外出先で、いろいろ思う
クリスタと外出です。
目的は、この前のお礼。と、言っても、野菜のことを教えてくれた、おばあさんにだけだけど。
若い年頃のお姉さんに会いに行けば、いろいろ噂がたつ。そのまま攫われちゃう、なんてこともあるかも、と脅されました。彼女達にも、「男がいる」なんて話になると、縁談話も来なくなる、こともあるそうです。
若い子供やある程度年の行った人たちには十分なお礼をしたので、これ以上、若い男からのお礼はいらないそうです。
郷に入っては郷に従え、と言うので、素直に従うことにしました。
街中を歩きます。
そういえば、落ち着いて歩くのは初めてです。
ボロボロの状態とか、乗り物の中からしか街を通っていない。
それにしても、女性しか見ない異常な光景、街並み。
女性は好きだけど、はっきり言って怖い。
「男の人がいないね。普段、どうしているのかな。」
「結婚したら表を歩くことはほとんどありません。結婚前も外にでるのは年に数回の行事のときのみ。移動は乗り物に乗るのが習慣です。」
そうなんだ。と聞くが、それよりも気になることがあるので聞く。
「なんで敬語なの?」
「奴隷ですから。」
忘れてたわ。
とりあえず歩く。
建物が、というより道路が妙な感じがする。そうか、交差点が妙に広い。
「なんで、曲がり角毎に広場見たくなっているの?」
「なんでって、普通ですが…。特定の家族が集まって一つの区画を占有してます。建物に囲まれて中に広場があります。男たちはそこで体をほぐしたり、日光浴をします。一日中そこで井戸端会議をしています。」
住んでいる娼館も、そんな造りだったな。中庭があるんだ、くらいにしか思っていなかったけど、この街の普通の造りだったんだ。
ほかに、いくつか質問すると、男性が閉じこもる理由もなんとなくだけどわかってきた。
男が少ない。
外をうろついている男は攫われる。
子供は特に危ない。
大事に、外に出さない様に家族や気の知れた者たちに囲まれ育つ。
男は外に出ないのが普通だと思って育つ。
みんながそんなもんだと思う。
どんどん軟弱な男が増える。
そんなことが繰り返されて、一般常識になる。
こんなところか?
それなのに、護衛?をひとりしか連れていない男が街中をあるく。
「大丈夫なの?」
「いざとなったら逃げればいいです。ダイ様なら問題ありません。」
ダイ様って響きが悪いな。
ひとつの区画は、運命共同体だ。ある家族は、街の外に魔物を狩る。また、ある家族は、狩った魔物を街まで運ぶ。ある家族は、それを捌く。ある家族は捌いた魔物から肉を採り料理し食糧とする。また、保存食に加工したり、素材として道具に加工する家族もある。それらが集まってひとつの共同体となる。その共同体が住まうのがひとつの区画となった。
ある共同体は料理がうまい。保存食を作るのが上手。素材から道具を作るのがうまい。いろいろだ。
どこの区画も1~2軒の店がある。
仕入れて売る専門の区画もあり、見た目は商店街だ。得意な技もなく、魔物を狩るのも不得意な者達が集まってできた共同体らしい。実家や知り合いから仕入れて売っている。
今回行く婆さんの家族は、野菜採取が上手だったらしい。跡継ぎ達に技術や知識を一通り伝え終わり隠居していた婆さん。興味本位に手伝ってくれることになったそうだ。どういう話のいきさつだったのだろう?
「こんにちわ~」
八百屋だ。店員や客たちがぎょっとして見る。視線が痛い。
こちらの世界では、高級食材の店となる。貴族相手にも商売をするが男性にあうことは少ない。店に来る男性もいない、とクリスタにそっと教えてもらった。だから、あまり目立つ様な行動はするなとも言われました。
店主にあい、奥に案内される。
「この前はお世話になりました。」
布団に横になった婆さんに挨拶する。この前はあんなに元気に動いていたのに、顔色も悪い。
「よく来たな。」
こっちこそありがとう。久しぶりに楽しめたと、逆に礼を言われる。
「大丈夫ですか?無理なお願いをしちゃったんでしょうか?」
「いや、単なる年のせいだ。うまい食べ物も食べられたし、しばらくは元気だったんだが、今朝から調子が悪くてなぁ…」
う~ん、病気とか治してあげることができればよかったんだけどな。怪我ならなんとかなりそうだけど。年のせいで調子が悪いならなおさら手が出せない。理由が思いつかないし、へたしたら悪化させる気がしてならない。この年で全身筋肉痛にでもなったらどうにかなっちゃいそうだし。
「確かにあの肉はおいしかったけど、野菜が最高でした。」
「ははは、若者らしくないな。肉しか食べない者がほとんどだというに。肉の方が魔力は摂れるが、野菜を食べた方が体はしっかりするからな。」
なぬ?本当か?
元の世界でも、肉ばかり食べると栄養が偏るとか、さんざん言われたもんな。野菜からしか摂れない栄養もあるし。こっちの世界でも同じなのか。
ん?だとしたら、足りない栄養はどうしてるんだろ?魔法か?魔力が足りない栄養をファンタジーな方法で補っているのかな?
そうすると、こっちの世界に来た時にいたあの森みたいな魔力が枯渇した状態だと死んじゃうんじゃないか。ケイト達、よく無事だったな。あー、日ごろから野菜を食べていたのか。高級食材と聞いたけど、実はいいとこの家で育ったのか、それとも気を使って食べていたのかな?
魔物も同じかな?あの森の魔物は小さい感じがしたけど、逆に健康体だったのかも。魔力にあふれた世界の魔物は、魔力で体を補強しているだけで、魔力がなくなっただけで死んじゃったりして。
あの時のガルーダ。魔力を食事がわりにしてた。
タンパク質やアミノ酸の代わりになる魔力。
神経や筋力を強化することもできる。
神経をなにかに置き換えることもできる。
怪我や火傷を治すことも可能。
魔力以外いらなくね?
それなのに、野菜を摂らないとバランスよく育たない体。
魔力がなければ、元の世界と変わらない。
「大丈夫ですか?」
クリスタに声を掛けられ、我に返る。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた。」
その後、野菜の話でばあさんと盛り上がった。
クリスタも意外と野菜好きなのが分かった。
婆さんも本調子じゃないので、楽しかったが、そこそこで切り上げる。
魔力についていろいろ考察できたが、得体の知れなさが不安をあおる。
当面は魔力なしでも生きていける体作りをしよう。少なくとも魔力で体の何かを補うのはなしだ。
読み返して思いました。他の人って、書くのが上手だな、と。
趣味の範疇で書き足していくので、よろしくおねがいします。




