仲間
最近、部活でタイムが上がらない、成績が良くない、友達とも何気ない言葉のすれ違いでケンカしてしまった。
そんな少し少しのイライラが積み重なって、部活の仲間とも上手くいかない……
上手くいかない俺を部活の仲間は、ある所に連れてってくれた、その場所は部活入部当初の目標だった、IHの試合だった。
あぁ、そういえばもうそんな時期だったな……
そんな事を思うと、自分がどれだけやる気が無くなっているかがよく分かり、さらに気分が落ち込んだ。俺は落ち込んだまま帰ろうとすると
「おい、100mの決勝始まるぜ!」
連れてきてくれた部活の仲間がそう言うと、喋っていた仲間、スタンドにいる全ての人が静かになった。
オン・ユア・マーク
その声が聴こえた俺は、帰ろうとした体をトラックに向けて、ジッとトラックを見つめていた。
セット
スタンドがより静かに感じた。
バン!
大きな音が会場を震わせた瞬間、選手が走り出した、ワンテンポ遅れてから、隣にいる仲間、スタンドにいる全ての学校が必死に応援している。
トラックの選手達は、凄い速さで走っていき、残り30mを越えた辺りから応援の声が更に大きくなった。
残り20m…10m……選手が走っている中、3レーンと4レーンが頭一つ分飛び出ている。
あ! 4レーンが3レーンを抜いた!
結果は1位は4レーンだった。俺はタイムが知りたくて、反射的に電光掲示板を見た。
……1位4レーン・10,04、2位3レーン10,07、3位7レーン・10,23だった。
出たい! 応援ではなく、選手として出たい! 1位になりたい! そんな思いが込み上げてきた。
タイムが上がらない? なら今以上に練習すれば良い、成績が上がらない? 今以上に勉強すれば良い、人との関係が上手くいかない? もっと相手の事を知って、受け入れていけば良い、まだ出来る事があるのに、俺はなんで立ち止まっていたんだ……悩むなら全てをしてから悩もう、そう考えた時、部活の仲間から
「この頃なんか悩んでるよな? 俺たちは仲間だろ? 相談なら乗るからよ、一緒にIH目指そうぜ!」
みんなは俺の為にこの会場…IHの会場まで連れてきてくれたんだ。俺には仲間がいるんだ、一人じゃないんだから、相談出来る仲間がいるんだ! だから……
「今更だけど……みんな、よろしくな!」
この舞台を目指そうと思った。