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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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逃走

 アデルに腕を掴まれながら通路を抜け、街へ出ると、入り口横で待っていたケントと再会した。


 「アデル!メリッサ見つかったんだね」

 「逃げるぞケント!精霊部隊の奴らに見つかった!」

 アデルへの呼び掛けを断ち切るように伝えると、ケントは「うわあマジか」と私達の走りに合流した。


 街中や裏路地を走りながら逃走したが、行き着く先に黒い軍服みたいな…さっき私の身体を触ってきた精霊部隊の隊員と同じ服を着た人達が待ち構えていて、逃げては引き返し、新しい場所を目指して逃げては引き返すといった流れを繰り返し、そんな流れを30分以上も続けた。


 「アデルー、このままだと街中を体力が尽きるまで走る事になる…っていうか、いつかは捕まるでしょー?」

 「わーってるよんな事!精霊部隊は、この街に常に常駐してるから、一度ターゲットが脱走したら、基本的には捕まる!」

 「じゃあこの状況、どうやって打開するー?」

 ケントとアデルが、走りながら会話を交わす。

 こんな命に関わる状況だけど、冷静に会話を交わす事が出来る2人は、やっぱり私とは違って危機的状況を何度も乗り越えて来た人なんだと、息を切らしながら改めて思う。

 

 


 再び逃げたり引き返したりを30分くらはい繰り返しているうちに、私達は古城のような場所に辿り着いた。

 何ここ?と思ってふと隣にいたアデルの顔を確認すると、大きく目を見開き、その場に固まっていた。

 「アデル?どうしたの?早くあいつらに見つかる前に…」

 「メリッサ、ケント。このまま進むぞ」

 そう言ってアデルは腰から白い二丁拳銃を取り出して一度空中に投げ、それを両手でキャッチすると、城へと歩き出した。

 

 「え、アデル。どういう事?」

 とりあえず置いていかれないように、アデルに着いて行く。

 「ここはライプチヒ精霊学院。俺が通っていた学校だよ。…っていうのは前の姿で、




 


 今はあいつら。国家精霊部隊の本拠地だよ」


 「え、学校が本拠地?」

 学校が軍の本拠地だなんて、聞いた事がない。それも、アデルの話から考えるに、この学校は後世の人材を育成するのに重要な施設だ。

 それを本拠地にするって…。


 「精霊達が今教えてくれたんだよ。前の本拠地は確かに別の場所だったけど、今はこの、精霊の力がこの国で最も集まっているこの学院を本拠地にしてるって。」

 「…」

 今だに理解できない部分もあるけど、アデルを信頼している精霊達が言うのだから、少なくとも嘘ではないのだろう。

 

 「…ふぅっ」

 深呼吸して息を吐き、布から刀を取り出す。

 アデルの忠告通りなら、ここから先は死ぬ可能性もある場所だ。

 心を構え直し、私は城へと進んだ。

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