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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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これからも傍に

 「ロレーヌって、どのくらいで着くの?」

 「えー…と…。確かここから北へ8kmくらい歩いて行けば辿り着くはずだよ。この国、そこまで国土面積が広くねぇからな」

 

 8kmか。だったら歩いて向かえるかもしれない。

 「じゃあ、次の目的地はロレーヌって事だね」

 「ああ。ロレーヌは文献でなら読んだ事はあるけど、詳しい実態とかは分からねぇ。今回みたいに俺が役に立てる訳じゃねぇけどな」


 …さっきから、すごく気になっている事がある。

 「ねぇアデル…」

 ん?という顔をしながら顔と目線を私に向ける。


 「もしかして、ロレーヌにも来るの?さっきこの国を変えるって言ったのに、国を離れて大丈夫なの?」

 これである。国がほとんど崩壊したこの状況で、国を離れてしまっても大丈夫なのだろうか。


 「ああ…。この国は正直、俺以外に強大な力を持った奴っていうのは正直いない。だから多少離れても大丈夫だし、何ならいてもまた俺が倒してやるよ。




 それに…。今回の件は思った以上に根が深い気がする。どこかに今回の件の根源がいるなら、それは倒さなきゃならねぇ。それは俺にとっても他人事じゃねぇ」

 …なるほど。アデルはアデルなりに考えがあったんだ。


 「それに…。



 俺の過去と一緒に向き合ってくれて、俺の命も救ってくれて、そんな奴に何もしないでいるなんて、俺の気が済まねぇ」

 「…!」


 相変わらず口も悪かったが、表情は優しかった。

 何より、人を警戒していたアデルがそんな風に思ってくれていたなら、これほど嬉しい事はない。


 「だからさ。遠慮なく使えよ。俺の力を。


 

  仲間で…友達なんだからさ」


 アデルが今まで見たことのない穏やかな微笑みを浮かべながら、優しい口調で私達に伝える。

 その雰囲気は根拠はないけど、ああ、この子は精霊に愛されている子なんだと、そう思った。


 

  様々な困難や騒動を経て、アデルが、天才的な精霊の力を持つ少年が、改めて私達の仲間になった。

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