雷鳴轟き、俺は驚く。
一触即発、俺らはそんな関係。
俺が「なぁ」って言えば、
「何?なんか文句あるわけ?」と聞き返すお前。
幼馴染だったからこそ、仲が良く、
幼馴染だったからこそ、仲が悪かった。
――喧嘩するほど仲がいい。
そんな言葉は俺らのためにあるような……
そんな風には、思いたくはないけれど、
よく、他人からはそう言われていた気がする。
俺が「おい」って言ったとき、
決まってお前は眉間にシワを寄せながら、
「はぁ?何?忙しいんだけど」とか言いやがる。
くだらない見栄の張り合いだったかのかもしれない。
俺には彼女がいない。
お前にも彼氏がいない。
理由は簡単、
中学に入学当初、俺らは無茶苦茶仲が良かった。
だって、その頃は喧嘩する理由もなく、
お互いのことを何を言わずとも理解できていたから。
だからこそ、一緒にいて楽しかった。
泣くのも、笑うのも、どんな時だって一緒だった。
中学入学までは、俺の喜怒哀楽はお前の喜怒哀楽だった。
けど、中学に入学して、
今まで知らなかった奴らと出会って、
そいつらが俺らを見て、「何?付き合ってんの?」って。
俺らは最初、「違う」って普通に否定して、
それからも普通にいつも通り仲良くしていた。
そしたら、どこからか「結婚確定」とかいう噂が出て、
それを間に受けた連中が俺らを冷やかすようになった。
誰かに喋りかけても、「嫁と仲良くして来いよw」って。
くだらない。 今思えば、中学生のお遊び。
そんなことを俺も真に受けなければよかったのに、
俺は……いやっ、俺だけじゃなくお前も、真に受けた。
だから、俺らは次第に喋らなくなり、
それでどちらかが何かを話しかけでもしたら、
眉間にシワを寄せるような、そんな関係になっていた。
今思ったら、最悪だ。
いつだって修正できたはずなのに、結局。。。
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俺は事故に遭った。
迎えも来た。
俺は死んだ。
孤独。
これからは、
そんな恐怖とお友達。
くだらない。
生きてることなんてくだらない。
昔、俺はそんなことを考えていた。
だけど、
今思えば、
生があるとないでは全く違う。
思ったことを口にすることができない。
目の前で泣き叫ぶあいつに、
「大丈夫だよ」って、声をかけることもできやしない。
俺が死んだら、こんなにも多くの人が泣いてくれるなんて。
そんな衝撃よりも、お前が「ごめん」って言ったことに驚いた。