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第三話 鉱脈の支配者

鉱山へ向かう道は静かだった。

後輩は歩きながら、無駄に話しかけてくる。


「現地の人間が、変なことを言っていました」

「何を」

「魔物じゃなくて、亡霊だって」

「同じことだ」

「……声が聞こえるらしいです。助けてくれって」


俺はふん、と鼻で笑った。


「魔物に声はない」

「そうですね」


後輩が、空を見上げながら尋ねてくる。


「先輩はなんで魔法使いになったんですか」

「食うためだ」

「俺は先輩みたいになりたくて魔法使いになりました」

「……物好きだな」

「褒めてないですよね今」

「褒めてるよ、相棒」


後輩が黙った。

たぶん照れている。

わかりやすいやつだ。


鉱山に着くと、空気が変わった。


重い。

空気が、わずかに歪んでいる。

感じているのは俺だけだ。

後輩では感じ取れない。


配下の魔物との戦闘はあっさりだった。

時間結晶を少量使い、大魔法を展開する。

後輩が援護に回り、連携は悪くなかった。


長い袖を肘まで捲っていると、後輩が声を掛けてきた。


「先輩の魔法、やっぱりおかしいですよ」

「おかしくない。普通だ」

「先輩が普通なら、一般の魔法使いは赤ちゃんです」


奥に進むにつれ、歪みが強くなった。

一瞬、何かが耳をかすめた。

よく聞き取れない。

最深部で、それと対峙した。


岩山のような白い巨体。

足元では無数の魔石が、光を失っていく。


「魔石のエネルギーを、吸収してる……?!」

「供給不足が起きるわけだな」


後輩が隣で杖を握りしめた。


「先輩、これ……勝てますか」

「勝つ」


即答した。


「楽しい魔法ライフを、返してもらおう」

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