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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
80/215

2対60

 「おらぁ!食らえ食らえ!死ねぇ!」

 「…」

 軍服の男の隊員が攻撃を放ち続けるが、ケントは冷静かつ最低限の動きで攻撃を避け続ける。

 「ぜぇ…ぜぇ…。な、何でさっきから当たらなねぇんだ…俺はこの国で1番」

 「価値ある存在だって?」

 ケントがそう冷たく言い放つと、ケントは男の顔に強烈な蹴りを食らわせ、5m先まで蹴飛ばす。蹴られた勢いが強過ぎて、蹴り飛ばされた先にあった長椅子が数個倒れた。

 最初は30人くらいいた隊員達は、ケントの異常な強さによってほとんど気絶し、もう指で数えられるくらいの人数しか残っていなかった。


 「_俺はさ、水の精霊の共鳴度は高いけど、精霊力は低い。だからお前らみたいに乱発したり、何も無い所から生み出すなんて事は出来ない。

 だから同じ精霊使いでも、お前らからしたら俺は使えないに等しいだろうな。



 


 でもさ、精霊の力を持たない奴でも、精霊の力を持つ奴には勝てるんだよ…」

 そう言うと、ケントは視線を講堂の左側へ移す。

 ケントにつられてケントと対峙していた隊員達も、視線を左側に移すと、そこには衝撃的な光景が広がっていた。


 精霊の力を持たない少女が、対戦していた隊員達を、ほとんど気絶させたり負傷させたりしていて、今少女と向き合っているのは10人程。

 さっきまで30人くらいで少女と戦っていたのに、もう20人はやられてしまった事になる。

 その10人も、少女の人間離れした動きに完全に萎縮し、士気を失ってしまっている。

 「(な、何だよあの子…!さっきから俺らの攻撃を避けるだけじゃなくて、バク転や側転も当たり前のようにやって、壁を脚力だけで登ったり、それでも全く疲れてない…!あんなの精霊の力を持たないだけで、)ば、ばけもの」

 隊員のうちの1人がそう叫ぼうとした瞬間、メリッサが切り飛ばした隊員に巻き込まれ、そのまま長椅子に頭を直撃させ、気絶してしまった。


 他の隊員もその後すぐに倒されてしまい、メリッサは倒れた隊員達を見ながら、刀に付着した血を振り払って落とした。


 「(この国の人間には、精霊の力を持たない奴が、精霊の力を待つ奴に勝つという考えがそもそもない。だから、精霊の力なしでここまで戦える奴がいたら、それだけで士気の大幅な低下に繋がる。

 だから、こいつらが強いのは本当だろうが、相手が悪かった_)」

 ケントは目の前で起こる状況を、冷静に分析していた。

 予想外の敵というのは、それだけで士気の低下に繋がるものだ。そう考えると、こいつらにとって俺達はすこぶる相性が良くなかった。

 

 「(まぁあとは…メリッサが異常に強かったのも、大きく関わってるんだけど)」

 ケントは心の中で分析を終えると、残りの隊員も蹴りで気絶させ、最後の1人である女性隊員の元へ歩いて近付いた。

 

 「や、やめて…。私、女だから、あなたがしたい事、何でもするから…!あっ!寝る!?私、部隊でも夜伽上手だって評判で…」

 女性隊員が必死にケントを説得しながら命乞いをする。ちなみにこの隊員、さっきまで「女だからって油断しないでよ!」と叫んでいたのだが、そんな自分の言葉も忘れて今は性別を理由に命乞いをしている。

 

 ケントは女性退院を真顔でじっと見ると、目線を合わせるようにしゃがみ、にこりと笑顔を浮かばせた。

 その笑顔に安心したのか、女性が心の中でにやりと笑った瞬間_。




 ケントは手を地面に着け、そのまま一瞬で逆立ちして身体を勢い良くひねらせ、女性の顔に蹴りを食らわせた。

 女性は驚いた後、壁に叩きつけられて気絶し、その瞬間、2対60の戦いは幕を下ろした。


 


 「あー。俺、都合の良い時だけ女扱いしてほしいって人、嫌いなんだよね」

 

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