邂逅1 -白い箱の中の世界-
今日も真っ暗闇の中、目が覚めた。
目が見えないわけじゃない、
まぶたを下ろしているだけ。
ひらいたところで見えるのは真っ白な空間、
無限に続く白。
立っているのか浮かんでいるのかもわからない
気が狂いそうになるほど広い空間に一人でいた。
いっそこの空間にはわたしと白以外なにもない。
その白をわたしは知覚する。
しかしこの空間にはわたしを知覚するものがいない。
だからわたしが何であるのか、 どこから来たのか、 何のためにいるのか。
それを教えてくれるものもいない。
___ねえ、わたしは何なの?
こだますこともなく、染み込むように白の奥へと消えていくその問いかけに、白は無言をもって返答する。
白という闇の中に飲み込まれていくかのように。
他を知覚することもなく。
他に知覚される事もない。
ああ、暇すぎて死にそうだ。
でも、この命に終わりなんて来ない。終わりという概念がない。
白しか見ることのできないこの目と持て余す永遠だけがわたしの財産だった。
あるとき、見飽きた白といつものようににらめっこをしていると、急に腹立たしくなってきたことを覚えている。
___あのさ、わたしは君をずっと見ているけど君はわたしを見てくれないよね。
そんなことは当たり前のことだと理解していた。白は風景であって”他”ではない。
帰ってくる返答だって無言であると。
___ねえ、きいてる? じゃあもうわたしはきみを見てあげないけどいい?
発した言葉に意味がないことは承知していた。でも、ずっと眺めた景色だから愛着みたいなものがわいたのかもしれない。さよならを言う覚悟をひとりごちて、
白はただ無言で答えた。
___そう。
だからわたしは目を閉じてみたんだ。
そうしたら夢を見た。
そこは、たくさんの色とか感情にあふれていて、
まったく飽きの来ない世界の夢。
この世界でも、誰にも知覚されないけど暇ではなかった。
でも、あるとき呼ばれた気がしたんだ。
わたしが閉じた瞼のおく。誰にも知覚さえないこのわたしを。
何のために在るかわからないこの私を呼ぶ声が。
目を覚ますとそこには……
真っ白な世界に君がいた。




