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ヘルメス  作者: 捺耶 祭
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古泉 忍-9-

 ちゃんとついてきてるか心配で後ろを向いてみればこれだ。


 つかさはどうやら踏み切りで立ち往生しているらしい。気がつかなかったら、つかさを見失っていたところだ。俺は十分離れた歩道のど真ん中で待ってやることにした。ややあって電車が通り抜ける。まさかつかさは「電車危ないし」とか思ってたんじゃないかとか思ってた俺は電車が通った後の踏み切りの向こう側を見て、ため息をついた後ヤレヤレといったふうに頭をかいた。


「ったく…」


 どうやらたまたま居合わせた吉田に説教食らっているようだった。まあ、あいつらしいといっちゃああいつらしい。この状況じゃ同情してやりたくなる。吉田はつかさの手を引いてどこかへ連れて行こうとしているみたいだった。この先どうするのかと見守っていると、驚くべきことが起きた。なんと、あのつかさが教師を罵倒した後、その手を無理やりに振りほどいたのだ。


「…やるなぁ。つかさ」


 優等生で危なげなことには人一倍慎重な日野つかさが教師の静止を振り切ったのである。

 

 どこでそんな心情の変化があったのか、俺は気になった。


 その変化を及ぼしたのが自分自身ならどんなに喜ばしいことかと考えてみる。


「俺だけじゃ、まあ、ねえよな」


 直接的な原因は俺がつかさを焦らせて疲れさせていることにある。でも、それだけじゃあいつの完璧だった仮面は壊れないはずだ。


 じゃあなぜだ?なぜ俺のためにそんなに焦っている?今日記憶を消せなくたって、お前のことだから後からどうにでもできるはずだ。そういう狡猾で頭のいいやつだと思っている。


 そんなお前がなぜそんなに急いでいるんだ?


 つかさ。おまえはそれを自身で理解しているのか? 


 全部教えてやる。俺のわかっていることをすべて。すべて理解してそれでもお前は前へ進めるか?


 

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