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ヘルメス  作者: 捺耶 祭
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シスター-8-

 つかさが去った後、彼女はしばらくそこにいた。


 彼女は徐々にひかりの弱くなっていくステンドグラスを見上げながら昔のことを思い出す。


 あれは何年前のことになるのか。二年、三年?いや、もっと?


 ステンドグラスを見上げる男の子はいつも誰かを待っていたかのように見えたこと。どこで知り合ったのか、彼はいつも一人の女の子に連れられて、したくもないおままごとをしていたこと。気づかぬうちに彼のすぐにでも壊れそうだった心はその女の子に救われていたこと。


 そこで彼女は気づくのだった。


 自分がここにいる理由。


 そう、私は彼の気持ちが知りたかったのだ。


 理解したかった。それだけじゃない。

 

 彼になりたかった。


 こうしていれば誰かが私を救ってくれると思ったのだ。


 生きがいを失ってしまった私を、空っぽになってしまったこの心を知らぬ間に満たしてくれる救世主を期待していた。


 そうしてそれはこなかった。


「救世主…か」


 もう真っ暗になった教会の中彼女は一人つぶやく。


 イエス像を見上げる彼女はひどく自嘲的に見えた。ステンドグラスのマリア像はすでに闇に溶けてそこに姿はなかった。



シスターはここで終わります。

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