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ヘルメス  作者: 捺耶 祭
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邂逅2 -存在の証明-

その真っ白な世界はわたしのいた白とは違がかった


無限ではなく,すこし薄暗く


不思議なにおいがして かなしげで___


____虚無ではなかった。


彼らは泣いていた。


”どうして?”


わたしは疑問に思った。


ふと,泣いていたうちのひとりの男がこちらをむいた


すこし遅れてとなりにいた女の人も


そして,ベッドの上にきょとんとした顔をしてもう一人


驚いたことに彼らはわたしを知覚していた


知覚されず,自分以外を知覚することを諦めたこのわたしを


「キ■は■■な■■」


その言葉で初めて,わたしはその白の中に居ることに気がつく


虚無でない白にたっていることに気がつく


足に感じた冷たさだけが,そのときのわたしのわたしに対しての存在の証明だった


でもその質問に対する答えが見つからない


冷たい光の差す窓に思わず目をそらして


「■■■■」


とっさにわたしはそう答える。


意味なんてない


ただ、窓の外にみえたバルーン広告に書いてあった文字だ


早く答えないと,また知覚されなくなるんじゃないかって怖かったから。


わたしには名前なんてないから___


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