場所がない感じがするんだよね。なんか、逃げ出したい。


 逃げ出したい、と言えば。

「なんで、もう一度、登るんでしょうか?」

「みな、まじめだから言い出せなかったけど、普通はここまで来ない。来たふ

りだけで、途中で引き返す。」

 そんな感じはしました。特にリーダーさんから。


 ウィンディーさんの説明は続く。

「何らかの祝福を受けるのは、本当の筈。実績は何年か…何百年かありませんが。

伝承によれば、ここ混濁の森にあなたたちの様な継ぐ者を連れてくるとある者は祝福され、あるものは運命を授かるといわれている。」

 他にも、栄光の時代とか、勇者と魔王の話とか、火の7日間的な話をたくさん聞かされました。

 すいません。覚えていません。登りはきつくなるのに、彼女たちは全く歩みは衰えず、それどころか早くなっていく気がします。ついていくのが精いっぱいです。

 そういえば魔力が…なんて話を思い出しました。


 気が付いたらテントで寝てました。倒れてしまったらしいです。

 とりあえず、明日のことを考え、寝ました。

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