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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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アデルの出生の秘密

 …アデルが御曹司?貴族家の?確か侯爵家って、貴族の中でも位が高いよね?

 突然入って来た情報に困惑し、思わず隣に座っていたアデルの顔を見る。アデルはいつも通りの感じで、ソファーにどかっと座りながら足を組みながら少し不機嫌そうな表情をしている。


 でも確かに、貴族の御曹司だと言われて全く納得できない訳でもない。思い当たる節はいくつかある。

 1つに、あの食べ方が綺麗だった所。貴族として食事マナーや作法を身に着けていたのなら納得できるし、2つに、何かと口も態度も悪いけど、所作は綺麗でガサツな感じがない所。3つに…あのいつも自信に溢れた感じ。育ちの良さから来ているのだと考えると、筋が通る。


 「…アデルお坊ちゃまはこのヘルトリング家で10年以上、貴族の御曹司としての教育を受けられ、15歳…今から2年前に、ライプチヒ国家精霊学院へご入学されたのです」

 「…ライプチヒ国家精霊学院?な、何ですか?その学校?」

 「…俺が説明する。メリッサ」

 今まで沈黙を貫いていたアデルがゆっくりと口を開いた。

 「…ライプチヒ国家精霊学院っていうのは、ライプチヒの首都・フランクにある学校だ。つい最近まで俺は、その精霊学院に通ってた」

 …あぁ。アデルが「俺も通ってたぜ。学校」と言っていたのは、この学校の事だったんだ。


 「…この学校は、普通の学校とは180度違う特殊な学校でさ。精霊の力を持つ精霊使いしか入れない学校なんだよ。んで、そこで精霊術の勉強をしたり、精霊の仕組み、この国と精霊の繋がりなんかを7年かけて勉強するんだよ」

 「精霊術って、山賊のアジトでアデルが唱えてた呪文?みたいなの?」

 「あぁ。精霊の力は、頭の中で威力や放つ範囲なんかを式に組み立てて放つ『精霊術』っていうのがあって、俺が山賊のアジトで使っていたのも、あの技を使えば効率良く勝てるだろうなと考えて放った精霊術の1つだ」

 …何というか、すごい。完全に語彙力が崩壊しているけど、アデルが話しているのは完全に魔法小説そのままの話だ。いや、精霊の力がそもそも魔法の力の様なものなのに、学院や精霊術という単語が出てきた途端、よりリアルに感じる。

 

 「…でも、学院での生活も、このヘルトリングの家での生活も、俺には嫌で嫌でしょうがなかったんだよ」

 アデルが悲しそうな表情を浮かべる。

 「え?それってどういう…」




 「…この家は、この国は、希少な精霊の力を持つ俺を、殺戮兵器に育てようとしたんだよ」


 

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