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第四話 切り札が牙を剥く

時間結晶を砕き、魔法陣を展開。

圧倒的出力。魔石を使わず、時間だけで放つ大魔法。


だが――

放たれた魔力の奔流を、魔物はそのまま吸収した。


「は?」


エネルギーが、魔物の体内に取り込まれていく。

奴は魔石だけでなく、時間エネルギーも喰らう。


予想外の事態だった。

俺の切り札は、敵の餌になった。


「先輩、撤退を!」

「……先に行け」


考える時間をくれ。


だが魔物は待たない。

足元の結晶を薙ぎ払い、鋭い礫が飛来する。

俺の前に躍り出た後輩へと降り注ぎ、鮮血が舞った。


「っ――」


後輩が地面に膝をついた。

立ち上がろうとして、膝が折れる。


「……先輩、早く逃げてください」

「うるさい」

「俺じゃ、守りきれません」

「黙れと言った」


後輩が口を閉じた。


魔物を見る。

体表に浮かんだ亀裂。


「…そうか」


時間結晶は、生成と同時に崩壊を始める。

吸収した時間エネルギーが、内部で急速に劣化している。


つまり、内部から時間を暴走させる猛毒だ。

俺は時間結晶を手の中で精製する。


「全部、食わせてやる」

「え?」

「可能な限り、時間結晶をあいつに叩き込む」

「それじゃ先輩の時間が――」


高純度の結晶が生成された。

視界が揺らぐ。

鼓動が遠のく。

それでも、魔法陣を展開した。


魔物が、全てを吸収する。


次の瞬間。

巨体が内側から膨張し、ひび割れ、崩れ落ちた。


時間の暴走。

内部老化と加速崩壊。


鉱脈は静まり返る。


「先輩!」


こちらに手を伸ばす後輩に、伸ばした手は小さい。

意識が遠のく中で、あの声が聞こえた。


「ありがとう」


助けてくれ、ではなかった。

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