クリスタとお話ししました
「ダイ、帰ったら、話がある。」
一言言い残すと、まだ戦っている仲間のところに走っていくクリスタ。
「タフだな~。」
正直、体が痛くて動かない。
さっきまでは勢いで動いたけど、体中が激痛が走る。筋肉痛か?関節痛か?この痛みは軽減されないのか?
残された婆さんといっしょにゆっくり歩き、皆と合流する。
…おいて行かれたけど、いいのか?
その後、つつがなく戦闘が終わった。
終わっただけじゃなく、ウッドウルフの剥ぎ取り、野菜の採取を通常運転で終わらせる。ウッドウルフは煮込むととてもおいしいそうです。捨てていくには惜しいので剥ぎ取り。ゴブリンは捨てていく。調理次第では普通に食べれるが、それよりおいしい食材でいっぱいなので、残念ながら捨てていくことにした。
思う。通常の狩りではどうしているんだろう?こんなペースで狩ったら、周りは全部血の海だ。
今は聞く気はない。疲れたし。
早めに採取、狩りを終え帰路に着く。
俺とクリスタを除くみんなはハイテンションだ。高価な野菜は頭割りでも1週間分もあるし、高価な肉も食材も捕れた。早くに帰れ、怪我もない。筋肉痛が1名いるだけだ。
収穫パーティーを開く予定だったが、俺が全身痛くて動けないので、皆で山分けして解散した。動けるようになってからだと、いつになるかわからない、ということで遠慮してもらった。申し訳ないな。
しかし、娼館の女主にはこってり絞られた。今日は客はとってないが、明日からはどうする気かと。痛みは明日までに直せ。今後、このようなことは禁止にするぞ、と。
どうにか説得して、また、外出できるようにしてもらったけど。当分禁止なのは仕方がない。
それにしてもクリスタ、戦いになったことは秘密にしてくれました。ありがたいな。
ありがい、と思ったのは一時でした。
「筋肉痛でも話はできるよな。」
その通りです。
「今日の、あの動きは異常だ。とても最近まで動けなかったとは思えない。偶然のように見えたけど、そうではないな。最後に、あの速さ動く魔獣のの目を突くなんて、異常すぎる。」
「えーっと、ちょっとまってて、整理するから。」
どうやって話せばいいのか、迷う。
・嘘でごまかす。
・本当のことを話す。
クリスタに嘘はつきたくないな。
なら、真実は何を話すのか。
これまでの起こったことを整理する。こっちの世界に来てからのことでいいだろうか。
・異世界の記憶がある。産まれた記憶は異世界。
・山の上でガルーダにあった。
・世界を旅してまわりたい。
・魔力で体を改造することができるようになった。
・自分を改造して失敗?やりすぎて動けなくなった。
こんなところか?
クリスタには、誠実に対応したい。
これまで、いろいろ世話してもらったし。
本当のことを話して、信じてもらえるかどうか彼女に任せよう。
できれば、彼女は一緒についてきてもらいたい。何故かクリスタは一緒に居ても苦にならない。ケイトさん達には緊張したんだけど。不思議。同じ下の世話までしてもらったのに。
これまでのことを話す。
各セクション1分、長くて3分くらい?それでもこれまでの私生活のなかで、1,2を争う長さ。だって、何話していいかわからないし。
「世界を旅したい、のか。」
そこを話題にします?異世界とか、自分を改造するとか、普通そっちじゃない?
