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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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さあ、行こうか

 「…いきなり何しやがんだよ!ケント!」

 ケントに抱き抱えられたままだったアデルは、ケントの腕の中でジタバタとして、言葉にはしないで「早く下ろせ」と訴えている。

 

 「あー。ごめんごめん。下ろすよ」

 そう言ってケントはアデルを地面に立たせた。

 私達が逃げて来たのは、ケルンブルクと首都・フランクの中間地点にある田園だった。

 青空と緑が一面に広がっていて、空気が美味しくて呼吸がしやすかった。


 ケントとアデルと3人、田園を歩く。

 「…多少話には聞いていたけど、この国って本当に精霊至上主義なんだね」

 「…あぁ。ハイデルの村で、子供達が襲われた事があっただろ?」

 ハイデルの村と聞き、私は山賊から救った村の事を思い出す。

 「…あの子供達は、多分だけど精霊の力を持った子供達だ。ハイデルの村は、どういう訳が精霊の力を持った子が生まれやすい」

 …あの村に、そんな特徴があったんだ。

 「だから山賊達がそんな力を持った子供を攫って、他国へ売り飛ばす。それがこの国で問題になってるし、俺もされかけた事がある」

 「アデルは古い価値観が嫌いなんだね?」

 「…古い価値観が嫌いっつーか…。内容が明らかにおかしいのに『伝統だから』『昔から続いてるから』って考えもしないで現状維持を保とうとするのが嫌いなんだよ…。だから何千年前の考えでも、それが良い考えだったら、俺は好きだよ」

 「…うんうん。


 

 で、アデル?他に何か言う事があるだろ?」

 

 ケントがそう言うとアデルはぴたりと足を止め、前を歩いていた私達2人を見た。

 「…本当に、この国とやり合うのかよ。最初は冗談かと思ったけど、ここまで来たらマジな気がしてきたぜ…」

 「本当に決まってるじゃん。俺達が強いのは知ってるのに、信用ないなぁ」

 「いやけどさ…!」

 

 「友達が困ってるのに、放っておけないでしょ」

 2人の会話に突然入り、2人の視線が私を向く。


 「目の前で友達が困ってるのに、無視するなんて出来ないし、もしアデルの目の前で同じ事が起こっても、アデルは絶対に放置したりしない。そうでしょ?」

 「…まあ、そうかもな…」

 「それに、これはアデルだけじゃなくて、この国全体の問題でもあるんでしょ?国の人達が先入観や古い価値観に縛られて動けないなら、その考えを持たない私達でどうにかするしかない…違う?」

 「いや…間違ってはない」

 私が自分の意見を主張する珍しさに、アデルは動揺した。

 

 「うん。じゃあもうこのままフランクへ、敵の本拠地に向かおうか」

 そう言ってケントは背中を向けて歩き出した。

 「…あっ!おい!」

 「…アデル。1人で抱え込んで解決するのが美徳なんじゃない。


 誰かの力を借りても良い、自分の心が軽くなる方を選ぶのが正解なんだよ。きっと」

 私の言葉に、アデルははっとした。

 そしてしばらく黙り込むと、再び足を進め、私もそれに着いて行った。


 「…おい。メリッサ、ケント」

 「…ん?何?」

 「どうしたの?」

   




 「絶対死ぬなよ。

 もし何かあったら、そっちも俺の力を借りろ。

 絶対に守るからな」

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