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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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アデルの出生の秘密④ Side:アデル

 それが、俺が10歳の時の話だった。

 その日の夜は全く眠れず、疲労とストレスの関係で翌日は熱を出してしまい、1日寝込んでいたが、その時執事のクラウスやメイド達は俺を甲斐甲斐しく看病してくれて、それだけでも嬉しかったのに「無理に治そうと思わなくても大丈夫ですからね」とか「治ったらまた街へ遊びに行きましょうね」と、俺を励ます言葉を掛けてくれた。


 その時、俺は思ったんだ。

 「血の繋がった親はいないけど、俺を大切に思ってくれる人はいるんだ」って。

 だからその日以降も、俺は再び勉強に励む事が出来たし、家出とかしないでヘルトリングの家に居続ける事が出来たし、その日以降「他の誰かに自分の事を決められたくない。自分の事は自分で決めたい」と、そう考えるようになった。

 …まあ。その決意が理由で今みたいな口の悪さになったんだが。

 

 そして15歳になった日、俺の人生を大きく変える出来事が起こった。

 さっき言っていた、ライプチヒ国家精霊学院への入学だった。

 俺は国家を担う精霊使いを育成する為の学校に入学する事になり、そこで俺の学生生活が始まった。

 

 …けど学校生活は…正直好きじゃなかった。

 まず教師達が精霊使いというのもあって偉そうだったし、授業でも教科書を黒板に丸写しで豆知識や本当に重要な事は教えてくれない。

 しかもその内容も、俺がヘルトリングの家にいた頃とほとんど同じだったので、もしかしたらこいつらは毎年同じ事を教えてるのか?と思ってしまった。

 何より、俺は同級生達はもちろん、精霊使いである教師達よりも強力な精霊の力を持っていて、実践の授業で教師より精度の高い精霊術を披露したりすると「もっと手を抜け!」と理不尽に怒られたりして、全力でやれって言ったのはお前なのにと突っ込みたくなったが、それ以降俺は教師達から目の敵にされるようになった。


 あと、同級生達との折り合いも悪かった。

 俺が強力な精霊の力を持っているというのを知った途端、大して仲良くもないのに「宿題見せてくれない?アデルは天才だから出来るでしょ〜?」とか「天才なんだから、俺を助けてよ〜」といった風に媚を売ってくるのだ。

 しかも俺がただ気になって「何で?」と返しただけで逆ギレして精霊術を放ってきたり、「2000年に1人の天才だからってチョーシ乗ってんじゃねぇぞ!」と暴言を吐かれたりもして、とにかく学校に居場所と感じる場所がなかった。

 だから食事は大体1人だったし、友達なんて1人も出来なかった。


 そんな日々がこれから何年も続くのかと思うと考えただけでイライラするし、俺は無理矢理入らされた世界とはいえ、精霊は好きだったし、精霊に関する勉強も好きだった。

 そんな俺が知りたい、精霊使いの存在意義や、精霊の気持ち、精霊と人間との共存に関する事は誰も教えてくれなかったし、それどころか教師達に「そんな事考えるだけ無駄だ」と言われたのが何より不満で、ストレスで学院の制服である黒いローブを精霊術で燃やしてしまおうか、なんて過激な思考に至る日もあった。


 そんな俺が入学して2年目に突入した時、俺の価値観を揺るがすある人物と出会った。

 

 校内をぼーっとしながら歩いていると、自分が全く通った事がない場所に来てしまった。

 この学院はとにかく広いし校舎が入り組んでいて、学校というより一種の城みたい…というか、外観は完全に城で、卒業まで通らない場所があってもおかしくはなかった。

 焦ってとりあえず近くにあった部屋に入ると、思わず「うおっ…!」と声を出した。


 何でって、その本や書類に囲まれた部屋に、老人がいたのだ。

 この学校の制服である黒いローブをまとい、白い髭と髪を床に着きそうなくらい伸ばした、優しそうな老人が。


 「何を知りたいんだね?」

 そう話す老人の声はとても優しくて、聞いた途端に浮かないのにふわふわと浮きそうな、そんな心地になった。

  

 ヴァイゼ・アインホルン。

 この学院の学長で、一流の精霊使いで、俺の恩人でもある人との出会いだった。

 


 

 

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