「いろいろ見て回りたい。まず、ここから出ないとならないけど。」
「ここ以外、森や山、砂漠ばかり、という話だ。ここから出るのは、希望すれば出れるぞ。それなりのお金は必要だけど。」
「え?」
「遠くに街はあるらしいが、交流はない。魔物に滅ぼされたとか、この街が最後の人の住処という者もいるくらいだ。」
「本当?…それは困るな。」
本当に困る。予想外。
「本当かどうかわからないが、知らなかったのか…。」
俺の顔をみて、クリスタがフォローする。でも、あとの言葉が続かない。
しばらく沈黙が続いたが、クリスタが質問する。
「体の改造…とは、なんだ?あの動きは異常だが、それが改造、とかの結果か?」
落ち込む俺はその話で更に落ち込む。やな思い出しかないからな。
一応成功したが、それまでの経過がよくない。
まあ、おかげで魔物に勝てたけど。
「神経の伝達速度を速めて、素早い動きをできるようにしたかったんだ。やりすぎちゃったけど。結果、思考速度まで早くなったし、感覚も鋭くなったみたいだけどね。」
体の仕組みとそれをどのように変えたかを説明する。
体の構造については、骨や筋肉や血管や神経などはなんとなく理解できるよう。しかし、電線とか樹脂とか理解してもらえない。
「魔法を使って体の造りは変えることができたんだけど、しばらく動けなくなっちゃって、その節はお世話になりました。」
説明のどさくさでお礼も言っておく。正面切っては照れくさくて言えません。
だから、コミュニケーション能力低いのか。
「…それはいいが…」
なにか考えているようだけど、沈黙が痛い。
「それは、わたしも改造してもらえるか?」
えーっと、どうなんだろ?
「使ったことがないのでわかりません。けど、お勧めできません。それに、他人に試すのはちょっと怖い。」
クリスタが動けなくなって、全身ビクビクって痙攣してたら、…怖いです。
ちょっと具体的に想像しちゃいました。
「確かに怖いな。全くの他人の様になったり、魔物になったりするかもしれないしな。」
確かに。その可能性もありました。失敗して、スライムみたいな体になっちゃったりして。
…いや、それはないな。具体的に神経を電線に置き換える。とイメージしたし。イメージより行き過ぎの感はあるが、方向性はあっている。
それを伝えると、またも考え込むクリスタ。
「わたしに使えるか試してくれないか?こんな体だし、失敗しても変わりない。あなたを恨みはしない。お願いだ。」
もちろん断りの返事だ。
しかし、その後も説得は続く。
「十分すごい動きができるじゃない、ですか?」
「動くことができるだけだ。」
「そうだけど」
あれで?
全開で動けるようになったら、どれだけ動けるんだろ?
全身の火傷痕、動きずらそうな関節。確かに治せるなら治したい。他人の治療に応用できるとは考えなかったな。自分勝手だから他人のことなんて考えたことなかったな。
う~ん。治せるんだろうか。
治せるんだったら、治したい。
よし、覚悟した。
その為には、やっておくことがある。
・クリスタの体の詳細を知る。
外側は見ればわかるが、内側はわからない。外見だけなら、最近、見る機会も触る機会も大幅に増えたしな。
内側は、自分のを試しにやってからだな。
・体の構造を知る。
自分の体のことも知らずに、自分の体は変更できたので、完成状態をイメージできれば問題ないかも。
・火傷痕を治せるか試す。
自分ので試したいが、…火傷痕はない。今の体は傷一つないし。とりあえず、傷が治せるか試すか。
まず、自分で傷つけて治せるか試す。
できたら、彼女の見えるところを小さい範囲で治す。失敗してもよさそうなところが最初だ。腕の関節じゃないところかな。
次に関節かな。もともとほとんど動かない指とか。肘とか、足とか。
うまくいくようなら、最後に顔かな。
火傷。どうやって治そうか。
皮膚を再生する。周りの細胞を増やして置き換える?皮膚だけなら、これでいけそうな気がする。
関節はどうする?火傷で関節までやられる?あー、皮膚が委縮して動けなくなったのかな?筋肉や筋までやられたのかも。これも、周りの組織を増殖してどうにかなるのかな?
死んだ神経の再生って、どうなんだろ?万能細胞とかのイメージでどうにかなるのか?それとも自分は、神経の置き換えだったけど、新たに作りだせばいい?
目の再生とかとてもハードルが高そうだけど、イメージだけでいけるのか?
不安はあるが徐々に治していけばいいかな、と思い直し、安全第一で治療をすることにした。
「わかった。でも、できるかどうかわからないし、いろいろ試しながらになると思う。時間がかかると思うので、そのつもりで。」
「わかった。よろしく頼む。」
一応、異世界の記憶の話とか、動けなくなったときの話とかしたけど、あまり興味はないみたい。
これで終わり?と聞いてみた。
「先の話になるが、世界を旅してまわるときは、わたしも連れていってほしい。わたしも森の向こうの世界には興味がある。」
「喜んで。こっちから、お願いしたいくらいです。」
同行者ができました。




